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エルダーゲート・オンライン  作者: タロー


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ソウマ編 ココット村での再会

それから数日をココット村で過ごす。早朝と夕にはトレーニングを行い、筋肉をほぐしながらパフォーマンスの維持を目的にストレッチを始める。

俺は今回のことで身体機能の効果的な役割を果たすために【体術】の強化と最適化を測る事を目標としていた。

全力で動かせばまだまだ痛いので、回復の経過を見て負荷トレーニング内容を変えていくつもりだ。



鹿を狩ったあの後から、マルコフが俺も参加したい強く言い、やる気があるのならと両親を納得させてから、参加していた。


子供に指導することをしたことのないソウマは、【異界大天使の加護】の知識補助を使って自動検索し、本人の希望を聞きつつ、マルコフ用に最適化されたトレーニング内容を作成して行ってもらっている。


軸である体幹を鍛えるため、基礎作りの為のトレーニングと片手剣術による型、素振りがメインとなっている。


冒険者で大成するにはまず生き残ること大事なのだ。その為には将来的には盾を取り入れた動きも取り入れていきたい。


いくら子供用とはいえ、キツイはずなのだが続けることに意義がある。

弱音を吐かず、ひたすら懸命に励む姿は両親や村の皆からも好感が持たれていた。

率先して家事を手伝うことで生活における最低限の役割を学ぶ。

そして、両親にも自分が冒険者になると本気で頑張っているとアピールし、認めて欲しいと言っていた。


マコットは兎も角、カリンは口には出さないが心配しているからどうなるかわからないが、頑張れる目標が有ることはとても良いことである。











ソウマの日中の活動は、マップ機能を使ってエリア別に鳩鶏の生息地を絞る事で効率の良い探索していた。


見当たらなかった所はマーキングをして外し徐々に捜索範囲を狭め、ここ何日かの調査によって王都側への山を抜けた先の広大な草原のフィールドで発見する事が出来た。


そこまでの移動距離はソウマの身体能力をもっても半日以上はかかる。

彼らば繁殖していた理由はそのフィールドでは天敵などの魔物はおらず、のんびりと巣作りを出来る環境な整っていたから安住の地として選んだのだと思う。

遠目からチラッと覗いただけだが、その群れには鳩鶏だけで上位種の栄光の魔鶏などの固体は見当たらなかった。








各人各々動き始めていた。

現在マコットは馬車に乗って単独王都に向かい、仕入れの真っ最中である。本日の夕方には帰還出来る予定であり、その時に魔獣紋のネックレスも仕入れてくると言って出掛けていった。


現在の時刻は日も暮れかけた17時過ぎ辺りで、マルコフと一緒に日課となった夕のトレーニング中だった。

マルコフの木の棒を壊してしまった代わりに、農具の補修も兼任する村の道具屋に頼んで、訓練用の木剣の製作を依頼した。

計3本作って貰い、マルコフとの模擬戦用に使う只の木剣2本。最後の1本は真剣である鉄剣のように重心に重りを仕込んで調整された木剣(重)である。

折角握るのならば、木の棒ではなくちゃんと剣のように握りのある代物を渡したかったのだ。


そして夕のトレーニングの最後には、5分間マルコフと模擬試合を行っている。これは本人からの希望だ。

朝夕の最終仕上がり具合を毎日確認して大丈夫だと思えた時に、この実剣と変わらぬ木剣(重)を与えようと思う。

その時にはトレーニング内容を一新し、この木剣(重)に慣れて重心がぶれずに扱えるように慣れれば、一介の剣士としては及第点に…となるはずだ。



5分間にしたのはマルコフが全力を出し切れるには、最も適切な時間だからと感じたからだ。短いようで長い時間だったりするからな。


気合の声を上げ、マルコフが全力で打ち込んでくる。

その木剣に込められた力をまともに受けず、そのままの勢いを流れるように受け流す。

体勢を崩せた所でソウマから手加減した一撃を振り下ろす。



俺はマルコフの攻撃に対してギリギリまで見切る、受け流す、時折カウンターを仕掛け、一連の動作の練習を兼ねている。


最初の内はうち据えられているだけのマルコフだったが、諦めずに防御する動作を覚え、見切る、流す、カウンターのワンパターンだが対応出来るだけ対応するために自分で挑んでくる。


