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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
東京侵攻編
52/207

アーチエネミー/Archenemy

MD215年 6/2日 13:47


 伊織は山坂の問いに飄々と返すと、足に履いていた草履をきちんと履き直す。


「いや、しかしそのペス殿とやらはどなたかな? 高路を破壊できる様な御仁が居るとは興味深い!」


 そして右手を額に当て、周囲を見渡すような動作で山坂達4人を眺めると一人だけ異質な雰囲気を漂わせているゴーレムへと目をつける。


「おぉっ! 其処に居るのはもしやゴーレムでは? いやぁ実物を眺めるのはこれで4度目……」


「てめぇぇぇ!」


 と伊織が物珍しげにペスを眺めていると、怒声と共に金属音が響く。 


「ハハハ、血気盛んな事よ! だが大いに結構、若者はそうでなくてはな!」


 アデルはペスを眺めていた伊織に対して剣を抜き斬りかかるが、伊織はそれをいつの間にか右手に持っていた鞘一つでそれを受け止めていた。

 剣を受け止められながらも、アデルは怒りに染まった表情で剣を握る右手に力を込める。


「てめぇ……! ベルはどうした!」


「ベル……あぁ、あの女子にござるか? 彼女なら無事よ、何せ供物故な」


 供物という単語にアデルは更に怒りを滲ませ剣に力を込めるが、伊織はそれに全く動じず笑ってアデルへと話しかける。

 そしてそれを見ていた残りの3名は呆気に取られたり興味深そうに見ていたり慌てていると言った三者三様を見せていた。


「あ、あぁぁぁあの!? あ、アデルさん!? いいぃいきなり知らない人に切りかかるのはどうかと思いますよ!?」


 そんな光景を見て慌てていたアレーラは、両者を仲裁しようとアデルへ近づいていく。


「寄るんじゃねえアレーラ!」


 今までアレーラが聞いたことの無いアデルの怒声に、思わずアレーラの体が竦み立ち止まる。


「それにな、こいつは知らない奴なんかじゃねえ……こいつだ! ベルを攫っていきやがったのは!」


「え、えぇ!?」


「ハハハ、左様左様、拙者が攫ったのは真実よ、そして其処の男が守りきれなかったのもまた真実」


「てめ───」


 伊織はそう笑い飛ばすと、右手に持った鞘でアデルの剣を腕ごと上にかち上げると目にも止まらぬ速さでアドルの胸元を鞘で突く。

 その一撃は軽装の鎧とは言え、突いた部分を一撃で破砕しながらアデルを2メートル程後方へ弾き飛ばす。


「がはっ! げほっ……!」


 吹き飛ばされたアデルは、何が起こったのか理解できておらず地面の上で咳き込んでいた。

 アレーラも突然目の前に居たアデルが後方へ弾き飛ばされ、何が起きたのか分からず目を丸くしていたが直ぐにアデルへと駆け寄り癒しの呪文を練り上げ始める。


「安心せい、峰打ちにござる……いや当たり所が悪ければ死ぬやもしれぬが」


 そして伊織は右手に持っていた鞘を再び背中に背負うと、山坂とペスへと視線を移した。

 その視線は強者を探している様にも、飢えた虎の目の様にも山坂には見えた。


「さて、それでペス殿とやらはどちらでござろうか? 名前の響きからして恐らく女性だとは思うのでござるが……」


 伊織は山坂とペスを交互に眺める。


「そちらの白い衣を着た男は違うであろうし、であるならば其処なゴーレムがペス殿であろうか? あぁいやそれとも何処か違う場所に仲間が居るという事も?」


「あぁ、こいつがペスだぞ」


 と伊織が考えに耽ろうとしていた時、山坂がペスへ向けて指を指す。


「おぉ、そうでござったか! なるほど、確かにゴーレムならあの高路を破壊する事も可能かもしれんな」


 伊織は山坂の発言に満面の笑みを作ると、「かたじけない」と礼を言う。

 

