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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
札幌制圧編
19/207

色について説明したら

MD215年 5月1日 PM15:22


「いや、来ちゃったって…仕事はいいんです?あー……市長様?」


 突如訓練場に現れた市長に、アデルは嫌々敬礼をしながら問いかけた。


「何じゃ、嫌そうに敬礼しおって……表情にも出ておるぞ」


「いやぁそんな事ありませんよ……。それで何しに来たんです?」


 アデルはそう言うと敬礼を止め、話題を逸らす事にした。


「小童め、露骨に話を逸らしおって……」

「まあええわ、実はそこの小娘にもう一度村を襲った化け物について聞こうと思っておったんじゃよ」

「そしたら何やら霊力の色について話しておるのでな? 巫女として不勉強な小娘に教えてやるのも面白いかと思ってな」


 芽衣子はそう言うと、アレーラの方へ向き直った。


「あの……でもいいんですか?」


「うむ、良い良い」

「それにこの色に関連する話はお主に聞こうとしている事に多少関係するかもしれんしの」


「関係……ですか?それってどういう…。」


 アレーラが言いかけると、芽衣子は左手の人差し指をアレーラの口に押し当てた。


「ストーップ! その質問は儂のれくちゃあが終わるまで取っておけい!」


 急に人差し指を押し当てられたアレーラは驚き、言葉を紡ぐ事を止める。


「うむ、ではこれから白蛇の巫女直々の霊力の色講座を始めるぞ!」


「まず基本中の基本じゃ、霊力には色がありその色は5色。」

「白、青、黒、赤、緑の順番じゃ。」


 芽衣子はそう説明するとアレーラの口に押し当てられた指を戻し、その指で空中に円を描く。

 円を描くとその円の中に五色の玉が浮かび上がる。

 玉は時計回りに白、青、黒、赤、緑と並んでいる。


「こいつらは隣り合う色同士と相性が良い、白の場合は…青と緑じゃな」


 芽衣子がそう言うと白、青、緑の玉が発光する。


「逆に隣り合ってない色とは中が良くない、白の場合は…赤と黒じゃな」


 芽衣子がそう言うと先ほど光っていた青と緑の玉は発光を止め、逆に黒と赤の玉が発光する。


「この隣り合っている色を友好色、隣り合っていない色を対抗色と言うのじゃ」

「まずは此処までは分かったかの?」


「はい、何となくですけど」


「うむうむ、まあ友好色とか対抗色に関しては今は関係ないからとりあえず五色あるってことだけ分かっておればよいぞ」

「では次に一色ごとの特徴…というか性格について語るとしよう」

「結構説明長いから頑張るのじゃぞ!」


 芽衣子が空中に浮かぶ白い玉を突くと白の玉が発光し、他の色は発光を止める。


「まずは白じゃな、白は平和を求める色じゃ」

「白は社会全体が互いに助け合い、秩序を尊重し、平和に暮らすことができる世界を実現することが可能だと信じておる」

「ただしそのためには各人の努力が必要じゃ、平和な社会を守りまた広めるために、白は道徳と法に価値を置き、その仕組みを固く維持しようとする」

「また白は全ての個人が全体のために行動することを求め、道徳や法に反する個人は捕らえられ罰されねばならないと考える」

「そして白はまた光と防御の色であり、最も宗教性が強い色でもある」


「どうじゃ?まずは白がどういう色か分かったかの?」


「えーっと…つまり、皆の為に皆が行動する事は良い事だー!っていう考えの色、ってことですよね?」


「うむ、そんな感じじゃな」

「社会的規範を守り皆が皆を尊重するならば良い社会が出来ると信じている色なわけじゃ」


「なるほどー、ところで色の性格って言ってましたけど霊力って魔法を使う為に必要なものなんですよね?」

「どうして色に性格があるんですか?」


「ほほう、中々良い所を突いて来るのアレーラ」

「ではその質問には其処で欠伸をしながら儂の説明を聞いておった小童に答えてもらうとするかの」


 芽衣子は顔を欠伸をしているアデルへ向け、アレーラの質問に答えるように促す。


「えっ!?俺ですか!?いきなりすぎる……今回俺の出番は無いと思っていたのに…」


「いいからさっさと答えんかい!」


 芽衣子がアデルへデコピンを放つと、アデルは嫌そうな顔をしながら答える事にした。


