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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
東京侵攻編
66/207

引き金を引いたら

MD215年 6/16日 19:02


 網を持っていた俺は、一瞬その網を持つ手を緩ませる。


「我こそは東京軍を束ねる総理、徳川戦様の筆頭侍、虎牙伊織なり! 見事この首、討ち取ってみよ!」


 今俺達は確かにあの女の両手両足を絡めとり、完全に拘束していた。

 両方の手足を封じる為に20人ずつが霊力で編みこまれた網を握り、背後からは精鋭の魔術師10人が魔術を浴びせ。

 残りの連中で周囲の警戒を行っていた。

 それなのに。


「何時の間に……うぉっ!?」


 10メートル前方、突如上空から現れた三人組。

 それに気を取られていた俺達は突如網を急激に引っ張られ体勢を崩す。


「こいつ、急に力が強くなりやがった!」


 当然引き寄せている相手は天照、神を名乗る女だ。

 サツホロの兵士達の話では腕の一振りで町を消しただの、山から炎の蛇を呼び寄せるだの、太陽の化身だのと囁かれていたが俺は信じちゃいなかった。

 だが今の力強さで実感した、この女は俺達の様な普通の存在ではないと。


「持ちこたえろ! たかが女一人……芽衣子様の為にも踏ん張れ!」


──────────────────────────────


 オークの男──身なりからして恐らくは指揮官であろう──の声が響くと、私達は即座に敵の兵士達に包囲される。

 前面は伊織が切り出した巨大な土塊の壁で塞がれており、後方と側面に兵士達が群れを成している状況だ。

 また天照様は以前拘束されており、まずはその拘束を解く事が肝要だろう。


「さて、それでは戦様、虎牙、これより──」


 軍師として、把握した戦況を伝えようとした私は虎牙の方へと向き直っている戦様に気づく。

 どうしたのだろうか……今は一刻を争う敵地の中心部だというのに。

 私が疑問に思っていると、戦様は口を開きこう言った。


「伊織、先ほどの名乗りはなんです」


「は?」


「は? ではありません、先ほどの名乗り……あれでは私が貴方の部下の様に見えるではありませんか」


「はい? いや、しかし最初の打ち合わせで──」


「弁解は罪悪と知るべきです」


「あの……戦様?」


 弁明しようとする虎牙を戦様は押し黙らせる。

 