「いや別に礼を言われるほどの事で───」


 そして山坂が返事をしている途中で、何かを切断する音が響く。


「───は?」


 山坂が横に目をやると重量物が地面に落ちるような音と共に、ペスであった残骸が四肢をもがれた状態で転がっていた。


「これで一人始末した、残るはお主達3人でござるな?」


 伊織はいつの間にか抜いていた刀を背中の鞘へ納める。


「やべぇ! 田崎に殺される!!」


 ペスの残骸を見て、山坂は悲痛な叫びが辺りに響く。

 そしてアデルを治療していたアレーラと治療されていたアデルは、ペスが解体された事に驚愕していた。


「て、てめぇ! 何しやがる! 折角僕が教えてやったというのに! 馬鹿かてめぇばっかじゃねえの!? またはアホか!?」


 山坂が伊織へ指を指しながら罵倒する。


「ハハハ、いやーすまんすまん、これもお上からの命令でなぁ。 北から来る連中は撃滅せよとの命令なのよ」


「ぬわぁにぃ!?」


「と言うわけで、お主達三人此処で死んでもらうとしよう」


 そして、伊織は再び満面の笑みを山坂へ見せる。

 その笑みを見た山坂は、思わず後ろへ下がる。


「ちっ……! その物言いが気にいらねえな!」


 山坂は腰に下げたホロスターから銀色の拳銃を二挺引き抜く。


「誰が大人しく殺されるか! おい! 其処の赤毛に栗毛! 寝てる場合じゃねえぞ、死にたくなかったら剣を取れ!」


 そして後方に居るアデルとアレーラへ声を飛ばす。

 山坂の声にアデルは上体を起こすと、立ち上がっていく。


「分かってる! 野郎は今此処で俺がぶっ倒してベルの居所を吐かせてやる!」


 アデルが立ち上がると、アレーラも杖を構えて立ち上がる。 


「よ、よく分かりませんけど……! ペスさんを壊した事は許しません! それにまだ、死ぬ気もありません!!」


 二人が立ち上がる光景を後ろ目で見ていた山坂は、銃を構えたままゆっくりと二人の場所まで下がっていく。


「はっ! 前衛の頼りない剣士が一人に中衛に俺が一人、んでもってマスコットが一人か! 負けるにゃ完璧な布陣だな!」


「ハハハ! そうでなくてはな! 無抵抗な者を殺すのは心が少々痛む、死ぬにしても前のめりこそが侍の本懐よな!」


 そんな三人のやり取りに伊織は笑うと、腕組をしながら笑う。


「では生き残りたければ死ぬ気で来るが良い!」


「偉そうに上から物言ってんじゃぁねえ! 消し炭になっちまえ!」


 伊織の発言が鶏冠に来たのか、山坂は銀色の銃の引き金を引く。

 引き金を引くと同時に、銃口の無い拳銃の先端から鷹の鳴き声の様な発射音と共に二つの紫電が伊織へ向け放たれる。

 伊織はその紫電に対応できなかったのか、不動のまま紫電を一身に受けた……様に山坂には見えた。


「はっ! 光の速さで移動できる訳でもあるまいし、侮りやがったなバ──なにぃっ!?」

 

