プロローグ4
今回完成間際で間違って全て消えてショックでした。
見ている皆さんに少しでも楽しんで頂けていたら幸いです!
洞窟の中で待ってていた人物。
フードを外すと、美しい黄金色の長い髪に深緑の瞳、髪からはみだした尖った耳が見えた。
その美しすぎる容姿に見惚れていると、声をかけられた。
「試練を受けにきた者は久し振りじゃな。儂の名はニルヴァーシュと言うハイエルフの末裔じゃ。汝は誰かのぅ」
「ハイエルフ!?」
ユウトと同音で声を上げ、驚いた。
エルフは種族特性として、称号に精霊の友(精霊術使用の際に補正)と精霊術のスキル、森林フィールド時補正アップがついた種族である。
唯でさえ人気の種族だが、更に優遇されていると噂される上位種族のハイエルフはいつも人気種族の上位にランクインしている。
因みにプレイヤーの中で未だハイエルフになった者はいない。
他の者には内緒じゃぞ、と笑いながら答えた。
「申し遅れました。私はソウマと言う者です」
「ほぅほぅ、礼儀正しい子供じゃのぅ」
と、ニコニコしている。
「さて試練を受ける者よ。途中魔物から拾った石を渡してくれんか」
様々な色の石を渡すと、中央の魔法陣の描かれた場所に置かれた。
「今からこの血石を合成させて契約の指輪を造るのじゃが、出来る際に魔力の歪にてそれ相応の魔物が現れる。
その魔物の中に契約の指輪が出来上がっておるから倒して奪いとる事が最終試練となる…準備は良いかの?」
頷くと、ニルヴァーシュが生成魔法を詠唱した。
紅く光る光の中に一体の魔物が顕現した!
体長は5mで、真紅の眼をした大きな巨人だ。身体に焔を纏い此方を睨み付けている。
名をフレイムタイタンと言い、始まりの街ユピテルから南方へ行き、サザン火山に君臨するフィールドBOSSである。
身に纏う焔を拳と蹴り技にのせて攻撃する姿は雄々しく感じられる。
中位プレイヤーがパーティを組んで討伐する必要がある存在で、断じて2人で相手する魔物ではない。
「ほぅ、大物じゃな。頑張るのじゃ」
「ソウマといると退屈しないな」
褒め言葉だな、と思っている間に焔巨人が此方に駆け出してきた。
推定C級のBOSS級。相手は格上だ。
恐ろしい音を立てて殴りにきた豪腕を体術で回避し、振り向きざまに矢を射る。
腕や背中に当たるものの、大したダメージはないように思われる。
「ソウマ、俺が引き付けるから援護頼む」
と叫び(ヘイト)、焔巨人に斬りかかった。
氷魔法のアイスエッジ(一時的氷属性付与)とアイスシールド(一時的防御アップ)を詠唱し終えた攻撃に焔巨人から苦痛の表情が見えた。
反撃されるもしっかりガード防御をし、持ちこたえている。
私は急所を攻撃しつつ、焔巨人の意識を散らさせたり、折を見てユウトにポーションをかけたりと、遊撃役をする。
随分と時間がたち、焔巨人のライフゲージが半分に減ったころで、後方へと巨人が飛び退いた。
攻撃体勢を維持しつつ、注意深く観察すると焔巨人の中から火の形をした魔物が生まれた。
レッドエレメンタルと呼ばれる存在で非実体系魔物でもある。
非実体系魔物は魔法を使うか、魔力を持った武器で攻撃したり、ユウトのように魔法付与した武器で戦わないとダメージ判定がつかない。
魔力武器が余りないため、後者で戦うことが一般的である。
幸い、いま私が使っている流星弓は魔力武器である。
直ぐに標的をレッドエレメンタルにかえ、弓を引き絞る。
対空補正のある戦技【飛竜】と武技【流星弓】を重ね撃ち放つ!
旋風を巻いて2つに分かれた攻撃は4体いた内の2体を消滅させた。
戦技【飛竜】は、弓系の一次職で覚える対空補正【スカイショット】を昇華させた戦技だ。
街の道場にて、まず弓の熟練度を観られる。
それに合格したら教えを請い、少なくない金額と修行と試験を得て習得ができる技である。修行の難易度は高い。
対空の相手に対して補正も強く、竜の顎のように分かれて追加攻撃するエフェクトが人気な戦技だ。
「雑魚は引き受けた。少し任せて大丈夫か?」
「ま、大丈夫だろう。出来るだけ早く…なっと」
焔巨人の膝蹴りを戦技【盾打ち】で迎え撃ち、体勢を崩したところでスキル【フロストバリア】を発動する。
体を霜のような氷結した障壁が覆った。
レッドエレメンタルの吐き出してくる火弾を躱し、時に当たるがままにする。
ダメージらしきダメージも受けない。
(時間の余裕はない、テキパキ行こう)
少し時間はかかったが最後のレッドエレメンタルを倒した。
ユウトはボロボロになりながらもBOSS級の攻撃に耐え続け、ライフゲージが半分以下になってしまっている。
それでも隙を見て反撃し、豪腕をいなし、蹴りを受け流して防御体勢を保っていた。
焔巨人の背中に矢を入りながら駆け寄る。
「すまない」
「遅い。おかげで盾防御の熟練度が軒並み上がったぞ。SPも余裕が無いから決めてくれ」
笑っているユウトは冗談ぽく声がけた。焔巨人を見るとユウト以上にボロボロで満身創痍なのが良く分かる。
頭部に狙いを付け、流星弓を発動させた!
