ソウマ編 フィアラル戦~
花粉症と風邪でダウン中でした。いつも読んで頂ける皆さま有難うございます!
ユニーク級について少し補正と追加文章を加えました。
突然の光が俺を包み込み、全身が寒くてたまらない。目の前がふっと暗くなり意識が闇に飲み込まれていく。身体の感覚がフラフラとして平衡感覚が掴めない。
それに急速に眠い。どうして。でも、おかしいな?確か俺は竜鳥を倒してアデルの町へと…帰らなきゃ。
そうだ、こんな所にいるわけには…。
バチッと頭の中で光が闇を強く弾いたイメージが脳内を襲った。
《ほう……曲がりなりとも使徒を倒すだけはあるようだな。まさか弱っているとはいえ、只の人間ごときが我の干渉波を弾くとは生意気な》
やたら脳内に響く尊大な声が俺を急速に現実に戻す。
この声には、強制的に頭へと響く在る種のチカラが宿っている事が嫌でも解る。どうやらここは安全な場所ではないらしい。
重たかった眼を何とか気合で開けば、そこには暗黒の空間が広がり、巨大な鳥が横たわっていた。下位ドラゴンほどの大きさで6m近い巨体は、見る俺にプレッシャーを放っていた。
いや、コイツは現実世界で見たことがある。確かユウトの所属ギルドである蒼銀騎士団のレイドボス討伐の際に参加させてもらった時に戦ったのだ。と言っても俺は当時、適性レベルが足りないので一時的にギルド員として仮登録で参加させて貰っただけなのだが。
因みにレイドボスとは1パーティーで挑む迷宮やフィールドに存在しているbossとは違い、何十人単位のプレイヤー参加による討伐を目的とした集団戦闘を主としたボスの総称である。当然、その分強力な存在だ。
フィアラルの格は推定第3次職業のプレイヤー推奨のため、ソウマの職業レベルだけはギリギリ相手になる範囲の相手である。
神系統の敵は討伐すれば、第4次職業へと繋がる特別な貴重アイテムをGET出来るので、亜神級のフィアラルは神より強くなく、人数を集め範囲攻撃や即死攻撃さえ気を付ければ比較的狩りやすいとネット板に書いてあった。
しかしそれは、入念な下調べと準備をした大型ギルドで挑んだ場合に限りなのだが。
真っ黒な体表は黒死鳥と呼ばれる霊鳥に属し、イベントを得て災いをもたらす神へと至る神鳥。
「いや、亜神 フィアラルだったか…?」
そう疑問系にならさわる思えなかった。何故なら、俺が知っているフィアラルとはかけ離れていたからだ。
雄々しい嘴は割れ、片翼は力なく折れ曲がり部位破壊のあとのようだ。まるで討伐の最中でかなり弱らせれた状態で放置されている印象を受ける。
《未だ…我を知る存在が神々以外にいようとは驚きだ》
その声には驚きの他に、幾ばくかの歓びが混じっていたと思う。
「そのフィアラルが何のようだ。俺をここに強制転移させたのはお前なのか」
《我を亜神と知ってもその態度…やはり人間どもは不遜であるが…まぁ良い。許してやろう》
濁った鳥眼を此方に向けて、チカラ在る言葉に魔力を乗せて言い放つ。
《最大の名誉をやろう。我の使徒となれ。キサマら人族にとっては一生到達しせない強大なチカラを授けて…》
「断る」
フィアラルが言い切る前にソウマはその誘いを断った。
《愚かな…神の加護をその矮小な身にくれてやろうというのに自ら棒に降るとは…何と度しがたい生き物だ。我が情をかけても人間には伝わらぬとはな》
片方の翼が折れ曲がってままのフィアラルだったが、大きく両翼を広げ戦闘体勢に入った。しかし、どうやら翔ぶことは敵わないらしく豪風のような羽ばたき音が俺を襲う。
「いや、無理矢理連れて僕にしてやるなんて誰も納得しないだろうに」
風を少しでも遮るために手で顔を覆う。手に持つ武器はアイテムボックスから出した漆黒の短剣。大鉈は先の闘いで使い物にならなくなっていた。竜鳥戦で消耗している身体に鞭打ち、風に負けず立ち上がった。
少しふらつくものの、平衡感覚は元に戻っているようだ。
しかし、前へと足を踏み出そうとしても進まない。何とか踏ん張る事しか出来ない。
《例え我がチカラが半分以下に落ちていようとも、貴様には勿体ない魔法でトドメを指してやろう。朽ち果てるがよい》