 次の瞬間、勝ちを確信していた山坂が見たのは炭になった伊織ではなく変わらず其処に立っている伊織の姿だった。


「ハハハ、いやぁ中々の熱さにござるなそれ、稲妻を放つとは面白い武器にござる」


 笑う伊織に対して、山坂は立て続けに銃を乱射する。

 しかし発射された紫電は伊織へ当たる1メートル手前辺りで、球状のバリアでもあるかのように逸れて後方や左右に着弾してしまう。


「馬鹿な、何であたらねえ!? まさか……呪禁持ちか!?」


「さて、どうでござろうな? では紫電の返礼……参る!」


 伊織が右足を一歩前に踏み出すと、山坂の目前まで二刀の刃が迫る。

 それに気づいたのか、山坂の顔が引き攣る。


「儚き盾/Ephemeral Shields!」


 だがその二つの刃が山坂の首を刎ねる前に、淡い霧の様な盾が刃を阻む。

 盾が刃を防いだ事で、山坂は後方へ飛びのくと同時に銃を乱射する。


「俺を忘れるんじゃねえぞ!」


 紫電が伊織を避けて地面へ着弾する中、紫電の切れた瞬間にアデルが伊織へと切りかかる。

 伊織はそれを刀の刀身で受け流すように、アデルの剣を地面へ誘導するとアデルの顔面へ頭突きを放つ。


「ごはぁっ!」


 そして怯んだ所へ腹部へ蹴りを放ち、真横へ吹き飛ばす。


「ハハハ! 中々の援護でござったがまだまだ未熟!」


「アデルさん!」


 伊織と二人の戦闘についていけず、棒立ちしていたアレーラもアデルが吹き飛ばされたのは見えたのかアデルへ駆け寄っていく。


「待っててください、今治療を……!」

 

「おっと、そういえばお主は癒しを使えるのでござったかな? そういう手合いは真っ先に仕留めておかねばな」


 アデルへ近寄ろうとするアレーラを見て、伊織は先ほど癒しの魔術を使っていた事を思い出す。


「に、逃げろアレーラ……! 殺されるぞ!」


 地面に横たわりながら、伊織の視線に気づきアレーラへ逃げるようにアデルが促す。

 だがアレーラへ向かおうとする伊織の両足を、金属の腕が捕まえる。


「ぬっ!?」


 それは先ほど伊織に切り刻まれたペスの両腕だった、両腕は何かに操られるように、そして地面に根を張ったように強固に伊織の足を押さえつける。


「その場しのぎの人形/Makeshift Mannequinだが、とりあえず援護はしてやる!」


 山坂がそう叫ぶと、より一層伊織の足を捕まえる力が強くなる。


「あ、ありがとうございます!」


 山坂が足止めをしてくれた事に気づいたアレーラは、礼を言うとそのままアデルの元へ辿り着き治療を始める。

 よく見れば山坂は自身の胸から飛び出ている光が映すモニターを操作して、ペスを操っていた。


「なるほど、ゴーレムが居るのならばその所有者も当然居るのは道理……お主でござったか」


「当たり前だよなぁ?(当然)」


 山坂はドヤ顔をしながらペスの腕を操作し、伊織の足を握りつぶそうとしていく。

 

「まずは足を潰す! 次に腕を潰して最後は頭だ! 生き地獄を味あわせてやるぜぇー!」


「えぇー、本当にござるかぁ? 生き地獄は困るでござるなぁ、ただでさえ職場でも肩身が狭いと言うのに」


「お前の身の上なんか知るかよ!」


「でござろうなぁ……であるならば、拙者も少しやる気を出すとしよう!」


 そう言うと、伊織は緑の霊力を体に集め始め呪文を織り上げ始める。


「The massive dominate through might. The tiny survive with guile. Beware the tiny who become massive.」

( 大なるものはその剛力でもって優位性を保つ。小なるものはその狡猾さでもって生き延びる。小が大になった時は気を付けろ。)


「緑の霊力だぁ!? 強化呪文か!?」


「剛力化/Titanic Growth!」


 伊織が呪文を織り上げ終わり、名を叫ぶ。

 本来ならこの瞬間、呪文は効力を発揮し適正な効果を発揮するのだが……その時は何も起こらなかった。


「Perhaps you could try throwing a rock? That might be better suited to your intellect.」

(石でも投げてたほうがいいんじゃない?あんたの知性にはそのぐらいがお似合いだよ)