焔巨人がゆっくりと倒れた。
「お疲れ」
「ユウトじゃなきゃ達成出来なかった。本当にありがとう」
そう言い、お互いを見つめた。
疲れているが解体を終わらせないと…。
人型の魔物に若干の抵抗を覚えながら解体していくと、前胸部に硬い感触があった。
切り開くと白銀色の指輪があり、手に取った。
【特殊クエスト 魔物の試練をクリアしました。特定BOSS級討伐のため特別報酬が贈られます】
ナレーションが頭に響いた。
ユウトと共にアイテムボックスを確認すると、ユウトには焔巨人の焔鋼石(焔巨人の体内に稀に生成される)と焔舞の具足(焔巨人シリーズの一つ)と呼ばれる装備品がドロップしていた。
私には焔巨人の魂魄結晶(魔物使い用アイテム)と【巨人の腕】という魔導書が贈られていた。
魂魄結晶について聞くと、魔物の餌にすると進化やスキルを得たりと影響が現れるらしい。
魔物使い特有のアイテムで、特にBOSS級の魂魄結晶はなかなか得られないそうだ。
聞くと、ニルヴァーシュが教えてくれた。
魔導書についてはユウトにも驚かれた。
特定のBOSS級しかドロップせず、1度ドロップすると2度ドロップしないユニークアイテムだという。
ネット掲示板でも騒がれており、どのBOSSがドロップするかは全く不明のままだ。
ロマンを求めてBOSS戦に挑むプレイヤーも多いらしい…。
私以外には全プレイヤーの中でも2人しかいないらしいとユウトが教えてくれる。
余りの稀少性に立ちくらみがした。
巨人魔法【巨人の腕】
巨人の力を継承し、使用者のHPとSPを消費して巨人の腕を顕現させる。
1度攻撃すると消え、再召喚が必要。
第1段階(熟練度により上昇。武器装備も可能になる)
トレード不可。売却可能。
早速魔導書を開き覚えようとしたが
【巨人の腕を覚えると、この後に一切の魔法を覚えることが出来ません。習得しますか?】
慌ててキャンセルした。うーん、リスク高いな!よく考えよう。
そんな私を見てニルヴァーシュやユウトが笑っていた。
焔巨人を解体し、素材をしまう。
白銀色に輝く契約の指輪は、精霊石と呼ばれる稀少な石を試練の魔物の体内で精製し、魔物と同化を果たす。
そのため魔物と相性が良く、指輪には魔物専用の空間があり、収納と持ち運びを可能とさせる。
収納する際は魔物の大きさは関係ない。
造るには特殊な魔法と精霊石の精製の知識がある者しか出来ない。悪用防止のため、作り方の情報は秘匿されている。
契約の指輪の精霊石の色により格が決まり、指輪に住める枠が違う。
白銀色はモンスターティム出来た5体の魔物を住まわせる事が可能だ。
契約の指輪(白銀)
魔物の試練を合格した者に与えられる指輪。5種可能。
白銀の魔力により、魔物に成長補正がかかる。
早速装備した。
「ニルヴァーシュさん、魔物使いの試練ていつもこんなに大変なんですか!」
ユウトが尋ねると、首を振った。
「いや、お主らだけじゃよ。本来なら持ってきた血石一つに精製の魔法陣をかけるだけだからのぅ」
ニルヴァーシュ曰く実力者が来た場合、余り簡単に試練が終わると魔物の体内で精霊石が上手く精製されないそうだ。
その場合は今のようにする習わしらしい。
例え魔物が強く倒せなかったとしても、途中でニルヴァーシュが加勢して魔物を倒す事になっている。
「フレイムタイタンは始めての召喚じゃったが、儂のようなハイエルフならあれくらいの相手なら楽勝での」
さらりと恐ろしい事を聞いた。
「さ、試練はおわりじゃ。ここは再度封印するでのぅ」
「お世話になりました。色々教えてくれてありがとうございました」
そう言って退出しようとすると、空からゾクッとする声が降ってきた。
『魔導書の濃い気配を感じてみれば…ここに現われたのか。貴様が使わないのなら我が使ってやろう…』
慌てて見渡しても誰もいない。気配察知にも反応がない!
突如空間から漆黒の精霊石が出現し、焔巨人の残骸へと突き刺さった。
熟練度はステータスに出ない、スキルレベルの事です。
レベルアップしてより無駄が無くなったり、スキル昇格などあります。
そのスキルを正しく使えていると経験値が入る仕組みです!
プロローグが長くてごめんなさい。
次回でプロローグが終わる予定です!