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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
ロシア編
182/207

スーパーヒーロー着地をしたら

https://www.youtube.com/watch?v=QGYU47PqUtY

TAKE OVER!

MD215年 11/22 16:00


「うっ……ここ、は……?」


 地面に横たわっていた天使の一人が、体に走る痛みで目を覚ました。

 目を開いた先に見えたのは、焼け焦げた大地と煤が舞う空に飛ぶ巨大な灰色の物体。

 そして、視線の先には真っ黒な物体が幾つか転がっていた。


「私は、確か……ゾンビどもを浄化して、そして……」


 横たわったまま、天使は先ほどまでの自分の記憶を追った。

 彼女の記憶はゾンビを操っていた男を始末した後、エルフや自らが守護する国の兵士達とその残党を狩っている最中に赤い閃光に包まれた所で途切れていた。


「そうだ、私は確か兵達と……しまった、兵達は!?」


 記憶が鮮明になり、先ほどまで自らと一緒に居た者たちの事を思い出した天使はよろめきながら起き上がる。


「酷いな……それにこの匂いは?」


 立ち上がった時、まず目についたのは焼け野原だった。

 先ほどまで青々と茂っていた樹々は燃え立ち、地面の彼方此方に何かが衝突したのか大きな孔が開いていた。

 孔の近くには黒々とした物体や粉々に砕けた金属などが転がっていた。

 また、周囲から漂う肉の焦げた匂いが天使の顔を顰めさせた。


「…………まさか」


 天使はゆっくりと足を引きずらせながら、近くに転がっていた焦げた物体を触ろうと屈んだ。

 黒く焦げたそれの大きさは丁度人の頭位の大きさであり、天使はそれをゆっくりと持ち上げた。

 感触は固く、ぼそぼそとしており触るたびに一部が崩れ落ちた。


「?」


 触っている最中、ぐしゃりと言う音を立てて丸い何かが地面に零れ落ちた。

 天使はゆっくりと足元を見て、それが何だったのかを確認した。 


「っ!」


 それは、まだ炭化しきっていない眼球だった。

 卵が割れるように、地面には黄身の代わりに液体を零す半分が焦げ、半分がまだ生の眼球が落ちていた。


「まさか、まさか!」


 天使はゆっくりと、手に持っていた物体を回転させた。


「くっ、ノーティ……」


 それを確認し、天使は顔を背けた。

 彼女が持っていたのは焼け焦げた頭部だった。

 顔の半分は炭化していたが、もう半分は驚きの表情を保ったまま死んでいた。


「何故こんなことに、一体何があったのだ」


 目を瞑り、同胞の頭を地面に置くと彼女は友人の死を悼みながらこうなった原因を考えた。


「そういえば、空から赤い何かが……空?」


 そうして、彼女は立ち上がり空を見上げた。

 空には相変わらず灰色の巨体が煤を落としながら悠々と飛んでいた。

 彼女から見える部分、凶鳥の体の下には幾つか金属の筒の様な物が付いていた。


「上で飛んでいる奴、怪しいな……むっ!?」


 ズドン、という発射音がロシアの大地に響いた。

 発射音と同時、凶鳥に付いている筒の幾つかが、赤い羽根の様な物を無作為に放つのが天使には見えた。


「なんだあれは、羽なのか?」


 凶鳥が幾つか羽を飛ばした後、遠方で赤い火柱が天高く立ち上った。

 それは彼女が兵士たちを連れてきた場所、秩序の国がある場所だった。


「なっ────」


 続いて、野生の国の方角からも振動と火柱が立ち上った。


「奴め、まさか国を焼いているのか……! おの────」


 そして、最後には再び赤熱した巨大な羽が彼女の足元へ届けられた。


────────────────────────────────────────


「ひゅー! 今のは危なかったな!」


 大空を飛ぶ竜の上で、すっかり元通りの義体になった田崎が声を上げた。

 自らの真横を掠めた羽に、義体の皮膚が焦げ付く。


「熱量はおよそ1500度、奴はまだ休眠状態と見える」


「そりゃ大した温度だ、太陽の1/4の熱さとはな」


 竜の女王の背に立ちながら、田崎は嬉しそうに呟いた。


「……嬉しそうだな、汝」