今も疲労が積み重なり限界に近いはずの様子なのに木剣を構え、防御を間に合わせた。

目で終えなくとも体が自然に反応するくらい何度も叩き込む。ほら、反復訓練は彼の中で確実に育っている。




このように模擬戦で下手な癖を指摘し、叩けば食らいつくように伸びる。真っ直ぐに技術を吸収しようとする貪欲な姿勢は、才能よりも貴重な努力する才能があるんだと思うな。


そんなこんなの内に馬の鳴き声が聞こえ、此方に馬車が近付いてきた。

マコットが帰還したのだと思い、訓練を中止してマルコフと共に振り向く。



そこには確かに馬車に乗るマコットがいたのたが、その馬車にはもう一人人物が乗り込んでいた。馬車が俺たちの前で停まる。


「やぁ、会いたかったよソウマ君。君に用があってね」


華麗な動作で馬車から降り立ったのは、数日前に出会った美しいエルフ。まさかのカタリナ・ブラッドレイだったのだ。



「えーとぉな、ソウマ。カタリナ殿はお会いしたから知ってるよな?

…俺が魔獣紋のネックレスを買いに行くときにギルドで偶々(・・)お会いしてな。お前さんを探してたらしくて事情を説明したら、是非にとお願いされて連れてきたって訳なんだ」


申し訳なさそうに話すマコットに目線で気にしていないと伝える。

しかし、面倒なことにしかならない予感がするのは何故だろうか?諦めにも似た心境のソウマなのであった。





























外も暗くなってきた為、カタリナは村長宅に案内される。

そこで食事を招かれて話をすることになった。この村で一番地位の高い接待せねばならない。

何せ騎士団長クラス以上の地位を公式に国王から与えられた人物。失礼があってはならないのだ。




突然の訪問でも村の代表して会わない行かず…内心の苦々しさ押し殺していた村長だったのだが、出会えたときにカタリナの美貌を見て舞い上がってしまったのは男として仕方のない事だったのかも知れない。

