世界が滅亡したら
アレーラがご神木へお神酒を奉納していた頃。
「よし、それじゃあ今年も村の豊作と安全を守ってくれているご神木様の為に皆で準備するぞ!」
村長の宗形は村の中央にあるお立ち台の上で村の住人達へ向け祭りの準備を指示していた。
「では女性陣は三日後の祭りに向けて食事の下ごしらえと男性陣は───」
その時
ザザ ザザザ── という音が村の上空、村長が指示をしている丁度真上から響いてきた
ザザザザザザザと更にその騒音は増し、徐々にバチバチという音も増えていった
その場に集まっていた村人達は上空を見つめ、何が起きているのか、何か良くないことが起きるのではないか…と思い始めていた。
その時。
「空間座標の固定を確認、転送を開始します」
その声が響くと、今までの騒音は消え代わりに──村の上空、その一点が閃光を放った。
「巨大戦車、出撃」
閃光に目を奪われた住人達は一斉に目を塞いだ、塞ぐと同時に巨大な振動音、そして何かがバキバキと倒壊する音を聞いた。
そして地うねりの様な音を、何か…巨大な生き物の心臓を動かすような音を。
その後彼らを吹き飛ばす強風の音を。
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私が立ち上がり目を開けた時、今まで私達が住んでいた村には…巨大な何かが轟いていた。
大きな口を開け肩には巨大な包丁のようなものを装備する四足の何かが。
その大きさは私の10倍は優に超え、私達の家の3倍ほどの大きさがありました。
顔と思わしき部分には目と口があり……目には生気の欠片も無く、口は何かを砕くことにのみ特化したような歯を持っていました。
そして、その顔は私達ではなく山──ご神木様の方へ向けられていました。
「き、君!君は一体何者なんだ!わ、私達の村に一体何の用事かね!」
最初に声をあげたのは宗形村長でした、目の前の巨体が発する音にも負けじと声を張り上げ、問いました。
「そ、そうよ!ビックリさせて!」
「さっさと出て行け!」と言う様な声が集まっていた住人からも聞こえてきました
住人の一部の人は手や体に霊力を集め始め、いつでも攻撃を行えるように。
村長や皆の声に反応したのか、その生物は顔をご神木様ではなく私達の方へ向けました。
その顔、いえ目は私達を値踏みする様に赤く光らせ私の知らない言葉の様な音を発しました。
「霊力適合指数30オーバー、人間の存在は確認できません」
機械はそう発すると、目を更に強く光らせ私達を睨みつけます。
「敵生体の戦力測定──測定終了、最大戦力2/1と断定、敵生体の殲滅を開始します」
その音が聞こえ終わるや否やそれは左足を天高く掲げ────
「い、いかん!皆!逃げ──」
私の目の前に足を振り下ろしました。
それが足を振り下ろすと再び私達を強風が襲い、そして──血飛沫とぶちゅっという何かが潰れる音が聞こえてきました。
「いやあああああああああああああああああああああ!!」
私の絶叫と共に、村の魔法に精通している人たちがそれに向かって攻撃を始めました。
炎や氷、糸、風──様々な魔法がそれに向かって放たれました。
その魔法は確かにそれに命中しましたが──それは怯むことなく口を開き、私達の手前の地面を削り取りながら残りの村人や私を──
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「全敵生体の殲滅を確認、我々の勝利です、このまま自動殲滅モードを続ける場合は次の目標を設定してください」
数分後、赤い血溜まりや燃える家の残骸の中心に巨大戦車は立っていた。
口からは先ほど口に入れた化け物を磨り潰した血が垂れ、目は赤々と輝いていた。
「命令を確認、周囲の走査を行います──」
巨大戦車は指令を受け取ると、センサーを稼動させ周囲を探る。
「5キロ先の山中に存在する樹木から膨大な霊力反応を確認、人間の存在を確認……殲滅しますか?」
周囲の走査を終えると巨大戦車は更なる指示を請い、彼らはそれに応える。
「命令を確認、これより自動殲滅モードから手動操作へ切り替えます」
指示を了解した巨大戦車は、その巨大な足を踏み出す。
先程まで生きていた魔族や、村の残骸を踏み潰しながら。
「よっしゃーーーー!ボス戦だーーーーーー!!!」
そして巨大戦車はそんな声を響かせながら、巨大戦車は山中へ向かって動き出した。
暇つぶしに書いているので投稿ペースは速くは(ないです)、へたくそです
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