そう宣言すると、羽ばたきが止んだ代わりに、フィアラルの尾羽が光り、不吉なオーラを纏って矢のような羽根となってソウマを襲う。
《死の刻印羽》
そう呼ばれる当たれば低確率で即死の効果のつく羽根攻撃を何とか避ける、もしくは動体視力を凝らして何とか短剣で弾いた。
この攻撃が来たって事は…俺が距離をとったらここぞとばかり範囲攻撃が来る。
体力も防御力も充分でない今では範囲攻撃など避けられない。放たれた時点で終わりだ。そう予想し、させないために全力を持ってフィアラルに接近する。一瞬にして距離を詰めたソウマは右手の漆黒の短剣をフィアラルの胴体へと切りつけた。
しかし、身体に刃が当たるが傷も付かずに弾かれる。その間に頭上から折れた嘴で攻撃してくるが当たらない。
ヒット&アウェイを繰り返し、範囲攻撃を撃たせないようにする。
遠距離~中距離に関して《死の刻印羽》を多用して数を減らし、足留めされている間に中距離からの範囲攻撃してくるパターンだと記憶していた。
接近戦は確か嘴による攻撃と凶悪な爪による物理攻撃くらいだったと思う。
フィアラルはそんなソウマの身体能力の高さと接近戦を選んだ選択肢に驚きを隠せない。
《…キサマ、我の攻撃を読んでいるのか》
ソウマはレイドボスであるフィアラル戦を経験させて貰えるとユウトから誘いがあったときに、せめて戦力にはならなくてもどんな攻撃をするのか戦闘パターンを調べ上げ、何が弱点なのか、どう攻撃してサポートすれば良いのか徹底的に調べ上げていたのだ。
この経験がまさかこんな所で役に立つなんて…有難いことだ。
一心不乱に爪や嘴の攻撃を避け、僅かな隙に短剣を振るっていく。
《何度やっても無駄なこと。ここは我が領域。そんな攻撃など避けるに値しない》
暗黒のフィールドはフィアラルが作った自身にとって能力値が加算補正される。元々高い防御力がこのフィールドによって更に高まっているのだ。
例え、大鉈で攻撃したとしても補正がない武器のソウマの攻撃は、漆黒の短剣以上に弾かれるのは簡単に予想がつく。
(少しでも傷付けば毒が効くかも知れないと思ったんだけどな)
【巨人の腕】と併用して攻撃するには少しばかり余裕が足りない。それでも、ソウマがフィアラルの攻撃を裁き続けていられるのも【見切り】スキルで回避に徹し、致命傷をさけていた。
その戦闘は普通の人間から見れば不可能な程のスピードで行われている。
ステータスの恩恵もあって今は何とかなっているが、このままではじり貧だ。攻撃する手も弾く手も痺れ始めてそろそろ限界に近い。
そんな焦りがソウマの行動に影を落とし、何度目かの攻防にてフィアラルの足爪をいなし損なって派手に吹き飛ばされた。
(マズイ!)
そのまま吹き飛ばされながらも何度も身体を打ち付けられた。頭もガクガクと揺れて飛びそうになる意識を何とか繋いでいると、フィアラルが両翼を上げて首を下げ、広範囲攻撃の準備を整えていた。
冷や汗が身体中に滴り落ちる。フィアラルの最大火力の魔法攻撃であるアレをマトモに受ければ肉体…いや魂すら残さず死があるのみ…。
避けようにも【見切り】スキルの確認で目の前には避けきれないほどの範囲攻撃表示が見えた。
回避は不可能。しかし防御で耐えきるにはそれこそ防御に特化した盾役のトッププレイヤーでもいない限り無理だ。
勝利を確信したフィアラルは嘲る表情を浮かべていた。
そう考えられたのも一瞬。フィアラルの領域と同じ暗黒色の神力が、眩い閃光となり、両翼から扇状の形となって無慈悲に放たれたのだった。
間違いなくソウマに直撃した攻撃を満足そうに見送った。念のために確認すれば跡形もなくソウマの死体ごと消え去っていた。
更にその余波で膨大な熱量が空間を支配していた。普通の生物ならば生きてはいない。
この絶大な魔力を誇る範囲攻撃は、フィアラルに無視できない負荷と貴重な神力を使う。その為諸刃の剣となっていたが…それでも放たなければならない相手だったと認識したのだ。
《我の誘いを断らなければ、下僕のように使ってやったものを…》
とんだ言い種だが人種を弱々しく雑多なゴミとしてしか有効価値を認識してないフィアラルにとっては、直々の下僕として働く名誉をやるつもりで最大限の譲歩をしたつもりだった。