「はいはい答えますよ、答えればいいんでしょもう」

「何で色に性格があるかっていうとだ、俺たち個々人にも色があるからだ」

「例えば市長様の色は青、白、緑の3色、この間会った俺の上司のギト士長とかは赤白」

「そういう感じに体に馴染んでる色はその個人の考え方や性格に影響を与えてるのさ」


「ほー…中々良く勉強しておるな? まあこんな事は基礎中の基礎じゃから当然といえば当然じゃが」

「まあそういう理由で色には性格があるんじゃな、分かったかの? アレーラ」


 アデルの答えに満足した芽衣子はアレーラへと問いかけ、アレーラは頷きで答える。


「はいはいどうせ俺は不勉強に見えますよ」

「ってわけで答えたんで残りの色のご説明どうぞ、市長様。」


「ぬふふ、そう拗ねるでないて。では残りの色の説明を行うぞ?」


 芽衣子はそう言うと、人差し指で空中に浮かぶ青い玉を突付き発光させる。


「では次は青じゃ、青は完璧を求める。青は全ての者が生まれた時は無地のキャンバスであり、その方法さえ知れば、各人が望む限りの者になることが出来ると信じている」

「それを実現するために、青は知識を求め、時間を掛けてそれを理解しようとする。青は可能性を広めること自体が害になるとは考えない色じゃ」

「カラー・ホイール上で白と黒の間に位置する青は、社会の価値については中立的であり、個人の進歩を促進しそれ自体も進歩するような共同体は賞賛するが、進歩を抑圧するような共同体は否定する」

「青はまた水と大気の色であり、非常に受動的で何かに対する対応が遅い色でもある」


「うむ、これが青の性格じゃな、ここまでで何か質問はあるかえ?」


 と芽衣子が訪ねるとアレーラが右手をあげ、「はい!」と答えた。


「うむうむ、元気な答えじゃな、して何が分からなかったんじゃ?」


「はい、あのカラー・ホイールって言うのがよく分からなかったんですが……多分その今浮かんでいる五色の玉の位置関係の事だとは思うんですけど」


「ん?あぁカラー・ホイールの……うむお主の言ってる通りこの五色の円の事を指しておる」

「カラーパイ、もしくはカラー・ホイールと呼ばれておる円じゃな」

「カラーパイとは5つの色にそれぞれ割り当てられた機能的な特徴、及びその背後にある色ごとの思想の関係を指す言葉じゃよ」


「なるほど……ほんとにそのまんま色の輪、なんですね」


 芽衣子の説明にアレーラが首を縦に振る。


「うむ、その通りじゃ」

「他に質問が無いようなら次の色の説明へ行くぞ?」


芽衣子がそうアレーラへ訪ねるとアレーラは頷き、芽衣子は今度は黒の玉を突付き発光させる。


「では今度は黒じゃな、黒は力を求める。黒は自身を現実主義者だと考える」

「黒は詰まるところ、世界の誰もが自分自身を一番に守ろうとするのであり、世界とは強者が弱者を支配し搾取する場所だと考える色じゃな」

「そのために黒は力を渇望し、力を増すためあらゆる好機を逃さない」

「黒は道徳や正義や良心などと言うものは見せ掛けの嘘っぱちであると考え、力を得るためにはありとあらゆる手段を用いる」

「黒は間違いなく利己的だが、直ちに悪というわけではない、黒からすれば、個人それぞれが自己の利益を最大化しようとすることで世界は回っているんじゃ」

「黒はまた死と腐敗の色であり、個人主義的で自滅しやすい色でもある」


「……と言った所で少し休憩を挟むかの、其処で一人立ちながら寝ている阿呆も居ることじゃし」


 芽衣子が白、青、黒の色を説明するとカラー・ホイールを消し居眠りをしているアデルを指差す。


「ちょっと詰め所の一室を借りて其処で少し休憩にするかの、立ちながらの勉強は疲れるじゃろうし儂も座って水でも飲みたいわ」

「と言うわけで行くぞアレーラ」


 芽衣子はそう言うと体の向きを変え、訓練場に併設されている衛兵詰め所へと入っていく。

 詰め所へ入っていく芽衣子を目で追いながら、アデルをどうするか問いかけるアレーラ。


「え、あの、あ、アデルさんはどうするんですか!?」


「そんな阿呆は放っておけ、ほれさっさと行って休んで勉強するぞ!」


「え、あ、はい~!」


 そして訓練場のグラウンドには立ちながら眠る赤毛の男だけが残されるのだった。

HIM(ry

次:残りの色と例外について説明したら投稿します

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