表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルダーゲート・オンライン  作者: タロー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/88

贖う者 エピローグ

レガリア達が門番に説明を聞いている間、もう1人の門番が冒険者ギルドの職員を呼びに行く。


「やれやれ、休む暇もないとはね」


グレファン達と愚痴りながら待っていると、程なくして現れた若い職員が申し訳なさそうに案内してくれた。

どうやら先に着いたナタリー達やコウラン達から事情は説明されているようだった。

促されながら冒険者ギルドの会議室前に辿り着く。


「グレファン様一行、到着されました」


「入れ」


アシュレイの声が聞こえ、中へと入る。


中には豪奢な机が並んでおり、上座にアデルの町の領主たるアデル伯爵が座り、その背後には騎士と思わしき武装の者達が5人ほど控えていた。

右隣にはギルドマスターたるアシュレイが、左にはナタリーがいてガリウは見当たらなかった。

怪我はあるもののグレファンを見つけたナタリーは、大きな眼を見開いて喜びを露わにした。




その隣にはコウランとダンテが座っており、此方を見て安心した表情を見せていた。狂乱兎のNo.6、7の姿は見えない。

彼らの存在は狂乱兎の二足歩行のようなもの。そのまま魔物として勘違いされてしまう可能性が高く、厄介ごとにならないように町へと辿り着く直前に近くの森へと待機してもらっていた。

実験体だった彼らはレガリアに忠誠を誓い、今後決して人里へ近付かずに過ごす事を約束している。







因みにアルヴィースも既に別行動にてユピテルの街へと向かい、この場にはいなかった。

理由は面倒毎が嫌い…との理由だった。

気が向けば今回の報酬でも取りに来るから宜しく…とスタスタと去っていった後ろ姿はあれ程の戦闘をしたとは思えない程軽かった。




さて、会議室でお互いの無事を喜んでいると、アシュレイが口を開いた。


「彼らより話を聞いた。俄かに信じがたい話だったのだが…君達の怪我の具合を見れば強大な何かと戦ったのはまちがいないようだ。

そして、グレファン殿。行方不明だった拳嵐のメンバーが重傷を負い保護してくれていた事に礼を言おう。

C級冒険者たる彼らは冒険者ギルドにとってなくてはならない存在だからな」


口裏を合わせ、説明した話のあらましはこうだ。


サザン火山の一部を領地に持つ貴族に領地の魔物狩りを直接依頼を受けたミランダ達《拳嵐》のメンバーは巨大な魔物に襲われた。

重傷を負いながらも、何とか逃亡に成功した。しかし、傷は酷くその場から動けなくなっていた。

しかし偶然にも他国からの客として、依頼された貴族の屋敷に滞在していたグレファン達がミランダ達を発見した。

直ぐに手厚い看護を行い、事情を聞いた彼らはキナ臭いものを感じる。


彼らを匿い、治療を続けながら独自に調査を続けた所、恐るべき事がわかった。

ミハイルと呼ばれる錬金術士が人体と魔物の融合させたモンスターを産み出す実験をしており、客として呼ばれたグレファン達や名を馳せてきた《拳嵐》メンバーを上質な素体として人体実験しようとしていた事が判明した。