 山坂はそう言うと、青の霊力をモニターを操作していなかった左腕から放出し本来呪文になるはずだった緑の霊力を弱弱しい力へと変えていた。


「呪文が打ち消された……! 馬鹿な、青の霊力は感じ取れなかったというのに」


「まぬけが! 科学を嘗めるなよ!」


 そして山坂はそう言うと、右手でモニターを操作していく。

 山坂がモニターを操作していく度に、先ほどバラバラになったペスの残骸が空中へと浮かび上がると伊織へと突撃していく。


「むぐっ……! これは、中々のマッサージ力……!」


「余裕ぶっこいてんじゃねえ! おい栗毛! 赤毛はまだ戦えそうか!?」


 突撃してくるペスの残骸が体に当たる度に、伊織は心地よさを感じるのか笑みを浮かべる。

 それを気持ち悪がりながら、山坂はアレーラへ声を掛ける。


「だ、駄目です……骨が何本か折れていて……!」


 必死に治療を行うアレーラだが、扱う霊力の量が少ないのか擦り傷等の小さい怪我が少しずつ治っていくだけで完治させるには程遠い状況だった。


「いや、い、いける……! 俺はまだ、戦える!」


 剣を杖にして、ゆっくりと立ち上がろうとするアデルだったがアレーラがそれを引き止める。


「だ、駄目です! そんな状態で戦うなんて無理ですよ!」 


「無理でも何でも、やらなきゃどっちみち殺されるんだよ……!」


 そしてゆっくりと立ち上がると、剣を構えるアデル。

 それを横目で眺めていた山坂は口元を上げる。


「アホかお前は、逃げるって手もあるだろうが!」


「逃げ切れるわけねえだろ……仮に逃げれるとしても、俺は逃げるなんてのは真っ平ごめんだ!」


「だろうな! いいぞ、赤毛! 面白くなってきた! 魔族は屑だし霊力に適合した人間もゴミ同然でどうせ最後は皆殺しだが! 気に入った!」


 そして山坂は叫ぶと同時に胸から出ていたモニターを消す。

 

「お前を殺すのは最後にしてやる!」


 モニターを消すと同時に、伊織へ突撃していたペスの残骸達の中からワイヤーが飛び出し伊織へ絡みつき始める。


「からみつく鉄線/Tangle Wire!」


「むおっ!? まだ掴みに来るか!?」


 ワイヤー達は意思を持っているかのように伊織の全身へ絡みつくと、完全に動きを封じる。


「流石に動けまい! おい栗毛! 今のうちに赤毛を連れて逃げろ!」


「なにっ!? おい、俺は……!」


「アデルさん……! 行きましょう!」


 山坂の意見にアデルが反論しようとするが、アレーラが強い意志を込めてアデルを村から貰った馬が居る場所へと引っ張っていく。


「アレーラ! 俺は、逃げるなんて真似は!」


「これは敗北ではない! 戦略的に見れば奴の任務を失敗させる事になる! つまり俺達の勝ちなのだ! まあそれにお前は今役に立たないし邪魔だからさっさとマスコット栗毛と共に逃げるのだ」


