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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
南極編
144/207

人類の生き残りと出会ったら

https://www.youtube.com/watch?v=V-hlLNJhfhA

らららコッペパン

MD215年 10/31 10:11


 室内は静寂に包まれていた。

 山坂が先ほど起動させたパソコンの駆動音と、現在せり上がってきているエレベーターが動く音のみが。

 この空間を支配していた。


「さて、何が出てくるか」


 拳銃を右手で構えながら、山坂は物陰に身を潜める。

 全身に纏うラバースーツは既に戦闘体勢を取っており、山坂の周囲に半透明の膜を作っていた。

 またスーツ内部からも動力の核融合炉が唸りを上げ、スーツ自体に赤い模様を幾つか作り出す。

 それは鼓動のように明滅し、戦いの時を今か今かと待ち望んでいる様にも見えた。


「しかし生身で出向いた途端にこれとは相変わらずの運に波があるな俺は」


 自嘲気味にそう呟きながら、彼はあらゆるプランを練っていた。

 エレベーターから出てくるのがどういう化け物だろうと、山坂はそれを殺すつもりだ。

 そして必ず目的を完遂する、そう言う男である。

 山坂が丁度百個目のプランを練り終わるのと同時に、エレベーターが停止した。

 

「…………来たか」


 息を呑み、拳銃を握る右手に力が入る。

 知覚出来る速度であれば姿が見えた瞬間に撃ち殺す。

 そうでないとしても、核熱で作られたバリアで攻撃を弾き、打ち殺す。

 戦略の大まかなプランを確認し、山坂の視線はエレベーターの入り口に釘付けとなった。

 入り口から黒い影が現れた瞬間、それに向かって彼は引き金を引いた。


「(くたばれ!)」


 机越しに悪態を吐きながら構えられた銃口からは、文字通りの雷撃が放たれた。

 その雷撃は空気を切り裂くように奔り……影の手前1mほどの所で捻じ曲がり、真後ろにあった壁を溶解させた。

 

「だにぃっ!?」


「──────はえ?」


 背後からの猛烈な熱を感じ取ったのだろう、影は素っ頓狂な声を出しながらそちらへ振り返り……。


「ひええええええええ!!!」


 腰を抜かして、地面にへたりこんだ。


「あ?」


 悲鳴が聞こえてから、山坂はそこでようやく気付いた。

 化け物だと思っていた影は、真っ黒な服装をした人間だったということを。


「ど、ドンシュー! ドンシュー!」


 その人物は地面に蹲り、頭を両手で抱えたままその全身の肉と一緒に体を小刻みに震わせていた。

 山坂は警戒を怠らないよう注意しながら、ゆっくりと物陰から姿を現した。

 そしてゆっくりと銃口を向けたまま近づき、10mほどの距離を置きながらその人物に話しかけた。


「お前、所属と名前は!」


「ひ、ひいいいいいい! きりんぐみーそふとりー! きりんぐみーそふとりー!」


 と、叫びながら震えるだけであった。


「おい、お前! 泣き喚いてないで所属と名前を答えろ!」


「へるぷみー! ママミーアーー!」


「ちっ……話になら──」


 何か言葉を発する度に、英語で助けを請う人間を見て山坂はある事に気が付いた。


「(もしかして、魔族の言語で話してるから言葉が通じてないのか? そういやこいつさっきから英語を……試してみるか)」


 そう考えた山坂は、自らの喉元を二度叩き、二度発声すると久しぶりの英語で話しかけた。


「あー……これで通じるか? 聞こえてるなら顔を上げてくれ」


「! え、英語……!?」


 先ほどまで良く分からない言語で怒鳴っていた存在が、突然英語を喋った事で震えていた人間はその顔を上げた。

 目だし帽を深々と被った、その顔を。


「テロリストか何か? もしくは銀行強盗?」


「あっ……こ、これはその、下は寒くてしょうがなくです! それより、あなたは……?」


「答える前にまずはお前からだ、所属と名前を言え、こちとら恐怖現象が起きてて気が立ってるんだ」


「えっ、あ、はい、所属と名前……えっと、生産課のアリス・ハートです」


「生産課……あぁ、確かここでは完全自活をしてたんだったな」


 アリスと名乗った人物は顔を上げながら、自らの所属を思い出すように告げた。

 その所属を聞いて、山坂は少し視線を上へ泳がせてからそれについて思い出した。


「はい、装置が壊れなければ千年でも二千年でも生きていける環境ですから!」


「そして千年前から装置は壊れなかったということか、設計者に拍手だな」


「わー、パチパチパチパチ」


 山坂の言葉に、アリスは小気味良く拍手をする。

 そして暫くして、思い出したかのように山坂へ質問を行った。


「そういえば、あなたは一体……魔族、なんですか?」


「こんなラバースーツ着た魔族が居てたまるか、僕は……ちょっとした用事を足しに寄っただけだ」


「魔族じゃないんですか……良かったです、ところで寄ったって言うのはあなただけなんですか? 他の人は?」


「居ない、僕だけだ」


「そ、そうですか……でも良かったです、人間の方が居てくれて! あの核の光を見た時は人類はきっとこのまま滅亡しちゃうのかもって思ってましたけど……」


 そこまで言って、アリスは目元を拭った。

 声も震えている。

 そんな彼女を見て、流石の山坂も人類はエクィローに残った千人以外滅亡しましたとは言えず口を閉ざしていた。


「でも人類は無事なんですよね? この基地は僻地だったから来れなかっただけで、やっと助けに来てもらえたんですね!」


「あー……ああ!」


 山坂はてきとーに答えた。


「ところで、お前に一つ聞きたいんだが……」


「? 何でしょうか」


「この基地って、何か化け物飼ってるのか?」


「はい?」


 目を丸くしたまま、その質問の意図を測りかねるアリス。

 まだまだ基地の探索は始まったばかりだ。




再来週の今頃はGP千葉から帰ってくる日なので更新は出来ないことを予め宣言しておきます

許してください、せんせんしゃる!


カウブレード ③


アーティファクト・装備品


このアーティファクトを装備したクリーチャーは「T:クリーチャー一体かプレイヤー一体かプレインズウォーカー一体を対象とする、そのクリーチャーは3点のダメージを与える」を得る。

装備 ①


「何でカウブレードって名前にしたの? ドク」


「鷹が鳴く声みたいな音出して飛ぶから」


「兵器を作る才能はあるけどネーミングは安直よね、ドクって……」

──在りし日の一幕

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