と、まあこんな大筋の流れに話は纏っていた。

実際巻き込まれた形となっていたコウラン達もフリークエストとしてミハイルより依頼が出ていた事も証拠の1つとなっていた。


まだ懐疑的なアデル伯やアシュレイに更に証拠として討伐した大型魔物を見てもらうことにした。



一切の他言無用として秘密裏にする事を条件にレガリアがアイテムボックスを使用してくれる手筈だった。


誓約書をとった上で全員で訓練所へと移動する。

黄金魔蟲の死体をアイテムボックスから出した。

訓練所いっぱいに広がった魔蟲は、グレファン達が仕留めた個体だ。そこにサソリ型の魔物も加わる。


明らかにこの辺りで出現する魔物ではない。

見聞した者達は、その余りに巨大で死体に残る様々な傷から、如何に激しい戦いだったのか容易に知る事が出来た。そして、その戦闘に打ち勝った者達に賞賛の目線を送る。


「しかし、サザン火山にそのような恐ろしく巨大な魔物がおったとはな…いや、ミハイルとか言う錬金術士が作ったのだったな」


忌々しそうに言葉を吐くアデル伯爵は、老齢ながらもその眼光は鋭い。

今回の件を如何に処理しようかと悩んでいると、遠くから職員の静止が聞こえてきた。



しかし、それを振り切りドタドタと此方に向かって歩く足音が近づいてくる。金属の擦れるような音から歩いてくる主は少なくとも冒険者ギルドの職員ではない。

アデル伯爵の騎士達が剣を片手に剣呑な雰囲気を醸し出しだす。

いざという時に備え、全員が臨戦態勢を整える中、足音は会議室の手前で立ち止まると、コンコンとノックの音が響く。


「会議の中、大変失礼致します。グレファン様の配下の1人ガリウでございます。

至急報告したき件がございますゆえ、中に入っても宜しいでしょうか?」



皆の視線がグレファンに集まり、この場で1番権力のあるアデル伯爵が無言で促す。


一礼の後、内側から扉は開かれた。


そして、ガリウの手よりから驚くべき書類がもたらされた。

実はグレファンはこの手の情報を掴んでおり、信頼のおける部下であるガリウに密かに集めさせていた。



彼はグレファンの密命を受け、遂にその証拠となる書類をここで提出する。


その中に書かれていた文章は最終的にグレファン達を殺す事や、計画書を偶然・・にも発見して保管していた事。

また、更に他国からの援助を受けて謀反を企てていたと記されてあったのだ。



無論、これを信用するかはアデル伯爵の判断次第。

捏造したと疑いをかけられれば、グレファン達は人知れず町を救った英雄から一転、ここを追われるか人知れず殺されるかの二択となる。


静寂が場を支配し、緊張感の孕む雰囲気を醸し出していく。

そして、町の領主で最高責任者であるアデル伯爵は決断する。


天運はグレファンを選んだ。


かの貴族を処断し、その地を今回の功績をもって領地と爵位を与えられる事になった。

余所者のグレファン達とすれば、かなり法外な報酬である。

流石に辞退するが、意外と熱心に勧めてくるアデル伯爵だった。


何か裏があると分かっていたが、恭しい態度を取り続けていると、どうやら相手の狙いを察知する事が出来た。

思わず目線を合わせると、アデル伯爵は老練な笑みを浮かべた。

遂に一大決心を決め、グレファンは答えた。


「アデル伯爵様…そこまで仰って頂けるのならばお断わりするのも失礼に当たります。

非才な我が身なれど、粉骨砕身の努力でお仕えさせて頂きます」





こうして話合いは進み、次の日にアデル伯爵の遣いが件の貴族の屋敷を訪れた。

そこで通知され、その日の内に毒を飲んだ領主は誰にも看取られる事なく、墓地へと埋められた。

独身であり、他に親類のいない彼はあっさりと断絶する事態となった。

実際に謀反を企てていたのかは判明していないが、かなりの信憑性のある状況証拠が揃い、庇いだてする貴族もいなかったからに他ならない。



手に入れた領地と屋敷を改めて眺める。

屋敷自体の造りはしっかりとされており、痛んだ所は補習で何とかなりそうだ。使用人はアデル伯爵から1人メイドを派遣してもらい、教育係兼メイド長として他の使用人を鍛えてもらうつもりだ。


(私を厚遇する事によって、処断した貴族と同じように勝手な真似を企てる他貴族の牽制や、領民には懐の大きさと、実力さえあれば領地が貰えるかも知れないと言う有能な人材を求むアピールが出来る)