少し興味を持った遊びの玩具がなくなった…その程度の認識だったが珍しく感傷的な気持ちを持ってソウマのいた場所を眺めていた。
直後、紫水晶の輝きを放つ《流星弓》の光矢が遥か天より舞い降りて己の肉体を貫くまでは。
亜神となってから信じられない程の痛みとダメージがフィアラルを襲った。
亜神へと到達した我に傷を負わせる存在は、過去を紐解いても幾ばくかしかいない。
怨敵が再び攻めてきたのかと勘違いしても不思議ではないほど、衝撃的だった。
真上を見ると、そこには見たことのない漆黒の全身鎧を纏い、煌めく紫水晶が中心に刻まれた翼を宙に浮かべた恐ろしい戦士だった。
夜空の輝きを纏めたかのような美しい弓を携えている。
《ここは我が領域である。何者だ!》
魔力を込めた強いプレッシャーが放つ神言は、並みの者ならば良ければ失神、酷ければ魂が破壊される程の重圧がある。
しかし、その戦士は構わず、矢を放ってくる。それすら手を休める足留めにもならない。
次に《死の刻印羽》が襲う。
戦士は宙に浮かぶ翼が力の紋章を発揮させて異常なスピードを生み出す。危なげなく攻撃を避けきり、逆に戦士から放たれる光矢がフィアラルを撃ち付けた。
突然の訪問者に対して苦々しく思いながら、フィアラルは一切の感知出来なかった事に気付く。
己が有利になる空間領域を構築していても察知出来ない。其んな事が可能なのは神のごとくチカラを持つ己と同等の存在しかいない。
その可能性を感ずるも、フィアラルは自身の優位を疑っていなかった。
《どの勢力かは知らんが、我は機嫌が悪い。一瞬で死ぬが良い》
先程の範囲攻撃とは違い、今度は折れた嘴が開いて、溢れんばかりの熱線が1条の閃光となって漆黒の戦士を襲う。
接触すると思われた時、漆黒の戦士の胸部に位置する紫水晶が煌めいた。
身体全体に不可視の幾重もの障壁を張り巡らせ、小さな氷山すらも蒸発させる攻撃を弾いた。そのまま弾きながら漆黒の戦士はフィアラルに接近していった。
この漆黒の戦士とは、【召喚器X 漆黒聖天武装】を完全に発動させたソウマの事である。
広範囲攻撃を受ける前に発動が間に合ったソウマは、翼に込められた力の紋章を使い、その機動力を充分に活かして一瞬で上空まで移動していた。
(コイツを使うのはサンダルフォンとの修練以外には始めてだったけど、大丈夫そうだな)
涌き出るパワーを制御しながら、フィアラルへと挑む。
飛翔能力を使って避けきれる攻撃はすべて避け、避けきれない攻撃は多重魔力障壁展開に任せた。
ひたすら漆黒星弓 天の元になった流星弓の武技【流星弓】を発動してフィアラルを追い詰めるものの…今一歩足りない感じは拭えない。
持久戦になれば永久展開出来ないソウマは、また圧倒的に不利な状況下へと立たされる。召喚器Xを用いてようやく5分か此方が少し優位なのだ。
徹底的な一撃で相手に致命傷を与えなければ…。
ソウマは覚悟を決めた。
漆黒星弓 天を左手で握りしめ、疑似神性を宿した矢を形成する。
ここまでは先程と一緒だ。
サンダルフォンと巨人魔法の相性は抜群のはず。あの予想外の修練で学んだ事を活かせよ。
異界大天使の加護を授かった今ならあるいは…と思える技をぶっつけ本番なのだが、これしか手がない。
漆黒星弓にチカラを溜め込むイメージを乗せ、巨人魔法である【巨人の両腕】を発動させた。
脳内への負担がグッと増え、頭を削り取られるような多大な痛みがフィードバックして襲ってくる。
それらに何とか耐えて明確なイメージと急速に注がれていく魔力を【思念操作】にて一気に解き放つ。
サンダルフォンの元では完成出来ず技と呼ぶには未完成な固有武技。しかし後にソウマの漆黒星天における必殺技の原型かここに産まれた。
漆黒星弓を持つ左腕の震えが止まらない。暴れんばかりの凶悪なエネルギーが至近距離でフィアラルに発射された。
【巨人の両腕】が増幅されて混ざりあい、螺旋を描きながら暴れ狂う。そこにある全てのモノなど無意味だと言わんばかりに。
攻撃を放った反動でソウマは後方へとぶっ飛び、激しく壁に叩き付けられた。左腕の感覚は無い。
息も出来ないほど気力と魔力の全てを持っていかれ、立つことすらままらなぬ状態でソウマは漆黒星天を強制解除される。
