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エルダーゲート・オンライン  作者: タロー


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37/88

ソウマの決意

迷宮洞窟へと向かったソウマ達は順調に道程をクリアし、洞窟内部へと到達していた。


このメンバーではマックスとダンテが前衛になり、ソウマは弓を装備し、遠目の相手を中心に倒していった。


この面々の中ではやはりマックスが目立つ戦果を上げていた。

魔法を使わずとも、接近戦では投擲用のナイフを投げ、よろめいた隙に小剣による一撃で止めを刺すなどして、上手く併用していた。


この投擲による武器の戦い方を見ていると、以前テスト用に作り、アイテムボックスに眠ったままで使ってない投擲武器兼接近戦用の武器を思い出した。


それは打根ないし打矢という武器で、マックスの戦い方には投げナイフよりもソレをオススメしたくなった。



以前中距離用の武器を探していた所、色々と種類があるがどうもピンとこない。

店内を探している内に打根の存在を思い出し、武器屋を見渡したが…そんな形態の武器は置いてある筈もなく見つからなかった。

ジュゼットに聞いてみたが見たことも聞いた事も無いと言う。


ソウマはリアルで弓道を習っていた時に、師匠からは実技の他に弓についての歴史も習っていた。

小笠原流ではあったが、打根という武器の存在と使い方を資料として、どういモノなのか教えて貰っていた。


私には投擲武器用の補正や戦技はないが、いざと言う時の接近戦用の切札に是非1つは持って使いたいと思っていたのだ。


世界エルダーゲートに無いのなら作ってしまえと思い、ジュゼット達にどんな形態なのか、どう扱う武器なのかを知っている範囲で概要を話した。また、拙いながらもどんなモノが絵で描いて説明し、何とか理解を得てもらった。



設計図には武器の全長を50㎝程にしてもらい、小型の小剣のような形にしてある。

全体的に矢の形状に似ていてるが、先端部はやや細くして尖らせている。

後ろ側の部分は筒状にして、中に紐を仕込んでおく。

理論的には投擲した際に回収しやすくしてある。これは元の世界のままの仕様になっている。

1度作成して見て、この世界の素材と仕様に徐々に変更していけたらとおもう。



製作段階に入り、実際使う金属は先端部と全体的な金属は、上位炎鬼のBOSS戦で入手した魔力鉄を使う。

忙しいのに申し訳ないのだがレガリアに頼んで、新しい刀よりも先に作って貰っていた。


ジュゼットも面白いと興味を持ってくれた。

足りない素材の提供に工房に残っていた美しい風鳥の羽と、打根に仕込む糸に伸縮性に長けた耐久性の高いサンドワームの糸を提供してくれた。

自分の我儘のために力になってくれる2人には大感謝である。


試作型とは言え、設計図通り完成した打根の完成度は高かった。

元の世界の現代では入手出来ない特別な材料と、作成者の鍛え上げられた技術のおかげだろう。




試作型 打根 ハイノーマル級


異世界の知識を多用し、ジュゼットとレガリアが魔力素材で作り上げた。投擲、刺突、近接に使える武器である。

射程距離は最大4m。投擲した後、回収出来るよう丈夫なサンドワームの糸を使用している。

全体に魔力鉄を使い、見た目よりも軽さと強度を上げてある。





そうして完成した武器であったが、ソウマは主に戦いでは刀や弓ばかりで、試作型打根はなかなか使う機会が無かった。

だが、折角作ってくれた武器だ。射程距離や強度。また耐久性、使い勝手と威力を知る為にテストは必要だ。

マックスに相談してみて良かったらテスターとなって貰おうか…?