見せしめも兼ねているのだろう。そのお陰で小さいながらも領地が手に入ったのだ。

笑顔の下にグレファンは考え込む。



(しかし、実際の所は程のいい…厄介払いだろう。

不祥事を犯した貴族の領地で尚且つ、サザン火山の一部などの旨味のない領地も貴族は嫌がるからな。またそこから討伐した魔物が出てくるとも限らないし…な。

しかし、私は運が良かった。まさか何十年もかかるだろうと思っていた定住の地が手に入った。

これで合法的に動ける。

領地となった場所に住まうのは小さな農村くらいしかない。税収は余り見込めないだろうが…先ずはそこから着手しようか。

領地経営などは暫くは文官を雇うまでナタリー・ジーンなどを交えて進めていこう。

焔巨人にも挑みやすくなるし…私にとってはあそこは宝の山でしかない)








この後、新進気鋭の若手貴族として名を馳せるようになるグレファン。

領主自ら物事に当たり、また冒険者のように振る舞うことから貴族としてらしくないとの評価を受けていた。

しかし、礼儀作法などは上級貴族並みの作法を持っており若い貴族の娘達から貴公子だと噂の的となる。

またアデルの町では余り重用されない獣人などを積極的に雇用し、赤字の領地経営を次第に黒字へと変えていく様は新しい意識改革の見本となった。




冒険者ギルドに所属していた《拳嵐》メンバー達は、そのままグレファンに仕える事が正式に決まった。

ジーンは優れた知識を活かすため、また文官として重用された為、経営手腕を高める為に学校へと行く事になる。

帰ってきたジーンは得た知識を存分に発揮させ、辣腕を振るう。

そんな彼に恋する女性や貴族の娘も多かったのだが、見向きもしなかったという。

今は愛するミランダをいつか振り向かせる為に、彼はこれまで以上に励むことだろう。




同じくメンバーのヤラガンは、重装備の騎士として迎えられた。

そしてサザン火山のフィールドボスである対焔巨人用の部隊30名からなる精兵の隊長となった。

傭兵時代に培った戦闘経験や実地での勘、更に彼の繰り出す重撃はどんな窮地をも乗り越えていく。

焔巨人からドロップされた【焔斧】を下賜されると更に戦闘能力が上がり、グレファン配下の最強の3騎士の1人として名を連ねた。

粗雑な物言いだが、口々の端から優しさを垣間見る事が出来る誠実な人柄が部下を纏め鍛え上げていく一因に繋がっていた。






《拳嵐》のリーダーたるミランダはグレファンの右腕と言っても過言ではない。

絶対の恋心ちゅうせいしんと卓越した戦闘能力を用いて、何であろうと彼に立ち塞がる敵を一掃してきた。

領内に野党や盗賊と聞けばその一帯の殺し尽くし、魔物に襲われ救援を待っていると聞けば即座に急行して蹴ちらす。お陰で治安の良さも合間って領地を尋ねる商人や旅人から人気が高い。

その雷光のような強さは、グレファンに仕える騎士の中でも個人最強の武官である。

彼女の恋にはジーンが絡むことになるが…それはまた違う話となる。





忠義の騎士ガリウは、グレファンの前でも帯剣を許された唯一の騎士。

黄金魔蟲の素材で作られた黄金色のカイトシールドを下賜された彼は、グレファンの代理として会議に出たりと忙しい生活を送っている。

また戦闘能力以外にも賢く、優しい実直な性格のガリウは文官も担える数少ない武官であり、グレファンのみならず彼を支えるメンバーからも非常に重宝された。

とある事件・・後にグレファンの妹たるナタリーと婚姻する事になる。




これより数年、目覚ましい発展を遂げたこの地はアデル伯爵領における無視できない戦力の1つとなった。

この事からアデル伯爵の株も上がり、次期当主とされる人物からもグレファン殿を頼りにしろと父親である老アデル伯爵から信頼されるまでに成長した。




彼らグレファン達とまたレガリア達の運命が重なるのは、これより数年先となる予定だ。



かく言うレガリア達も多額の金銭を報酬としてもらい、この町に仕官しないかと誘いを受けるも断った。


冒険者ギルドのマスター アシュレイは、アデル伯爵と違いまだ此方も疑っていたがコウランとダンテが近々町を離れ故郷に戻ること、またレガリアも目的の品が完成すればこの町を離れる事を伝えると、渋々ながら彼は納得せざるおえなかった。