「石元、貴方も伊織に言ってやりなさい、ここ日本は女性が上位の国であって──」


 そして私の方へ振り向くと、伊織を共に説き伏せようと提案してくる。

 だが敵に背を向けたのがいけなかった。


「何だか良く分からんが、貰ったぁ!」


 私達が仲間割れをしていると思ったのか、敵のリザードマンの兵士が槍を持ちながら戦様へと大振りな動きで槍を突き出す。


「戦様!」


「教育がなっていませんね」


 戦様は少し眉を吊り上げると、私が叫ぶよりも速く回転しながら手持ちの薙刀を振るい、相手の槍を打ち上げる。


「その様な大振りでは素人丸出しです、来世からやり直してきなさい」


「なっ……!」


 完全に不意を突いたと思っていたのか、リザードマンは驚愕した顔をする

 そして戦様はそのまま薙刀をリザードマンの喉へと突き刺す。

 喉に刃を突き立てられたリザードマンは大量に出血し倒れると、戦様は溜息を付く。


「仕方ありません、この話は後々しましょう。」


「え~、ほんとにござるかぁ?」


 虎牙は溜息を吐きながら背中から刀を抜く。


「ま、こういう場合総理殿は譲らんでござるし……拙者も腹を括るとするか」


「えぇ、ではまずはこの戦場を生き延びるとしましょう、これからの行動は事前に決めたように執り行いなさい」


 戦様は吊り上げていた眉を降ろすと、自身も薙刀を再び構える。


「不測の事態に関しては私が追って指示を伝えます、では皆さん──ご武運を!」


 私も愛用の鉤爪を両手に装着し、虎牙、戦様、私の順番で駆け出した。


──────────────────────────────


「だから今は戦闘中で忙しいっつってんだろ! 緊急の要件だとしても後にしろ永村!」


 戦場にて、山坂は土塊の壁の目前で一人、子機ドローンの上で怒鳴っていた。


「だから緊急事態なんだって、そもそもそこ戦略的にそんなに重要? 長老級は今は別に放置しても──」


「うるせぇ! 魔族は殲滅する、それが僕のやり方だ! 通信を切る!」


 山坂はそう言って永村との通信を切ると、眼前の壁を憎々しげに見つめた。

 壁は横幅20メートル程度はあり、移動して天照を空間管理鍵で狙うのには少々の時間を要するだろう。

 つまりそこが問題だ、左右どちらから回り込んで移動するとしてもあの壁を何処かの地面から穿り返して持ってきた大馬鹿と接触するのは不味い。

 今の山坂には右足が無く、移動は全て騎乗している子機が担当しているからだ。

 当然伊織と接触すれば逃げ切れないだろう、そもそも逃げると言う判断を下す前に首を飛ばされるかもしれない。


「さて、現状どうしたもんか……タブレットをぶち壊された関係で鍵の威力調節は無理と来た、故に壁をこのまま一発で掘るってのは無理」


 山坂は右手に持っていた空間管理鍵を子機の頭部へ載せると、鍵と子機を繋げているケーブル、その根元にあるメーターを確認した。

 メーターは幾つかあったが、その中でも一際赤く警告を灯していたのが『残霊力』というメーターだった。


「おまけに子機の霊力量も少ないと来た、かなり格好悪いがもう一度あいつらと通信して霊力を回してもらうか……? いやでもなぁ」


 すると突然、メーター部分が真っ暗になる。


「んん? おいおい、霊力切れにはまだはや……!?」


 メーター部分を何度か叩いた後に、困った顔をしながら前を見ると眼前にあった筈の土の壁が消えており。

 今正に、山坂を潰さんと空中に舞い上がっていた。


「あああああああああああ!?」


──────────────────────────────


「一丁あがりにござるな、これで元凶は消えた」


 伊織は右足に付いた土を左手で払うと、顔を右へ向ける。

 周囲には既に何人かの兵士がなます切りにされた状態で転がっていた。


「うおおおおお!」


 伊織が顔を向けた先には、アデルが居た。

 周囲は死体の山が築かれているが、唯一アデルだけが山坂に貰った盾のお陰で生き残っていたのである。

 アデルは伊織へ突撃し剣を幾度か振るうが、伊織はそれを難なく右手の刀で制する。


「う~む……お主も懲りん奴にござるな、既に拙者に二度負けているというのに」


「それとこれとは、関係ねえだろうっがぁ!」


 剣を刀で防がれながらもアデルは引く事無く剣を振るい、今度は突きを放つ。

 その突きを伊織は体裁きで避けると、そのまま回転蹴りをアデルの頭部へ向け放つ。

 アデルはその蹴りに気づく事無く、伊織に頭蓋骨を蹴り砕かれるかと思われたが、その蹴りはアデルの頭部には命中しなかった。


「何と!」


「うおおっ!」


 蹴りが頭部へ当たるかと思われたその時、アデルの左腕に付けていた盾が無理やりアデルの体勢を変え、蹴りを盾で受け止めたのだ。

 しかし衝撃を完全には吸収しきれず、アデルは地面を何度か転がる。


「驚いた、完璧に頭骨を砕くと思っていたのでござるが?」


 伊織は驚き、蹴りを放った姿勢のまま立ち尽くす。

 アデルは地面を転がり、少し呻いた後に立ち上がると再び剣を構える。


「へっ、年寄りは知らないかもしれねーが若者ってのは日々成長してんだよ!」


「確かに!」


「何を納得しているのです伊織! その程度の雑兵、仕留められないのですか!」


 伊織の後ろから剣戟の音と徳川の声が響く。

 