数秒前の雰囲気が嘘のようだ。




褐色の肌に翡翠色のコントラストが完成された1つの美の宝石…その印象が拭えない。

村長は久しぶりに胸が踊って高鳴る鼓動と感情に、若き青春時代を思い出していた。

しかし、村長も惚けてばかりもいられない。慌てて接待を再開する。


「ようこそおい出ましたカタリナ殿。お噂以上にとても美しい方ですな。それに誉れ高き武名もここまで届き、存じ上げております

いらして頂けたこと、大変光栄でございます。何もない小さな村でございますが、歓待いたしますぞ」


カタリナの為に出された鹿肉をふんだんに使った料理と、村長が密かに呑んでいた王都の秘蔵ワインを惜しげもなく振る舞っていた。



「うーん、ココット村には始めてきたけどここには温泉と言う温かい湯の溜まり場があるんだね。ダークエルフの私には水浴びしかしないからとても新鮮に感じますよ」


「ほぅ、そうでしたか。是非我が村の自慢の温泉に浸かってくださいませ。今より貸しきりに致しますゆえに」


「ご配慮有り難うございます。ですがその前に私の要件を先に果たしてからにしますね」


「…マコットの連れてきたお客人ですね。しかし、彼が何か致しましたかな?」


上気した表情を少し曇らせながら尋ねた。

少なくともこの村でソウマの評判は悪くはない。寧ろ、時々獲物を提供してくれたり、今は村のためにマコットと共に新しい商売の手伝いをしてくれていると言うのだ。

とても酷い怪我を負っており、温泉で湯治に来たのだとマコットから聞かされてもいた為、何のために?と言う疑問が村長には分からなかった。



「これは機密度が高く、王国の上位貴族に関わってくるので話せないんだ。申し訳ないのだけど…ね」


そう答えられるのは分かっていた村長。「お気になさらずに」と聞き出す事を諦めた。


「ただね、村長が心配される事は何もないとだけは言っておきます。個人的には噂も含めてとても気になるところなんですけどね。

彼には私が任された依頼に関わる何かの情報を持っていると踏んでいます。とりあえず事情聴取さえさせて下されば構いません」



「この村に来た客人ゆえ、手荒な真似は無しに願いますぞ」


そう言って夜は更ける。カタリナは村長宅へ泊めて貰うことになった。

流石にソウマを今から呼び出して事情聴取するのは諦めてもらったからだ。


村には大浴場はカタリナが入るため、この時間から入れないことを伝えに人が向かわされた。

浴場に人をいないことを確認した伝令役の村人はそのまま各家に向かって歩き始めた。小さな村だ。直ぐに立ち入り禁止命令が行き届く事となった。


しかし、どんな運命の元なのか運悪くソウマはその伝令役の人間と入れ違いとなる。

それはカタリナと再会して彼女が村長の元へ案内されたあと、夕のトレーニングを中断していたのでいつもより遅く訓練が終わったからだ。

丁度伝令役が浴場を確認し終えて出ていったタイミングで中に入り、浴場で服を脱ぎ始めた所だった。


「今日は誰もいないな…まぁこんな事もあるよな」


気にもせず温泉に浸かる。湯気が多くこもった浴場はゆらゆらと揺れて夜の篝火を反射する。その光景は非現実的でとても幻想的に見えた。

暫くその美しい至福の時を楽しんでいると、誰かが入浴してくる気配を感じた。

特に気にせずにいると、パシャ…パシャとおっかなびっくりといった感じでおずおずと入ってくるのがわかった。

湯気のせいであちらも俺には気付いていない様子だ。


しかし、「うーん、始めてだけど気持ちの良いものね~」と解放感に満ちた声は間違いなく女性のの声だった。


しかも聞き覚えのある…まさかとは思うが…温かい筈なのにさっきから冷や汗が止まらない。


背後を振り返ってみれば、そこにいたは脚までをお湯に浸かったカタリナがいるのであった。


不意な夜風が湯気を吹き飛ばす。お互い、顔を見合わせて暫く固まったままだったが、流石にソウマは目を逸らして後ろを向く。美しすぎる裸体が目に焼き付いていた。


(俺は女神と出会った…)


しかし、惚けている場合ではない。


すまないと直ぐに謝罪すると、ようやくカタリナは顔を真っ赤にして湯槽へとしゃがみこんだ。

悲鳴を上げなかったのは彼女の自制心が高い証拠ゆえだった。


少しジト目で恨めそしそうな上目遣いで聞くカタリナ。


「…なんでソウマ君がここにいるの?立ち入り禁止の命令が言ってる筈なんだけどね」


ようやく洩らした一言はその表情を相まって可愛らしい。



「すまない。それは知らなかったんだ。多分入れ違いになったんだと思う」


「うぅ、見たでしょう」



素直にハイとは言えないソウマ。


褐色の美しい肌に小さな胸の双丘の頂きあるにはサクランボのように美しい桜色のポッチが2つ見えていた。

そして、髪の色と同じ翡翠色のアンダーヘアは…脳内に焼き付いて離れない。


ソウマとて現代社会に生きてきたおっさんだ。女性の裸を見たのは始めてではない。。

しかし、カタリナの人間離れした美貌と恥じらいを前に別格とどうしても反応してしまうのだ。


(おさまれ、おさまれーー)


背後を向いているから良いものの、前を向いたら大変な生理現象がそこにはあった。


落ち着かないと…と、祈るように深呼吸しながらソウマはモヤモヤな気持ちを落ち着かせるために相当の労力を要した。

その介あって落ち着いてきた脳内には、1つの疑問も浮かんできた。



「本当に謝るしかない。それと俺からも聞きたいんだが、どうしてカタリナは男湯にいるんだ?」


「えっ…何ソレ?」




ふぅーー。どうやら説明が必要なようだ。





湯から上がったソウマとカタリナは、インナーのみを着こんで向かい合わせで説明していた。

インナーごしでもカタリナの姿は艶かしく、胸のドキドキが止まらなかった。


「…そうか人間社会の出来事には疎くてね。ソウマが意図的に覗いた訳じゃなくて事故だったって事だね」


かくいうカタリナも肌を見られた事の羞恥心と、ソウマが湯を出ていく際にチラリと見えたはちきれないばかりに怒張した生理現象を見てしまい、ドキドキが収まらなかったりしていた。