疑うと言っても、せめて俺には本当の事を言えよお前ら…と少々拗ねた理由だったのだから険悪な訳では無いのだ。


残された時間は、あっという間に過ぎていく。その間に千貌と呼ばれる存在と、何故あの場に残ったのか…霊知と呼ばれる未来の出来事を踏まえながら話した。


遂にコウランの両親がアデルの町に到着し再会する。

まずコウランの髪の色が元の黄金色の髪へと戻っていた事に気付いた。

手紙を読んで分かっていたとは言え…実際に愛娘に課せられた厳しい試練が解放された事に嬉しさを感じ得ない。

3人揃って抱き合う姿は、ダンテの心にも達成感を感じさせていた。

そしてコウランの父親であるサルファーから、これまでの苦労と成長した姿に労いの言葉をかけてもらった時に、ようやく掛けてもらった恩を少しでも返せたのだと実感。

師であり、親代りでもあり、そして幼き頃から憧れだった神官戦士に認められた。

男泣きしたい嬉しさを我慢するのに必死なダンテだった。


レガリアも紹介され、彼らが国元レグランドへと出立する前に食事会を開く事になった。


コウランの母親はとても若々しく、20代前半に思えるほどでとても一児の母親に見えなかった。


「あらあら、貴女がレガリアさん?

娘がお世話になりましたね。ありがとう」



コウランと同じ黄金に輝く髪と柔らかな太陽のような美貌は、スラッとした外観と相俟ってとても絵になる。

名はセイランと言うそうだ。

今も食事会に設定した酒場の男性の目を惹きつけてやまない程だ。

宗教国家であるレグランドは魔族の起した国であり、彼女自身王家の遠い縁戚に連なる為に半魔人なのである。

その能力は並みの獣人、ドワーフ、エルフ、人類などを超えている。


それでも純粋な魔族はもっと強く、生まれながらのエリートと呼んでもおかしくはない。

そんなレグランドの中でも強い力を持つセイランでも、王獣と呼ばれる超常的な存在からは試練を承ることは無かった。

つまり、コウランは余程その王獣に見込まれた事になる。

例え今のように国を出奔したとしても、王獣の試練を課せられた者は試練が終われば強制的に国に戻らなくてはならない。

それは、どのような理由があっても変わらないのだ。


コウランの例のように、この王獣の試練が元で権力闘争になどに負けて国を出た者は今回の件が初めてである。

殆ど例がない事例であり、王獣の試練完了者は基本的に国を挙げて迎え入れられるのだが…彼女達家族はレグランドには帰依するのではなく、報告と王獣の加護を授かれば、その王獣さえ許してくれれば、そのまま国から退散するとの事。