「さぁ、焼かれる準備は出来ましたか?」


 徳川は自らへ寄ってくる兵士達を薙刀で牽制しながら、呪文を織り上げる。

 そして一度後方へ飛ぶと、飛びながら薙刀を自身の眼前で横へ回し始める。


「火炎放射/Cone of Flame!」


 徳川が呪文を唱えると、回転する薙刀の中央部分から炎が舞い上がり前方の兵士達へ解き放たれる。

 その炎は放射状に放たれ、徳川へと迫っていた兵士達を数人焼き尽くす。


「貴方は現状最大戦力です、遊んでいるようならばその首ここで私が落としますが」

  

「ハハハ、いやぁ総理殿は本当に厳しいでござるなぁ」


 薙刀の回転を止めると、徳川は後ろ目に伊織を見ながら高圧的な言葉を放つ。

 伊織はそれを笑って受け流すと、アデルへとしっかりと体を向け刀を構える。

 刀を構えた伊織の重圧に少しだけ腰が引けるが、アデルは顔面を左手で殴ると自らを奮い立たせる。


「とはいえ拙者も遊びに来たわけではござらん、ムツシでお主達が行った蛮行の報いを受ける時よ」


「あ?」


 自らを奮い立たせたアデルだが、伊織の言葉に疑問を抱く。


「ムツシでの蛮行……? おい、そりゃ何の話だ? 俺とアレーラはあそこの人たちに迷惑なんてかけた覚えはねえぞ!」


 アデルの言葉に伊織は溜息を付くと、腰を深く落とし、地面を蹴る。

 大地を蹴った瞬間、何かの破裂音の様な音が響き、アデルは自身の肉体が再び空中へ浮いたのを理解した。


「うごぉぁっ!?」


 その蹴りも、やはりアデルが装備する盾『弱者の庇護具/Aegis of the Meek』が防いでいた。

 だが防いだ所で空中へと打ち上げられたアデルに取れる術はほぼ無かった。

 空中へ浮かび上がった所へ、伊織の拳がアデルの顔面へと振りぬかれる。

 その拳もまた盾が防ぐが、殴られた衝撃でアデルは先ほどまで自分が天照を繋いでいる網を投げている部隊の所まで飛ばされてしまう。

 地面を転がったアデルは数秒ほど過呼吸状態になると、再び剣を握り締め立ち上がる。


「そうか、知らぬか……となるとお主達とは別系統の指揮であったか」


「あぁ……?」


「とはいえお主達に罪が無いと言う訳でも無い、何故斯様な指示を下す者に従う?」


「だから、何言ってるか、わっかんねえよ!」


 アデルは再び剣を構え、伊織へ向かって走り始める。


「ふむ……学が無いのか理解しようとしていないのか、何れにせよここに居る者どもは皆全て切り捨てる!」


「よくわからねーが……少なくともてめえが俺達を生かして返すつもりが無いってのはよぉく分かった!」


 伊織は刀を高速で突き出すと、再び破裂音が周囲に響いた。

 この破裂音、物体が音速を突き抜けるときに出る音である。

 つまり、この時の伊織の初撃の速度は音速を超えた速度で繰り出されていた。

 だがこの攻撃も、やはり盾がアデルを守る。

 盾は突きをアデルの頭上へ逸らすと、アデルは同時に地面の土を伊織の顔面へと蹴り上げる。


「だらぁ!」


「笑止!」


 土は伊織の顔面へと当たるが、伊織はアデルが剣を振るうよりも先に自ら前に突き進み、アデルへ頭突きを放つ。

 頭突きもまた盾が防ぐが、剣を振るうのが遅れる。

 その遅れは伊織が距離を取るのには十分すぎるものだった。


「いってぇ! くそ、さっきからの蹴りや突きもそうだが何で防ぐだけで腕が痺れるんだよ! つーか距離を離すんじゃねえ!」


「ハハハ、伊達に歳を食ったわけではござらんぞ小童! いや距離を離さぬと有利な間合いで戦えぬでござろう?」


「ちっ、無駄に強いだけじゃなく戦い慣れしてるってのは本当に厄介だな!」


「お主こそ以前戦った時とは別人のような振る舞いには恐れ入る、成長というよりはその装備のお陰だとは思うが」


 二人はお互いに距離を取り、武器を構えたまま言葉を交わす。

 伊織は全く息切れしていないが、アデルは荒く息を吐きながら五感を周囲へ巡らせる。

