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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
ロシア編
169/207

侍を引き入れたら

https://www.youtube.com/watch?v=X9HjKLsvMZw&list=PLBB5C9F726407980F&index=14

Ys SEVEN Music/シャヌアの里

MD215年 11/15 7:49


「ほほう、なるほど……そういった事情でござったか。 それは大変でござるな、ほんと」


 虎牙は頷くと、目の前で焼けた骨付き肉に手を合わせ噛り付いた。


「うむ……本当に大変じゃった……しかし伊織殿もじゃろう? 島流しにあって流れ流れてこの地に辿り着くとは」


「まぁ拙者は主がそういう無茶ぶりよくする人でござったからなぁ、慣れてると言えばそれまででござるよ」


「あぁ、戦殿か……」


 徳川戦、虎牙伊織の上司であり現在芽衣子と二人で日本を治める女性である。

 性格は苛烈であり、全体の統制の為ならば罰する事には手を抜かないという女性。

 芽衣子は納得した様な顔をしながら、骨付き肉を手に取ると大きく口を開け丸ごと飲み込んだ。


「いやはや相変わらず素晴らしい食べっぷり、やはりナーガ族の食べ方は豪気でござるなぁ」


「うーむ……まぁ半分蛇じゃからな、とは言え女子的に豪気とか言われるとちょっと辛いものがあるんじゃが」


「女子?」


 と、二人の会話を聞いていた田崎が首を捻った。


「そこぉ! 何で首を捻るんじゃ!」


「いやだって二百年以上も生きてるんだろ?」


「女心の分からん男じゃな……女は何時までも女の子なんじゃよ」


「え、きも……」


「むぐぐ、儂より強いからって偉そうに……体から木を生やしてやろうかの」


「あっ、それはマジでやめて、この体は錆とかに弱いから」


 右手をいやいやと横に振ると、膝の上で肉を頬張っているターモの頭を撫でながら話題を切り替えた。


「それでどうなんだ侍、協力してくれるのか?」


「ゾンビ狩りでござろう? 別に構わんでござるよ」


「おっ、割と前向きな返事だな」


「死者は墓に入っているべきでござるからな、死ぬべき時を逸した存在は元ある場所に帰すのが道理」


「ドウ、リ?」


 骨付き肉を骨ごと噛み砕いたターモが、道理という言葉に興味を示した。

 単に手持無沙汰になった瞬間に聞こえてきた知らない言葉に反応を示しただけなのかもしれないが。


「物事の正しいあらまし、あーつまりはでござるな」


「正しい事、という事じゃよターモ。 死んだ人間が生きている人間の世界に居るのはおかしいことなんじゃ」


「ウ……ターモ、ワカ、ラナイ」


「まぁその内分かる事だ、ほれ、もう十本やるから食ってろ」


「ウ!」


 芽衣子と虎牙の言っていることが理解できず、悲しそうな表情を浮かべるターモに田崎は手近にあった肉を根こそぎ手渡し、気を紛らわせる。


「何にせよ戦力が増えるのは大歓迎だ、精々頑張ってくれ」


「ま、上司の上司でござるしなお主、言うことは聞くでござるが……」


「ござるが?」


「拙者は、お主達のしたことを許したつもりはござらん。 背中には努々気を付けられよ」


「構わんさ、俺は壊れない男だからな」


 鋭い眼光が田崎を貫く。

 虎牙の中では、未だに山坂が日本の村で行った虐殺の記憶が根強く残っているのだ。

 そんな彼の視線を直接受けていないターモですら即座に全身を硬化させるが、田崎はターモの頭を撫でる手を止めずに虎牙の態度は至極当然であると受け流した。


「うむ、であるならば良し。 首を獲るのを同意の上であるのならば拙者としても異論はござらん」


「……儂、この二人から離れて生きているとしよう」


「さて、それでもう一つの依頼でござったか。 この森……ジャングルでござったか? の王を知らないかとのことでござったが」


「知ってるのか?」


「知らん、昨日のハイドラもこの家の持ち主のエルフに頼まれたからやっただけでござるしな」


 そう言って、虎牙は振り返らず親指で後ろを指した。

 その先には扉の陰からチラチラとこちらを見ているエルフの子供たちが居た。


「外様の人間は珍しいらしくてな、拙者も最初はああやって見られたでござるが何、慣れれば普通に接してくれるでござるよ」


「うむ、エルフはちょっと自然と余所者と遺物に厳しいが受け入れてくれれば頼りになる種族じゃからな」


 と、二人は頷き合い……。


「「さっさと此処からこいつ等連れて逃げよう/るでござるか!」」


「え、なんで?」


「いやいやいや、お主の右腕右腕! っていうかお主の体自体がいかん!」


「ん? 機械の体の事か?」


「うむ、それじゃ! 遺物で出来た肉体なんて自然信奉のエルフ達に知れたら……」


 青ざめた顔で言う芽衣子に、田崎は頷いた。


「成程なぁ、でももう遅いっぽいぞ?」


「何じゃと……ま、まさか……」


「ウ、タクサン、クル」


「あちゃー、囲まれてるでござるなこれ」


「なんじゃっとおおおおおおおおおお!?」


 芽衣子の悲鳴が室内に木霊する。


「何だよ、襲ってくるなら殺せばいいだろ」


「そんなことしたら余計に不味いわ! エルフはのう、一人一人は普通でも集まると物凄い霊力を発揮するんじゃ、儂等なんて粉微塵にされてしまうぞ!」


「うむ、拙者も流石に土地ごと消し飛ばす様な呪文を今から放たれるとちょっと辛いのでな。 此度は逃げの一手にござる」


「タ、ザキ……ニゲ、ヨウ?」


「しょうがねえなぁ、一旦あの図書館に逃げるとするか」


 田崎は頭を掻くと、ターモを降ろし椅子から立ち上がる。


「うむ、そうと決まれば早速……」


「そこまでだ不心得者ども! 枝を踏み折れば骨を折って贖いとする! 自然がくれた肉体ではなく不純物の肉体を持つ者め、このエルフ自け───げぇふぉっ!?」


 だがそこに数名の武器を持ったエルフ達が闖入し、田崎へ武器を突き付けた。

 田崎は思わずエルフにびんたをした。

 それを見ていたエルフは切れた。


「隊長ーーーー!?」


「お主何やっとんじゃーーー!」


「いや、だって五月蠅いから」


「はははは! こりゃ本腰入れて逃げなきゃダメそうでござるな!」 


「ニ、ゲル……!」


 一同は各々好き勝手に喚きながら、野生の国にあるエルフの村を命辛々脱出するのだった。

 ついでに、エルフ達が田崎達に敵対する事になった。



未だにミシックに上がれていないので初投稿です

ま~だ時間かかりそうですかねぇ


エルフ自警団隊長 緑


クリーチャー:エルフ

先制攻撃


1/1


「エルフ一人一人はか弱いが、数が揃えばドラゴンすら狩るだろう」

           ────戦争の国の王、タージ・コージ


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