これでまだ奴が生きていたら…俺は対抗手段がない。
【死と狂乱の霊鳥 フィアラル討伐されました。
【限界突破】【単体撃破】【ラストアタック】の条件を達成。討伐参加報酬が贈られます。
尚、条件を満たしたためアイテムボックスに初回ボーナス特典が贈られます。称号【亜神討伐者】が付与されます】
脳内にナレーションが響くと、ようやく終わったのだと実感することが出来た。
いつの間にかフィアラルの構成した暗黒の空間は消え去っており、周りを良く見渡せば煌々と灯りが焚かれた大広間にいると気付いた。
あのフィアラルの空間は奴を倒したことによって元に戻ったようだ。
神殿のような荘厳な雰囲気を持つこの建物は、照らす灯り以外には何もなく、床に描かれた巨鳥の紋様のみが記されてあった。
良く見れば何もない訳ではなく、何か台座があったのだろうが砕け散ってそこに何かあったのは間違いない。
あぁ、となると、やはりここはフィアラル戦で使う黒死鳥の巣穴の奥にある神殿か。
一度レイドボスであるフィアラルをクリアした事があったソウマには見覚えがある場所であった。
因みに【蒼銀騎士団】に仮ギルド参加してレイドボス戦を経験させて貰ったソウマは、自らに贈られた参加報酬をユウトへと渡し、返していた。
所属しているならば兎も角、参加させて貰ったのにそこまで図々しい真似はソウマには出来なかったのだ。
その事から他団員にも好印象を持たれる事に繋がり、行動を多くとるようになっていったキッカケとなった戦だった。
そんな思い返して朦朧とした意識の中で唐突に激しい痛みが左腕を蝕む。
漆黒星弓を持っていた両手は酷いことになっていた。
左手が特に酷い状態で左手の指の全てが曲がってはいけない方向に全て曲がり、支えた筋肉は断裂し骨も複雑骨折の有り様で…放った威力の凄まじさを物語っていた。
右手も矢として形成した指先の一部分が削れかかっていて、何とかくっついている状態だった。何とかアイテムボックスからハイポーションを掴んで振りかける事が大変だった。
ハイポーションが物凄く染みて大変だった事もここに挙げておく。
ボロボロに擦りきれていた両腕は、上級ポーションのお陰で何とか繋げたようなモノだ。
(左腕は治るだろうけど暫くは使い物にならない…な)
無理は厳禁。
そう自己判断を下し、ため息をつきながら力なくその場で倒れ込んだ。
ようやく気持ちを落ち着けた所で、床にポンと湧き出ていた宝箱に目がいった。
討伐報酬である豪奢な宝箱を開くと漆黒の外套があった。広げてみるとマントのような外套には、両翼を拡げた鳥が銀糸で綺麗にデフォルトされてあった。
霊翼装の外套 ハイレア級
フィアラル討伐の証。
フィアラルの魔力が宿り、物理攻撃と魔法攻撃に対する両耐性に優れている逸品。魔力を通す事で外套から半透明の霊翼を発生させる。
霊翼から霊属性と霊耐性を一時的に付与され、装備者の俊敏直を大幅に上昇させる。
特に即死攻撃と風属性に対する補正が高い。<装備適性※第3次職業~>
発動武技
任意【霊翼】
常時【死ト風ノ護】
アイテムボックスに贈られたモノも確認してみる。
亜神魂の欠片 ユニーク級
神々しく輝く球体には亜神の魂が封じ込められている。
このアイテムを媒介する事で使用者は、更なる強力なチカラを手に入れられる可能性が増える。
と、説明にある。
今回討伐条件が重なって初回ボーナスで引き当てた亜神魂の欠片をGET出来たのは凄く嬉しい。
激レアアイテムであり、コレがあれば第4次職業の特別枠の隠し職業へと選択肢が増えると思うと、レベルアップが楽しくなりそうだ。
また霊翼装フィアラルは、ネットで見たフィアラル討伐ドロップ一覧表で確認した事があった。
MVP報酬→刻印のメダリオン
参加報酬→フィアラルの尾羽などの素材(装備ドロップの強化素材)or装備ドロップ
参加報酬一覧表
亜神魂の欠片(特殊職業へのランクアップ1%弱)
↓
亜神鳥の黒色素材(ユニーク級のみ使われる素材加工にてフィアラル系統の装備品のランクアップ及び能力アップ)
ユニーク級 フィアラル装備(剣、杖など。羽根鎧、小手など)(割合3%)
↓
霊翼鳥の素材(ハイレア級の素材)
