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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
中国編
201/207

時間停止/Time Stop

https://www.youtube.com/watch?v=mVjx0SJOrng

Rivers In The Desert (ペルソナ5)

MD215年 11/26 08:46


「さて、それじゃあ始めましょうか」


 自らよりも巨大な神を前に、クレケンズは微笑んだ。

 空は青く澄み渡り、大地は花が揺れている。

 マンジェニの周囲だけは相変わらずの白色の塵で溢れていたが、塵にされるたびに自然が戻っていく。


「黄龍も無事な様ですし……やはり雑魚には構っていられませんね」


「……なんだと?」


 クレケンズはマンジェニなど眼中に無いと言わんばかりに周囲を見渡しながら呟いた。

 その言葉に、田崎が反応した。


「お前今、俺の事を雑魚つったか?」


「えぇ、あなた程度では私の脅威にはなり得ませんから」


「そうかい!」


 マンジェニは地面に両手を差し込むと、それを持ち上げるように両手を上げた。

 神の手によって死んだ地面は急激に色を失いながらも形を保ち、大量の土塊がクレケンズ目掛けて浮かび上がった。


「土遊びですか、幼稚ですねぇ」


 クレケンズはそのまま猛烈な勢いで浮き上がった土塊の波に飲まれた。

 

「まだまだぁ!」


 田崎はクレケンズが飲み込まれたのを見ても尚攻撃の手を緩めず、マンジェニの口が開いた。

 ロシアで凶鳥相手に放った、霊力を消滅させる攻撃である。

 だが今度は口だけではなく、体のあらゆる場所から小さな穴が開く。

 それは戦艦の連装砲を彷彿とさせた。


「くたばれ、サイコホモ!」


 田崎の言葉と共に、体中の穴から鈍色の光を放った。

 浮き上がり、落下を始めた土塊を光が貫いていく。

 光に触れた瞬間、土塊は一秒も持たずあっという間に塵に変化した。


「オラオラオラオラオラァァァ!」


 マンジェニは更に体の格納部から無数の眷属を弾丸の様に射出した。

 高速で射出される眷属は地面に激突するたびに紫色の体液を周囲にまき散らし、猛毒で汚染する。


「人類は……様々なエネルギーに導かれてその文明を進めてきた」


「上か!」


 マンジェニの計器が、クレケンズの場所を示した。


「では、霊力程のエネルギーが導く文明とはなんでしょう?」


「ちぇい!」


 マンジェニは両肩から眷属をクレケンズの居る方向へ向かって乱射する。


「何度使っても尽きることのない半永久的エネルギー」


 だがそれらの弾丸は射出されて直ぐに、見えない壁にでも衝突するかのように空中で破裂していく。


「更には人を進化させ、超常の力すら扱えるようにさせる……」


「ちっ、結界か!?」


「実に素晴らしい、これこそ正に人類を更なる進化へと導くために必要なものだったのです」


 クレケンズの独白を気にもせず、田崎は攻撃を続けた。

 しかしそれが無意味なことを悟るとマンジェニを一度後方へ下げようとし、何かにぶつかった事に気が付いた。


「後退不能だとぉ、馬鹿言え! 後ろには何も無いじゃねえか!」


 マンジェニのコックピットには移動不能の文字が表示されていた。

 田崎は思わず後ろを確認するが、マンジェニの後方には何も存在していなかった。

 にも関わらず、見えない壁に阻まれて神の触手は移動を阻害される。


「此処にも結界か、しゃらくせえ!」


 田崎は眷属を射出しての攻撃を中止し、再び光線の発射準備を行う。


「ふふ、無駄ですよ」


「じゃかあしい!」


 田崎も叫び、神も咆哮を上げた。

 体中から再び全てを塵へと戻す光を放つが……それは先ほど眷属が爆ぜた部分で停止した。

 他の部位から発射されている光線も一定の距離で全て光の通行が遮られていた。


「馬鹿な、どうして通過しねえ!」


「だから先ほど言ったでしょう、無駄ですよと」


 クレケンズは光が遮られている見えない壁のある部分へ降り立つと、したり顔で田崎へ告げた。


「あなたの周囲の時間を停止させて壁を作りました、聡明なあなたならこれが何を意味するかお分かりですね?」


「ちっ!」


 田崎はクレケンズ目掛けて、マンジェニの拳を放った。

 だがそれは先ほどと同じように壁に遮られる。


「同じことを何度言わせるつもりですか? 時間の停止した大気は文字通り何物も通過させません」


「馬鹿言え、何も通さないならどうして俺とお前が会話出来てる! 何か方法があるはずだ!」


「あなたとのお別れを告げるために一部分に穴を開けていただけです、ですがそれもこれまでです」


 クレケンズはそう言うと、軽く壁を蹴って空中へと躍り出た。


「さようなら」


「クソ野────」


 それ以降、マンジェニを包む壁の内部からの音は一切遮断された。

 壁の内側ではマンジェニが暴れているが、それらは一切外への影響を及ぼさなかった。

 神の一体は封殺されたのだ。


「さて、次は……」


 クレケンズがそう思案した時、自らの体が地面に引っ張られていることに気づいた。

 もっと言うならば、地球の内部からだ。


「おやおや、既にお目覚めでしたか」


 地上へゆっくりと落下していくクレケンズは、その原因を見上げた。

 天使の輪を持つ、現実の王が其処には存在していた。

 神の背後には、弧を描くように各色の太陽が並んで神を称えていた。


「いやーごめんごめん、お待たせお待たせ」


「いえいえ、準備運動が今終わったところですので」


 現実の王……三神の一柱であるタリブの中から永村の声が響いた。

 クレケンズは背中からゆっくりと落下しながら、輝く王冠を持つ神の影に覆われた。


「じゃ、とりあえずご挨拶で一発いくね~」


「これはこれは、ご丁寧に────」


 タリブの渾身の一撃が、クレケンズへ振り下ろされた。

 それはクレケンズへ直撃すると、そのまま地面へ激突し、大地の一部を粉々に打ち砕いた。


「やれやれ、1:2か……厳しい戦いになりそうだ」


 拳を戻しながら、永村は微笑んだ。






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時間停止/Time Stop


Time Stop / 時間停止 (4)(青)(青)

インスタント

ターンを終了する。


「まだ時間かかるのかい?」

────大魔導士、クレケンズ

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