 逃げると言う事を頑なに拒否するアデルへ、山坂が叫ぶ。


「そんな屁理屈で俺が納得するとでも……づっ!」


 山坂へ叫び返そうとするアデルだったが、折れた骨が痛むのか胸を押さえて立ち止まる。


「ガハハざまぁみろ、身の程弁えたらさっさと撤退しろ、そんでもってこいつに対する対抗策でも引っ提げるんだな! ……さっさと連れて行け栗毛!」


「は、はい! でもあの、山坂さんは……?」


「俺は格好つける為に残る」


「はい?」


 アデルへ肩を貸し、馬の場所まで移動していくアレーラが山坂について尋ねる。

 すると本人からは間の抜けた言葉が返ってきて、ついアレーラも間の抜けた言葉を発してしまう。


「いいからさっさと行け! このワイヤーだって無限に捕まえられてるわけじゃねーんだよ!」


「あ、は、はい!! すみません!」


 そしてアレーラとアデルが馬の居る場所へ到着すると、二人は一頭の馬に二人で乗り込み走り去っていく。

 走り去っていく途中、心配そうに何度もアレーラは振り返るのだった。


「さて、待たせたな伊織さんよお」


 山坂は右手を後ろにやり、頭を掻く。


「いやいや中々の物語を見せてもらった、なるほど確かに拙者は北から進入してくる者を撃滅しろと言われたが逃げる連中を追って北へ入れとは言われてはおらんからなぁ」


 ワイヤーで雁字搦めにされている状態でも、伊織は余裕の表情を崩さず山坂へ笑みを浮かべながら笑い返す。


「ふん、気に入らないな其の余裕の表情、もう少し出力が上がればそのまま絞め殺してやるんだが……」


 そして山坂はそう言うと、自身に内蔵されている霊力の残存量を確認する。

 36%。

 このペースで締め上げるとなると持って後5分かそこ等という所だろう。


「だがそれをせぬということは、それをする余裕が無いのでござろう?」


 伊織はそれを見抜いているかのように、全身に少し力を込める。

 すると伊織を拘束していたワイヤーが少しだけ緩む。


「ちっ!」


 山坂は咄嗟にワイヤーへ自身の霊力を送り込み、拘束を再び強める。

 残り霊力残量、31%。

 その数値に、山坂は舌打ちをする。


「やれやれだな、何でこの僕が現地魔族を逃がす為に態々留まってるんだか」


 そして山坂は徐々に伊織との距離を詰めていく。


「まあ暇つぶしは出来たし、よしとするか」


「暇つぶし、でござるか」


「あぁ、暇つぶしだ、これから何十年、何百年と続く永遠の倦怠を生き残る為のな」


「ほう? それはどういう──」


「まあお前は知らなくて良い、ここで死ねや」


 山坂はそう言うと、自身の胸を強く右手で叩く。

 すると同時に伊織へ絡み付いていた鉄線やペスの残骸が白熱化し始める。


「うおお! 流石に熱いのは拙者も勘弁でござるよ!?」


「ワハハハハ! ペスの残骸を始末するついでにお前も始末できるんなら一石二鳥よ!」


 そして山坂の体も白熱化し始め、着ていた白衣が燃え始める。

 そのまま肉体が徐々に解け始め、肉が削げ内部の金属フレームが見え始める。


「お主……、ゴーレムであったか!」


「正確には違うが、まあ今の僕はそうだな、とりあえず僕は死ぬ感覚なんて味わいたくは無いんでな! お前だけ死ね!」


 その台詞を言うと山坂の体は前のめりに地面に倒れる。

 そして倒れると同時に閃光が伊織の目を覆い、次に熱が伊織の全身を覆った。



─────────────────────────────


 一時間後、村近くで巨大な爆発があったと聞き村人達は興味本位でその爆発後へと見物に来ていた。

 本来そこには田畑や道があったのだが完全にその面影は消え去っており、今では巨大なクレーターが残るのみだった。

 

「あら~……こらすげぇなぁ」


「一体何があったのかしら……怖いわねぇ」


「あ、あまてらず様が怒ったとか……」


 等と村人が口々に勝手なことを話していると、突然村人の一人が声を上げる。


「お、おい見ろ! あそこ、何か動いてねえか!?」


 村人が指差す先を見ると、確かにその地点には黒焦げの何かが蠢いていた。


「ば、化け物かしら……」


「た、退治するべか?」


「おおおおっかねぇ!」


 村人が不安に怯えていると、再び声が上がる。


「ねぇ、あれ……人間じゃない?」


 その女性の声で村人達が目を凝らす。

 確かに黒焦げになったそれは人型をしており、人間に見えない事も無い。


「人間ったって……あんな黒焦げじゃあとても生きては」


「でもあれ、動いてるわよ?」


「どうせすぐに死んでまうよ、あんな状態じゃあ」


 と遠巻きに村人が好き勝手に言っていると、その黒焦げの何かから笑い声が上がる。


「ハハハハハハハ! いやー! 死ぬかと思った!」


 その声の主、伊織は高らかに笑うとある人物へと礼を言う。


「助かったでござるよ! 半蔵!」



長い間お待たせしてしまったので初投稿です、投稿ペースは不定期です

次:東京侵攻について話し合ったら


復讐者、山坂 黒赤青


伝説のクリーチャー:人間


復讐者、山坂が場に出た時貴方は望む数のライフを支払っても良い、そうしたなら支払った数と同じ枚数ライブラリーからドローを行う


2/2

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