ハイレア級 フィアラル装備(割合15%~)
↓
霊鳥の素材
レア級 フィアラル装備(割合77%~)
の順となっている。
正直レイドボス討伐の報酬としては今回のドロップ品のランクは低い。
何せ討伐の報酬に本来あり得ない等級てあるユニーク級が混じっているからだ…と、まあ、それはトッププレイヤー達から見ればの意見だ。
ユニーク級の装備品など全プレイヤーのなかでもきっと一握りしか存在していないだろう。
そう思えるのは、少なくともソウマはユニーク級の武具をGETしたと言う存在は見たことが無かった。
何せユニーク級などの武具の存在は、ソロの自分には全く関係の無い話だと思っていたから。
俺にとっては非常に有能でかけ換えのない装備ドロップ品だ。しかも始めてのハイレア級装備だ。
しかも、フィアラルを倒せないと手に入らない事もあり、シリーズ装備を今後集めるのは無理だと痛感する。
一通り鑑賞して愛でた後、外套を装備して羽織った。
こんなに嬉しかったのはエルダーゲート・オンラインでレガリアの魔法生物の卵を当てた時とスターシリーズ(課金)をコンプリートした時以来だったりする。
少し補正を加えるとしたら、今回ソウマが入手出来た【亜神魂の欠片】は激レアのアイテムであるユニーク級として存在している。これはボス級でも特定の強敵を倒したドロップに稀にあったり、超難関クエストの報酬でも存在していると言う。
装備に関して本来は、ハイレア級より上である【武具】の存在などは無い。
しかし、このフィアラルなどの隔絶超生命体戦に関しては例外である。
なんせ一度の討伐に最低5時間はかかる大型ギルド推奨のボスである。
そんな途方もない敵を相手に行うコンテンツには、参加者には特典のチャンスがあった。
それゆえ武具に関しては例外措置として、ハイレア級より上のランクとして、ユニーク級が存在しているのだ。
他にもネットの噂では、運営がレイドボス戦以外にもユニークボスを配置したとか、そのたった一体しかいないユニークボスを倒せばユニーク級が手に入ると真か嘘かわからない噂もちらほら記載があるほど、ユニーク級とは特別な代物だと思う。
まぁこれはゲームの時の話で、現実となったエルダーゲートの世界ではどれだけ設定が一緒なのかはわからないけど。
ゲームの時と現実のなった時の違う点が差があるゆえ、そんな事を考えるソウマだった。
さてと…少し頭が冷えてきた。
俺がこのフィアラルに勝てた要因を最大限に上げるとしたら、フィアラルが完全な状態では無かった事が大きな要因に含まれるだろう。
もしも、フィアラルが完全な状態だったならば、障壁をダメージを蓄積させて突破し、両翼の部位破壊をして地上に落としてからが始まりであったのだ。
何故、部位破壊とダメージが蓄積していた状態だったのはいくら考えても…謎のままだ。
偶然が重なって手に入れた勝利。
サンダルフォンの疑似神属性と星属性を宿す【召喚器X 漆黒聖天武装】であっても 、亜神と呼ばれる神に近い相手と戦うなど…しかもたった1人で戦うにはいくらソウマでも無謀である。
要因をまだ上げるとすれば神に通用する非常に強力な属性を宿した攻撃手段があり、フィアラルの能力が半分以下に弱っている封印状態に大いにダメージを蓄積する事が出来た。
漆黒の短剣ですら固い鱗や羽毛に弾かれて満足のいくダメージが通らなかったのだから。
フィアラルの強さで言えば本体たるサンダルフォン未満、焔巨人を媒介としたサンダルフォン以上の強敵だった。
本当に思った以上に簡単ではなく、シビアな闘いだったのだ。
ソウマとしても戦うには勝算が少なく躊躇いがあったが…あの場でフィアラルの誘いにのれば間違いなく自分は後戻りの出来ない後悔に陥るだろうと本能的に察知したためでもある。
ふと、ダンテやコウラン、レガリアとマックス達がどうなったのか気になった。
しかし、連戦続きで疲れ果てた身体は、食欲も沸かず、ただ今は猛烈に眠い。
始めてサザン火山迷宮洞窟の隠し部屋で手に入れた隠蔽のテントを取り出す。
今ほどこのアイテムが有難いと思った事は無かった。ふらつく足取りでテントに入り、不安よりも安心感に包まれながら眠りについた。