 アデルの背後では札幌の兵士達が天照を網で捕らえており、アデルの眼前には伊織、その後ろには網を振りほどこうとしている天照と天照へ何かの魔術を掛けているであろう石元とそれを邪魔しようとする兵士達を防ぐ徳川。

 右側には先ほどまで壁として競り立っていた土塊が横倒しになっており、左側では魔術師達が必死に天照へ魔術を行使していた。


「装備だって使いこなせてるんならそいつの強さの一部だろうが、何が悪いってんだよ」


「確かに確かに、それは正論にござるな、しかしそれほどの装備は何処で手に入れた?」


 伊織はアデルの言葉に強く頷くと、装備の入手先について訪ねてきた。

 本来であれば答える必要など無い所だが、アデルは呼吸を整える為にもう少し会話に付き合ってやることにした。


「貰い物だよ、お前がさっき壁を蹴り上げて踏み潰した男からのな」


「なるほど、戦前の技術かは知らぬが確かにあの男ならそういった奇怪な装備も拵えられると言うものか」


 あの男、という言い回しに伊織は少し逡巡したが直ぐに山坂の事を思い出すと納得する。


「……ところで、さっきの蛮行ってのは何の事だ? お前の質問には答えたんだ、俺の質問にも答えてもらうぜ」


 アデルは少しずつ呼吸を整えながら、伊織へ先ほどの蛮行について質問を返す。

 呼吸を整えるのにはもう少し時間が掛かる為、その時間稼ぎの意味合いが多分に含まれているのだが蛮行の内容について興味を惹かれないというわけではなかった。

 むつ市にはアデルはつい二週間半程前に訪れており、その際には村の住人に歓迎されこそすれ批難される様な事など何一つしていない筈だからだ。


「俺やアレーラが何かしたってんなら謝るが、俺達は何も……」


「していないのでござろうな、だがあそこで潰れている男は別よ」


「あ? まさか山さ……あぁいや、管理者の奴が何かしたってのか?」


「そのまさかよ! 奴はムツシを根こそぎ塵へと帰したのだ、手駒の化け物を用いてな」


「そんな……嘘だろ、あいつがそんなことする理由……!」


「理由があるのか無いのかは拙者は存ぜぬ、だが奴が行った事は紛うことなき事実! それに被害はムツシだけではなくこの地より南方の領土も被害を受けているのだ」


 伊織の言葉に、アデルは山坂の過去の言動を思い出す。


「つぅまり! 我々の定義的に言うならばお前達は! 否! この世界に生きる連中はすぅべて! 人間ではない!」


「よってそれらを殺す事に関しては、僕は何の疑問も良心の呵責も! 一切! なんら! 感じないのだ!」


「だろうな! いいぞ、赤毛! 面白くなってきた! 魔族は屑だし霊力に適合した人間もゴミ同然でどうせ最後は皆殺しだが! 気に入った!」


 確かに山坂の言動には魔族やアデル達人間に対する憎しみの様な感情がある。

 だが……だがだ。

 それでもアデルは何処か山坂を嫌いになれないでいた。


「お前を殺すのは最後にしてやる!」


 その山坂の言葉を思い出すと、アデルは人差し指で鼻の下を擦ると苦笑する。


「確かに……あいつはそういうことするだろうよ、事実俺達のサツホロもあいつ等に襲われて現状協力体制を取ってるわけだしな」


「ほう? であるならば、お主は何故そいつに従うのだ、あのような外道に」


 外道、という言葉にアデルの心の内に火が灯る。

 何故かは分からない、だが何故か山坂を馬鹿にされた瞬間、アデルの胸には確かに熱い火が灯った。


「外道か……いや真実だしあいつはどうしようもなく屑ではあるんだがよ、何ていうか……放っておけなくてなぁ!」


 アデルが叫び、同時に地を蹴る。

 乱れていた呼吸も今や整い、先ほど受けたダメージも多少は回復した。

 これ以上の問答は、今は無用だ。


「Be as fast as lightning, and you will be just as deadly!」

(稲妻のように素早く動け、そうすれば稲妻のように致命的になれる!)


