「……も………い……に。」
「何も知らないくせに!」
私の一番大嫌いな言葉。
それでも、彼らに投げつける。
知らなくて当然。
自分でも、自分の事を全ては知らない。
他人なら、余計に知らない。
「何も知らないくせに!!」
私は彼らを拒絶する。
入り込まないで欲しい。近くに来ないで欲しい。
距離が近ければ、刃物は深くまで刺さるのだから。
「帰ってよ!」
私は一人でいい。トモダチなんていらない。
私の代わりなんて、いくらでもいるのだから。
それなら私は、いてもいなくても同じ。
だから私は、自分の殻に閉じこもる。
目を瞑り、耳を閉ざす。意識を闇に落とし、体を縮める。
光なんていらない。助けなんていらない。
「もぅ、ほっといてよ!」
「なぁ、お前。 俺に、何を知って欲しいんだ?」
『何も知らないくせに。』
それはきっと『自分の事を理解して欲しい』っていう、心の叫び。
『何も知らねぇのに偉そうなこと言ってんじゃねぇ!』
昔の俺がそう言ってたからな。
――誰かに自分を肯定してもらいたいからきっと、そう叫ぶ。