その後、コウランの父であるサルファーとダンテは成長を確かめる為に手合わせする。


突き、薙ぎ払いとダンテの槍の連携がサルファーに全力で放たれる。

一切の躊躇いの無さはサルファーならば簡単に捌けると信じているからだ。


事実、その槍は余裕を持って躱された。常に先頭に立ち戦士として立ち向かっていたサルファーには豊富な戦闘経験によって攻撃が先読みされていた。

暫くは攻撃されるがままになるが、いきなり逆にカウンターを返されて盾で慌てて防ぐダンテ。

その後は息のつく暇もなく嵐のような斧槍が飛んでくる。

ダンテがもう崩されると覚悟した時に、その頃を見計らったようにピタリと攻撃が止んだ。


「ダンテ、まだまだ甘いが…成長している。これからも精進せよ」


未だ敵いはしなかったが、実戦で磨かれたダンテの攻撃と防御は百戦錬磨のサルファーを持ってしても内心冷や汗をかき、成長を嬉しく思っていた。



一夜が過ぎて彼らが出発する時が来た。

宿には先ほどアデルの町に到着した獣人の1組のペアが訪れている。

サルファー達が護衛に雇った傭兵との事で、歴戦の戦士と年若くも戦慣れした魔術士だと教えてくれた。



何方もこの出奔した年月の間に知り合い、お互いの腕に惚れ込み仲良くなった縁なのだと言う。


レガリアはダンテに補修した大盾を渡し、コウランには上位炎鬼フレイムオーガが持っていた大鉈を炉で溶かした風の力が秘められた魔力鉄を使って選別を渡そうと決め、制作していた装備品を渡した。


装備は軽鎧ノクターナルというハイノーマル級の性能の良い品で、更に幻惑の魔石が嵌め込まれている逸品である。

防具の方は申し分なさそうだと判断していたレガリアは、まず魔獣紋のネックレスに住まう炎猫の上位種であるフレイに前足装着する装備品を渡した。

鋭利に尖った前爪は最低限の風の魔力が秘めている。

これによりフレイ自身の持つの持つ火属性付与魔法の他に、自身の魔力を使わずに攻撃する手段を得ることが出来た。


召喚したフレイに自ら取り付け、試しに動いてもらい重くは無いか動きに支障はないか調整していく。

上機嫌に喉をゴロゴロと鳴らしながら首を摺り寄せてくるフレイにレガリアも元気で…と声掛ける。


そしてコウランに同じ魔力鉄で作った短剣を渡した。コウランの本来の武器はメイスといった重量武器なのだが、生憎と作った事がない品だったために中途半端な品は渡したくなかった。

よく考えた結果、短剣ならば邪魔にやはならずに小回りの効く武器として有効なのでは?と考えついたのだ。


何方の品も等級はレアに届くかどうか…といった品だがレガリアの真心込められた品に間違いはない。

コウランは大切にする!と非常に喜んだ。


返礼の代わりにコウランは、彼女の大切にしていた指輪を渡した。

それを見たダンテは絶句し思わず止まるように忠言するものの…コウランの顔を見て考えを改めた。



これは彼女の家に伝わる指輪であり、装備品としての価値はなく装飾品としての価値の残るモノでしか無い。

しかし、純度の高い素材と美麗な装飾で上位のレグランド貴族の証が込められた品。

幼い時に存命していた祖母が母であるセイランではなくコウランへと贈られた大切な品なのである。

売れば一生…と言わないまでも贅沢をしなければ最低1年は遊んで暮らせる金額となる品だ。


どんなに苦しいときや貧困な時にでも決して手放さなかった大切な品をレガリアに贈り、気持ちのお返しとしたのだ。

それを見ていたサルファーやセイランも娘がそう決めたのならば…と暖かく見守っていた。

レガリアとしてはそんな大層な品を貰っても使いどころがない。

しかし、何を言ってもいくら遠慮しても押し付けるように渡してくるコウランに根負けして、レガリア的には預かると言う事で納得させた。


(幸い、アイテムボックスにしまっておけば朽ちる事もなくなくす事もないわ。今度会えた時に返しましょう)


と、再び会えるための誓いとして心に決める。









コウラン達が出発するとレガリアは昼間は鍛冶の修行、夜は迷宮で上位炎鬼の討伐兼修行に慢心する。

鍛冶の修行は大幅な身体能力の増加により、また休憩時間の必要のないレガリアは師匠の教えを汲み取り確実に腕を上げていった。

しかしそれめも大太刀に代わる試作品を何度か鍛え上げるも、なかなか納得のいく品は作れずにいた。


そして夜は上位炎鬼相手に修行の日々を繰り返す。刀の技量を上げて身体に馴染み込ませていく。

使用する武器は専ら闘鬼術を使用した白木刀がメインとしたが、稀に自身の打った試作品である剣を試し斬りしていた。剣による補正が一切無いレガリアは、最初は身体能力に頼るだけだった。