「何と!」


 伊織は辛うじて両手に持つ刀で正面から剣を受け止める。

 アデルの踏み込み、そしてアデルの振るった剣は先程までの速度とは大きく違っていた。

 その振りの速さにアデルの剣を防いだ伊織も驚愕するが、直ぐにその顔は笑みへと変わる。


「なるほどそれがお主の隠し玉か! 驚いたぞ!」


「そりゃどうも、とはいえお前を仕留めきれてないんなら意味がねえんだが!」


 アデルは右手に全身の力を込めるが、伊織はそれをあっさりと受け流す。

 受け流されたアデルはよろめき、前のめりになるとそこを伊織に追撃される。


「ハハハ! 一方的な蹂躙になるかと思っていたが面白い事になった!」


「ぬかせぇ!!」


──────────────────────────────


「虎牙め……遊びが多いのはあの男の欠点ですね、これだから男という生き物は」


 周囲で激戦が繰り広げられている中、石元は一人天照を捕らえている網の解呪に望んでいた。

 最初は網を断ち切ろうとしたのだが、網はその大元となっている存在の霊力を断ち切らねばならず石元一人の力ではそれは不可能だった。

 では伊織に切らせれば良いのでは? とも思うだろうが、天照を捕縛する為には霊力を動かないで供給しつづければならない。

 そんな動かない相手ならば伊織を突撃させ抵抗できない兵士を殺した方が楽だと、石元は判断したのだ。

 だが結果は見ての通りである、伊織はアデルに足止めをされ、徳川もまた防戦で精一杯。


「こんな事なら観測班の者達と足並みを揃えてくるべきでした」


 戦場には投入されなかった兵士達、普段は霊力の動きや相手の性質などを遠方から把握するための役割の者達。

 基本的には見ることが職務である為戦闘は行わないのだが……今はそんな彼等の手ですら借りたい状況にあった。

 天照を捕らえる網は未だ綻びすら見せず、石元は焦っていた。

 そんな時、石元の背後から地面に亀裂が入る音が響く。


「し、死ぬかと思った……今日は厄日か、ビルから落ちるわ土の壁が上から降ってくるわ……」


 山坂だった。

 その穴は人間一人分が通れる大きさで、山坂が出てくる前に山坂が乗っていた子機がひょこっと飛び出す。

 山坂が現れた場所は天照と石元の正面であり、伊織が妨害をしに来るには遠すぎる距離だった。

 

「むっ! 完璧な位置調節! この距離なら外すまい!」


 山坂は狙った位置に出れたことを喜んだのか、自分を褒めると子機に接続したままの鍵を手に取り、構える。

 この段階で、石元は山坂の存在に気づいた。

 気づくのが遅すぎた、石元が振り返った時山坂は既に鍵を構え、そして引き金を引いたのだ。


「死ねよやーーーーーー!」


 石元は一瞬で状況を理解し、そして回避を行おうと考えたがあえてそれをしなかった。

 すれば背後の天照が狙われるからだ。

 彼女は、自らの命と引き換えに天照を庇う事を選択した。

 そして引き金は引かれ、彼女の存在は消えるのだった。



次のタイトルが原因と書いたが前の話の次とは書いていない、つまりその気になれば10話後20話後も可能…!という言い訳を思いついたので初投稿です

こんなに長くなるとは思ってなかった


やる気が全く沸かない仕事の面接に行ったら採用の方向で話が進んだので明日辞退してくるので初投稿です

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