プロローグ
有史以来人類は様々なエネルギーを手に入れ、文明はその力に導かれ歩んできた。
火、風、石炭、石油……核。
そして今此処に新たなエネルギー、霊力が誕生した。
技術の発展と観測機器の向上により発見されたこのエネルギーによって人類の生活は激変した。
龍脈と呼ばれる場所から汲み取られるこのエネルギーは、時間経過による再利用が可能で採掘も低コストであり核燃料を超える効率の良いエネルギーだった。
このエネルギーにより人類はエネルギー問題から解き放たれ、人類の黄金時代が始まるかに思われていた。
だが霊力には一つだけ問題があった、それは生命体への影響である。
霊力に触れた生命体は時折霊力との極めて高い適合を果たし、人類から別種の生命体、古代の伝説や伝承に存在する妖怪や魔族とでも言うような生命へと変異してしまう。
変化した生命は、元の生物性を保ちながらも身体能力の向上や魔法と呼べるような物を行使する事が可能となる。
最初の数年間は極少数の生命が変異するだけだったが徐々にその数は増え、最終的には生命の半数が変異してしまうのだった。
またそれにより自らを上位存在と名乗り始めた変異種側は変異種だけの国家を樹立し、人類種へと高圧的な態度を取り始める。
これに危機感を覚えた所謂適性の無い人類側は人類種の保存を考える。
その内容はこうだ。
・現在霊力適正0の人類を冷凍睡眠させ1000年後に解凍、目覚めた人類を守護し増えすぎた変異種を駆逐し霊力を世界から根絶する。
これが計画の内容である。
ではそれに参加できる人員とはどのようなものなのか。
・霊力適正が0であり、人類から選び抜かれた精神肉体知力的に選りすぐりのエリートであること
・人類至上主義者であること
ではその人員を導く指導者にはどのようなものが求められるのだろうか。
・気の遠くなるような長期スパンでの計画である為、テロメラーゼ延長手術を受けこれに成功したもの
この1点である。
かくして西暦2415年、常軌を逸した計画が始められ…3年後に計画が実行されることとなった。
奇しくもこの日は人類と変異種達による最終戦争前夜であった。
こうして人類の未来は、人類トップエリートの3名に託される事となる。
この3名は上記のテストをパスしており、これ以上は無いと言うほどに完璧な人間であった。
そしてこの3名は人類種保存の為に選ばれた1000名と共に1000年の長い眠りに就く、広大な地下施設もまたメンテナンスロボを残し眠りに就いた。
問題など起こりようが無かった、問題など無かった。
───彼らが快楽主義者であったという点を除いては。
暇つぶしに始めたので作るペースはくっそ遅いです
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