剣技と呼べるモノはない。また刀との扱いとも違い難儀しているが、今後刀のない状況に陥る事もある。

その時にとれる手段を増やしておく事も悪い事じゃ無いと他の人から見れば随分とハードな生活を楽しんでいた。



また先の戦闘で新しく手に入れた能力【希少宝箱レアスピーシーズ固有能力解放トレジャーボックスリリース】。


その中の【体内錬金(C)】

吸収能力付与アプソープション(C)】

【保有希少枠(3)】

の検証も兼ねていた。


【体内練金(C)】は簡単に言えばその名の通り、自身の本体である宝箱内たいないで以前に食べた金属をコピーして製造する事が出来るようだ。

純度なども食べたモノに依存するため、イイモノを食べれば食べるほど良いのだと分かった。

貯蓄のように食べた量が本人しか解らないメーターに加算されていく。

C補正のランクの為、魔力のある金属などはまだ錬成は出来ない見たいだけどレシピのようなモノは知識として存在していた。いずれ魔力鉄なども自前で精製出来たりするのかも知れない。



【吸収能力付与】もそれに因んでいる。

レガリアは食べる事で魔物や武具からステータスや稀にスキルを得ていた。


これが更に加算されるステータスボーナスが増幅されたり、自身の素質のあるスキルならば更に覚えやすくなる特性を秘めた常時スキルだった。

但し、無機質や物質に限って…という見たい。

試しに赤熱鋼を食べると宝箱本体メインに僅かに筋力増加が見込め、修羅鬼状態の下地に大いに役に立っていた。

コレもCランク補正がかかり、引き出せる加算には限界がある。この値が上昇すればする程引き出せるので将来的に期待が持てるスキルの1つである。



そしてこの最後に説明するスキルは【保有希少枠】がチート過ぎた。


宝箱ミミックしかない種族特性により、本来の宝箱をしまう役割があるのだが、これはその枠に収めるモノが希少であればある程能力値に補正がかかるとんでもないスキルだった。


現在この枠には千貌を倒した時に戦利品と得たハイレア級のスターメイズロッドと、グレファンから報酬として貰った焔巨人のドロップ品の焔鋼石と武具を収めてみた。

特に顕著に補正が強いのはスターメイズロッドで、知力値の補正が筋力値と同等レベルに達していた。


実質レガリアはこれらの補正により、先の戦闘よりも倍近い戦闘能力を有した事になる。


本人にその自覚は全くなく、突き動かされる衝動はたった1つの想いのみだった。


そんな忙しい間に千貌戦で回収した特殊個体オリジナル・ワンと呼ばれた存在と特殊液入りの保管容器の存在はアイテムボックスの片隅で忘れ去られていた。

時間経過がないアイテムボックス内にも関わらず、その存在が自我を持ち、本当に僅かに回復しながら力を蓄えいくことに気付かないまま。







一向にソウマからの連絡はまだない。

此方から呼び掛けてもいるのだが…。

暗くなる気分を吹き飛ばし、レガリアは日々挑み続けていく。


ジュゼットから鍛冶の基礎過程の終了を告げられた時に、

やっとソウマに連絡が繋がった。それも遠方にいるようだ。

身支度としながら、この町を離れる事にしたレガリアは出立する為にお世話になった人達に挨拶していく。

すっかり町に慣れていた住人達は惜しむ言葉を投げかられるが、レガリアの想いを知る者達は遂にこの時が来たのだと激励をしてくれた。

レガリアの人間的な思考も少しずつ成長しており、この町に寂寥感を感じるまでに親しんでいた。




そして、既に頼まれていた刀剣と鎧一式も出来上がり、レガリアは遂に旅立つ。


全てはマスターと出会う時の為だけに…。






何度か修正しました。

あとでまた読みにくい、伝わりにくいところの加筆、誤字脱字と修正は入るかも知れませんがよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