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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
ロシア編
166/207

次に殴る相手を決めたら

https://www.youtube.com/watch?v=NqYXp43OuwA

Rance IX Soundtrack - Funk Fellows (ファンクなやつら)

MD215年 11/14 12:00


「よーし、という訳で今後のルートを説明する」


「えぇー……今昼飯なんじゃが」


 芽衣子は常日頃から持ち歩いているゆで卵をナーガ特有の長い舌で転がしながら飲み込むと、もう一つの卵を取り出すと面倒くさそうな表情を田崎へ向けた。


「まぁ食いながらで良いから聞け、そんなに難しい事じゃないからな」


「全く、人の都合を鑑みん奴じゃなぁ……ほれターモ、口をあけい」


「アー……」


 大きく口を開け、ギザギザの歯が無数に並ぶターモの口へ芽衣子は卵を放り投げる。


「ウ、ウ……ウマ、イ」


「おーよしよしめんこい子じゃのー、まだ食べるかの?」


「クウ、クウ!」


「ほほほ、可愛い子じゃのー」


「孫に小遣い上げるババアかお前は」


 卵を美味そうに頬張るターモを見て、芽衣子は頭を撫でながら懐から更に三つ卵を取り出す。


「五月蠅いのう……実際可愛いんだからしょうがないじゃろうが、なぁターモ」


「ウ?」


「まぁ入れ込むのは良いが、今は今後の話だ」


 そう言うと、田崎は右手に持っていた大きな地図を左手で二度軽く叩き机の上に置いた。


「こりゃ……さっきあの脳みそが見せた地図かの?」


「そうだ、現状のロシア……ロージアの地図だな」


「ウ、マイ?」


「不味いからターモは食べちゃ駄目じゃぞ~、ほれ、追加の卵を食べてなさい」


 地図を見るや否や、ターモは口から涎を垂らすが芽衣子が口の中に卵を再び投入する。


「モグモグ……」


「で、次のルートってのは何処をどう行くんじゃ?」


「おっ、割と乗り気か?」


「拒否してもどうせ無理やり連れていくじゃろうがお主は」


「ああ!」


 小さく溜息を吐くと、芽衣子はその白い指を地図に這わせた。

 地図は丁度右端から国土の半分を少し過ぎた辺りが薄っすらと黒く塗られており、残りの部分は白と赤で塗られていた。

 挿絵(By みてみん)


「で、儂等は今何処に居るんじゃ?」


「あぁ、このサマーラって所だな」


「サマ……? なんじゃ?」


「千年前の地名だ気にするな」


「ふむ、とりあえず儂等は此処の白い部分に居て……でそれから?」


 田崎は地図に記された地名を指差す。

 それはちょうど白い領土と白い領土に入って少しの所にあった。


「この白いのは秩序の国で、赤い部分が野生の国の領土を便宜上表している。 でこのポルコグラードって場所が……」


「秩序の国の首都か、懐かしいのう……昔何度か行った事あるぞ儂」


「何だお前、秩序の国出身ってさっき言ってたけど首都に住んでたわけじゃないのか」


「あ、あー……うむ、階級社会じゃしなあの国」


「階級? 何だ貴族と平民みたいなのでもあんのか?」


 田崎の指摘に芽衣子はしまったと言うような顔を一瞬するが、直ぐにその質問に答えを返した。


「大体合っとる、労働者階級、騎士階級、支配階級の三つがあって左から順番に上を支えておるし人口の数は逆に左から順番に少なくなる」


「いけ好かねぇ国だな、労働者階級の連中は支配者に対して暴れたりしないのか?」


「起こらんぞ、起こす理由が無いからのう。 あの国は支配階級が更にその上の天使を支えておるんじゃ、天使が国を守護して管理をする訳じゃな」


 芽衣子は自らの両手をひらひらとさせ、天使の真似をする。

 それを見てターモもそれを真似る。


「天使ぃ? あのアメリカにも居たあれ?」


「うむ、あれじゃ。 秩序の国は天使達が魔族や人間の管理をしておって、悪徳や不要な争いは全て事前に天使が戒めるのじゃ」


「完全管理社会かな?」


「まぁそんなもんじゃな、あの国の国民は不徳や争いには一切縁が無いし、不満も争いも無い」


「ほーん……じゃあ軍隊とかもねぇのか?」


 その質問に、芽衣子は首を横に振った。


「いや軍隊はあるぞ、と言っても儀礼的なもんじゃがな支配階級同士での決闘とか演習とかそれ位しかしとらん筈じゃな」


「んじゃあ他国との実戦は一切してないのか?」


「確かのう、そもそも戦争なんて天使が起こる前に防ぐからのう……まぁ平和な国じゃよあそこは、だからお主の質問にあった反乱とかは一切起こらん」


「確かに衣食住が足りていれば諍いは起きないか……だがそれ自分の意思で生きてるって言えるのか?」


「そこら辺の哲学をしたいならしても良いが、今後の方針について話すんじゃなかったのかのお主」


 秩序の国がよほど気に入らなかったのか、どんどん詳しい話を聞こうとする田崎に芽衣子は釘を刺す。

 

「むっ、確かに……大分横道に逸れたな」


「うむ、ターモなんて眠っておるぞ」


 芽衣子は視線を爆睡するターモへ移した。


「すまんすまん、ちょっと個人的にそういう秩序だったのは嫌いでな。 それで今後の方針だがその秩序の国の首都に行こうと思う」


「なんじゃ、天使を全員ぶん殴って言う事でも聞かせるつもりか?」


「ああ!」


「え、アホなの? そんなことしたら天使信奉してる秩序の国の連中が総動員で襲ってくるじゃろ」


「うむ、だから死の国の連中がそれをやった様に見せかける」


 自信満々に、どうだと言わんばかりに胸を張る田崎に芽衣子は懐疑的な視線を向けた。


「とても上手くいくとは思えんのじゃが?」


「まぁ最悪普通にぶん殴って死の国に逃げ込めば総動員で探しに来るだろ」


「天使の管理区域から逃れられればじゃがな……」


「何とかなんだろ! ワハハハ!」


 豪快に笑う田崎に、不安を隠しきれない芽衣子であった。

 そして、翌日……。


「よーし、それじゃあ準備はいいなお前等」


「ウ!」


「儂は兎も角ターモの様な幼子まで連れていくとか鬼かお主」


「本当に幼子だったらもう既に死んでゾンビの仲間入りしてるだろ、こいつは強いさ、俺が保証する」


「全く……脳味噌筋肉め、どうなっても儂は知らんからの」


 大きく溜息を吐き、芽衣子はターモの頭を撫でた。

 不思議そうな顔をするターモを不憫な目で見る芽衣子は、正しく孫を見るお婆ちゃんと言った感じであった。


「さー、それじゃあ首都殴り込み部隊出発だー!」


「おー……」


「ウー!」


 こうして、最低な目的を持った三人だけの部隊が秩序の国へと向け出発し……数日後には目的地に到着するのだった。



別にやってた短編が完結したので初投稿です

やっと通常ペースに戻ったんやなって…皆様、お待たせしました(CV芳忠


秩序の声、芽衣子/Meiko,The voice of the order 青緑白②


伝説のクリーチャー:ナーガ


秩序の声、芽衣子が戦場に出るに際しあなたは望む数のクリーチャーをタップしても良い。

そうしたなら、タップされた数のクリーチャーに等しい数のカードを引き、その後タップされたクリーチャーの上に+1/+1カウンターを一つずつ置く。


2/2


「彼女の舞は農民を兵士へと変え、学生を賢者へと変貌させる」

              ──エンリコ

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