取り敢えず、自分でまず扱って見る。

マックスと前衛を交代して貰った。

新手にレッドラダマンティスが4体現れた。

まずは通常武器としてレッドラダマンティスの1体に接近する。

複眼が此方を確認し、左右からくる前脚からの鎌の攻撃を躱しながら、細い胴体部を支える部分を狙い、払う。


メキョ…と音がした。切断には至らなかったが接合部は千切れかけていた。今度は頭部をしっかり切断し、レッドラダマンティスは息絶えた。


手応え的には申し分ない強度だった。

打根の握る部分と穂先の部分が近過ぎる為、間隔の調整が必要だった。


1体を倒す間に、マックスとダンテが残りを片付けていた。


戦闘終了時にマックスに声掛けて、小剣程の大きさのある投擲武器を見せた。一見すると先端が尖っている羽根付き棒に見える。


変わった形状の武器を見せて訝しげにしていたマックスだが、説明すると理解を示してくれ、面白そうだからと言う理由でテスターになってくれる事を了承してくれた。


魔物相手に早速使い始める。

今回は刺突に重点を置いた作りで作って貰っているため、投擲して威力を試してもらう。


勢いを持って投擲された試作型打根は、敵に避けられる間も無く硬殼蜘蛛の胴体に突き刺さった。

素早く近寄り、反撃される前に突き刺さった打根を引っこ抜き、そのまま斬りつけた。


その後、ダンテも協力してトドメを刺した。


マックスとしては最初の投擲に硬殼蜘蛛の頭部を狙ったようだが、狙いがずれたようだ。

投擲武器武器補正のあるマックスなら、命中率も上がり次第に使いこなしていくだろう。

威力的にも通常の動物や魔物相手では充分な威力がある。



他にも投擲した際に紐を付けてある部分に付いて独自の見解や、実際使ってみてこうして欲しい…と、他にも要望や改善点が多かった。

ただ、投げナイフ比べ殺傷性が高く、手槍や手斧よりも重量が軽く扱いやすい。



1つ言えるのはこの世界に無い武器であり、相手からは初見で何か分からない。

応用がきいて秘魔猟兵であるマックスには大変相性が良く、気に入ったと太鼓判を押された。


微調整や改善点を念話でレガリへと送り、帰った際に調整を頼んでおいた。

投擲武器的には元の世界とは違った形になるかも知れないが、それもまた面白そうだ。





全員が攻撃組に周り殲滅力が上がる。あっという間に巨地龍の間へと到達する。


「皆、お疲れ様。ちょっと休憩しないかしら?」


コウランの提案に乗り、少し休憩することになった。


「随分と進めたな。しかしそこの盾使いさんと、神官さんのコンビの腕前には恐れ入る」


マックスが褒める程の腕前を持つ2人は満更でも無さそうにしていた。


「いや、貴方こそ素晴らしい腕だ。何処で修行してきたのですか?」


丁寧な口調でダンテが聞くと、マックスは自分が孤児であり、孤児院に来ていたボランティアの青年に鍛えて貰ったたのだと教えてくれた。


「その恩人に憧れてガムシャラに修行しただけだ。将来はその恩人に少しでも役に立てるようになりたいもんだ」


そう答えるマックスは照れながらも誇らしげだ。

照れ隠しにダンテ達に夢が無いのか尋ねて見た、


「夢…俺はお嬢様の側で働けていけたら其れでいい」


「私はねぇ…取り敢えず、自分の持ってる力を試して見たいわ!折角自由になれたんですもの」


そう答える2人にマックスは、先程ソウマに話したパーティに付いて、良かったら一緒にやらないか?と誘っていた。


突然のお誘いだったが、コウランは迷っていたが固定パーティに前向きな姿勢を見せていた。

だが、ダンテから考えさせて欲しいと返答があり、即答を避けられた。