戦闘や訓練ばかりで過ごしてきたカタリナにとって、男の免疫は殆どないと言っても等しい。

自分が異性から魅力的に映るのは知っていて、アプローチのあしらいかたくらいは習っていたが…実際に男の裸と局所を見たのはソウマが始めてだったのだ。


(男の人ってあんなに凄いモノがあるんだ…ソウマの鍛え上げた肉体と幼さ残るけど漢の顔をする横顔…少し私の好みだしな~ってなに考えてるの私!)


と、内心思っている事をソウマは幸いにして知らない。


それに事故とはいえ、カタリナは裸を見られたのだ。普段のカタリナならば自村の警団なりに連絡して捕まえさせていただろう。

しかし、そんな気にすらならなかったこと自体に気付いてもいなかった。






上の空で聞いていたソウマの話も終わったようだ。


「…という訳だ。誤解が解けたようで嬉しいよ。そして本当にずなかった」


大きく頭を下げるソウマにカタリナは「その、良いわよ」と声をかける。凄く小さな声でお互い様だし…と言ったのは流石にソウマの耳でも聞き取れなかった。




そう言えば自己紹介すら名前だけで、きちんとしていなかった事に気付く。


「改めて俺の名前はソウマ。人族で職業は閃弓士だ。

…カタリナだから打ち明けるが、稀人で魔物使いの職業も持っている。

あと、俺の喋り方が嫌じゃなければこのままでも良いかな?」




「フフッ、不快じゃ無いから言いわよ。

寧ろ、そっちの方が素の貴方なのね。しかし、閃弓士…確か前衛もこなせる弓士だったかしら。なかなかコアな職業を選んでいるのね」


プレイヤー地代に受けた馬鹿にしたような口調ではなく、純粋に驚きを含んだだけの言い方だった為、ソウマはカタリナの好感度が上がった。

誰だって認められれば嬉しい。特に美人なら尚更。


「さて、次は私の番ね。名前はカタリナ・ブラッドレイよ。この王国で100年前に契約してそろそろ契約が終了するわ。

種族はダークエルフ。

ダークエルフは戦闘に特化したエルフのことで寿命は大体600年くらいかしらね?私は200年以上生きてるけどエルフからしたらようやく大人の仲間入りを果たした所よ。

職業は第3職業の大精霊術士(セカンドエレメンタラー)よ」


あれ?カタリナの職業はルーンナイトでは無かっただろうか?

マコットからそんな伝説のような活躍劇を聞いている筈なのに。


「フフフ、顔にどうして?って書いてあるわよ。私の職業は間違いないわ。ソウマになら話すけど内緒でお願いよ。

実は私もソウマと同じ稀人。詳しい事は話せないけど、サブ職業にルーンナイトがあるのよ」


茶目っ気たっぷりな口調で教えてくれた。

こんなに自分のことを話すのも久しぶりだと思うカタリナ。

彼女が王国騎士となってからはルーンナイトを公開職業として提示する事も契約内容に含まれており、例外は彼女自身が直接話す者に限られる。


つまり、ソウマはこの王国とエルフ達でも上位しか知らないことを聞かされたのた。

うっかりと洩らさないように秘密厳守しなければならない。


でないと、話してくれたカタリナの信頼をも裏切る事になりかねないのだからと、心に誓った。






「明日聞こうと思ってたんだけど丁度いいわ。貴方に聞きたいことがあるのよ」


君に聞きたいことがあるのよ…と、言い出す前に、ようやくソウマの腕に厳重に包帯が巻かれている事に気付いた。

そう言えば温泉に浸けてなかったわよね?と思い出した。そして、また裸を追想してしまっていた。


「そう言えばソウマ君、始めて会ったときも怪我人だって言ってたわよね

?その腕のことかしら?」


本題に入る前のワンクッションを置くためと、恥ずかしさを隠すためにそう質問したカタリナなのであった。

今から遠出なので明日更新予定だった作品を早めに更新します。後で少し修正するかもしれません。


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