「元は戦闘機とは言えドラゴンの背中に乗って、ロシアを滅ぼそうとしてる化け物みたいな鳥に立ち向かうとかヒーロー好きとして燃えない訳がねえ!」


 熱く語る田崎を他所に、女王は体を真横に一回転させた。


「うおお、あ、あぶねぇ! 落ちたらどうする!」


「戦闘機という言葉は余計だ、余はそのような存在を既に超越している」


「そりゃすまんかった、しかしあの鳥の動きだしえらく早いな?」


「余が敵対しないのなら奴に敵は居ない、それ故に無意味に粛清を止める理由が無い」


「……ま、実際少しの間だがお前の動きを見ていてその言葉が嘘じゃないってのは理解したつもりだ」


 空中を機敏に飛び回る巨体の上で、田崎は頷いた。

 先ほどからこの竜は凶鳥の周囲を飛び回り、迎撃をしてくる凶鳥の攻撃を避け続けていた。


「マッハで飛ぶ爆撃機ドラゴンなんて強いに決まってるぜ!」


「世辞は良い、汝の策を聞こう」


「あ? ねえよんなもん」


 竜は体を半回転させ逆さまになると、田崎を落下させようとする。


「うおお、重力に従ってたまるか! 俺は叛逆するぞ!」


「無策、無策だと? 余を動員しておいてその物言いはどういうことだ」


「しょうがねえだろ! お前が外で暴れてる間に俺が無理やり飛び乗って内部で操ってる脳味噌を落とすのが実際最良だろうが!」


「飛び乗る? 秒間百発は打たれる1500度の羽を避けながらか?」


「そうだ、それ以外に手はねぇ。 そしてお前ならそれが出来る」


 必死に地面に落ちないようにしがみつく田崎は、それでも尚竜の女王を鼓舞する様に挑発する。


「ふん……小僧」


「お?」


 竜は再び半回転し、元の位置に戻ると田崎へ問いかけた。


「汝が奴を止められなければ、あるいはあの鳥を殺して今一度の復活を齎せばこの星は終わりだぞ」


「問題ねぇ、俺は失敗しない」


「傲慢な答えよな」


「人間ってのは無意味に自信家で、無意味に強欲なのさ」


「ではその自信の程を見せてもらうとしよう、十秒後に奴の上空を通過する。 それ以後は余は関知せぬ」


「上等!」


 田崎は拳を打ち鳴らすと、背中の鱗状になった金属へ両手を掛け構えた。

 

「行くぞ」


 竜の言葉と共に、翼のジェットエンジンが火を噴いた。

 それまで凶鳥の背中にある砲台から距離を取ってゆっくり飛んでいた竜は、今再び翼に火を点す。

 急激なGが田崎を襲った。


「うおっ! ははっ、いいねぇ!」


 加速を始めた竜を確認すると、凶鳥の背中に付いている砲台はその全てが竜へと狙いを付け弾丸を発射していく。

 一発一発が1500度の温度を保つ羽の様な弾がロシアの中を舞っていく。

 それらは全て、一匹の竜を狙っている。


「鈍い鈍い……」


 竜は体を回転させながら、真っすぐに上昇していく。

 それに伴って砲台も角度を天へ向けながら、弾丸を放っていく。

 放物線を伴って羽はロシアの大地へ落下し、巨大な火柱をあちこちに立てる。

 そんな中でも竜は一切の被弾をせずに上昇し……そのまま落下していく。


「行くぞ小僧!」


「おうさ!」


 勢いよく落下をしながら、竜は両翼に備え付けられたミサイルを数発発射する。

 ミサイルは竜よりも速い速度で凶鳥の砲台へ殺到すると幾つかの砲台を破壊した。

 と同時に、凶鳥全体を揺らす衝撃を放ちながら田崎も背中へスーパーヒーロー着地する。


「良い援護だ」


 もう既に凶鳥の脇を通り過ぎていった竜に、田崎は親指を立て称賛の言葉を送った。


「さぁて、それじゃあ……一丁派手に暴れますか!」


 今、ロシア大陸の命運を賭けた戦いが幕を開けた。



MTGアリーナでミシック世界予選に参加が決まったので初投稿です

小説書くよりも練習しなきゃやべえよ!


世界炎、ベルグ/World flame, Berg ⑤赤赤


飛行、速攻

このクリーチャーは可能なら毎ターン攻撃に参加する。


このクリーチャーが戦場に出た時、世界炎、ベルグは他の各クリーチャーと各プレイヤーに4点のダメージを与える。


このクリーチャーが死亡した際、あなたは土地を一つ生贄に捧げ、このクリーチャーを戦場に戻す。


7/5


「こいつ以外は全て薪だ、奴はそれで燃える炎なんだよ」

──世界炎の信奉者

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