ゆっくり考えて貰って構わないし、ソウマとしてもコウランやダンテとなら良いパーティを組めそうな気がする。


このメンバーなら、自分の事についてももう少し話しても良いのではないかと思える。

信じて貰えるかは分からないが、自分が異世界から来たこと、巨人魔法である【巨人の腕】を使えること…。

今回折を見て話してみようと思う。


小休憩が終わり、全員立ち上がって最下層を目指す。

先程迄より足取りは軽かった。


前衛はダンテ、中衛にマックスとコウラン、殿は弓を使っているソウマが勤めていた。

即席メンバーだが、此処まで来るのに何と無くコンビネーションが噛み合ってきた感じがする。


最下層に降りた後、自分達より他にパーティがいない事を確認して、扉の先の魔法陣からBOSSの間へと飛び込んだ。






メンバー全員が異空間固定された闘技場に召喚される。


「ここも久しぶりだぜ…まさか自分がメインで戦う事になるとはな」


「マックスさんは経験がおありなのね。なら安心ね」


話している内に、BOSSの召喚陣から大きな身体の鬼が出現した。


「なら、ちょっとお先に失礼するぜ」


そう叫ぶと、マックスの両腕にはめられた美しい腕輪が光る。

上空に蒼く澄んだ氷槍アイスジャベリンが2槍浮かび、高速の速さで目標へと向かっていった。


余りの速さに充分な回避が取れなかった上位炎鬼は、1つを大鉈で迎撃し粉砕に成功する。

しかし、もう1つは捌ききれずに体に直撃した。

砕け散った氷はパラパラと小さな氷の破片が舞い散っている。



コウランがフレイを召喚し、後方から戦司祭の神官魔法【高揚せし戦人歌】を唱える。

綺麗で透き通った高音の声が奏でる領域は、聴く者に勇気と戦闘能力を与える。


「ハッ…これは凄いな」


初めて体感するマックスがニンマリと喜びの声を上げた。



直後ダンテは大盾をかざしながら突進する。申し合わせたかのように同時にソウマとマックスも動き出した。正面はダンテが担当し3人は直線で距離を詰める。

お互いの距離が接近し、上位炎鬼の大鉈の攻撃をダンテが防ぐ。

そして左側面はマックス、右側面はソウマが飛び出し2方向から攻撃を加えていく。


上位炎鬼は少なくないダメージに顔を歪めながら、戦闘を続行している。

武技【旋風撃】を発動を確認し、3人は回避・防御行動にて一旦バラバラになる。


その隙に些かの迷いもなく、後方の防御の低そうなコウランに標的を替え、駆け出そうとしようとする。


それを盾防御しながらも確認したダンテは戦技【挑発】にてヘイトし、上位炎鬼の注意を無理矢理ダンテの方に狙いを逸らさせる。


「こっちだ!お嬢様には手出しさせん」


怒気を孕んだ声が響く。


ダンテを無視出来なくなった上位炎鬼は、火の加護を使用して両腕の紋様が輝き出す。

大鉈による連続攻撃を喰らい、大盾越しにダンテへと更なる重圧がかかる。

足元に力を入れ、弾き飛ばされぬように踏ん張る。苛烈な攻撃に捌ききれずに出血を伴う裂傷を負う場面もあったが、コウランが回復魔法にて順々に癒していく。


このようにダンテに攻撃が集中している間にマックスが氷魔法の低位である【フロストエリア】を詠唱し終えた。


上位炎鬼に纏わりつく霜は動作を鈍くさせ、僅かながらスタミナを奪っていく。

そして次に鬼が異変に気付いた時には、身体中が霜で凍りつき、動きが出来なくなっていた。


マックスは氷乙女フラウに刻まれたルーンを解放し、中位である【縛氷】を2重で掛けた。

この魔法により、上位炎鬼は大鉈を構えたまま、完璧に薄い氷膜で覆われ凍りついた。


秘魔系職業特有の技と装備に刻まれた恩恵であるが、1人で魔法の2重掛けなど使いこなせているのは本人の資質やセンスが問われる。

マックスは紛れもなく1流の魔法戦士の域に達している。




氷魔法の効果が続く暫くの間、上位炎鬼は動けない。

フレイがダンテに炎属性付与フレイムウェポンを掛ける。

戦技【斬撃スラッシュ】で斬り込み、少ないながらもダメージを積み重ねた。

ソウマが心臓部に突きを放つ。貫通こそしなかったが、心臓部を守る強靭な筋肉を内部から断ち、へこませる。また、強固な骨を砕いた感触があった。


マックスが試作型打根に魔力を通し強度を上げた。貫通(小)の効果を持つ戦技【鋭針ニードル直撃ストライク】を発動させ、へこませた心臓部を狙う。


普段なら強靭な筋肉と骨格に守られた急所である心臓部。

動きも封じられているため、筋肉に力も入れられない。

その為、心臓部付近も著しく損傷した心臓部を試作型打根はアッサリと貫通する。


出血すらも凍りついている為、出てこない。ビクンっと全身痙攣が起こった後、バタンと倒れた。


暫くすると、BOSS討伐の証である宝箱が出現する。


「やっと終わったか…久しぶりに良いリハビリになった」


「お疲れ様」


宝箱の中身を確認し、ソウマが預かる。また大鉈ごと上位炎鬼の肉体も回収した。



最下層奥の間に送還されて、全員座り込む。


各自装備の点検と休憩を挟む。疲労の色は有るものの、無事BOSSを討伐出来てホッとしているようだ。


SP消費も多かったコウランとマックスも暫く休めば大丈夫だと言われた。

魔力回復薬もあるが、ソレはギリギリまで取っておいた方がいいだろう。


回収した宝箱の中身を取り出す。

今回は初めて見る装備品でグローブだった。


炎鬼グローブ レア級


炎の祝福を宿した魔力鉄に薄く延ばし鬼の紋様を刻んだデザインのグローブ。肘の先まで覆う。


発動スキル【炎耐性(微)】




ソウマのアイテムボックスに入った討伐報酬もまた魔力鉄であった。

今後使う予定なので有難い。




BOSSである上位炎鬼はまだ出現していない。

本当は怖いが…話すなら、今だと思い、思い切って声を掛けた。


「今回のBOSS戦についてなんだが…自分に任せて貰えないかな?」


ダンテは突然のソウマの言動に訝しげにしていたが、


「ソウマ自信満々だな。構わないが危ない時は助けに入るぞ」



「自信もあるけど…皆を信頼して話しておきたい事や、見て欲しい事が有るんだ」


「あらら意味深ね〜分かったわ」


「俺も構わない。お手並み拝見と行こうか」


コウランとマックスも同意してくれた。此れでもう後には引けない。


全身強化魔法を発動する。身体中を魔力の補助作用が加算される。

無手の状態でBOSSの召喚を待つ。其れほど待たなくとも、召喚陣から上位炎鬼が出現した。


辺りの静寂を切り裂かんばかりに鬼の雄叫びが場を支配するが…ソウマは臆する事無く飛び込んだ。


いつもと違い、何も装備していない無手の状態のまま飛び込んだ。

流石に危険だと判断して、全員が一瞬サポートに動きかけたが…思い止まり、静観している。

自分の事を信じて見守ることにしてくれたようだ。有難い。


そして距離が近付いた所で、久しぶりに巨人魔法【巨人の腕】を発動させる。

ソウマの周りにゆらりと宙に浮かぶ巨大な腕が出現した。


スキル【思念操作】を選択して、巨人の腕を振り上げ、上位炎鬼に狙いを定めた。


見たこともない腕による攻撃に、本能ゆえか危険を察知し、警戒心を露わにする上位炎鬼。

迫り来る腕の攻撃に鬼の大鉈を振り下ろして迎撃しようとした。


接触した直後、見事な破砕音を立てて大鉈が破壊された。

武器を無くし、驚愕に染まった表情の鬼の隙を逃さず、ソウマは大鉈を取り出して首を目掛けて振るう。


咄嗟に上位炎鬼が腕を十字にし、盾代わりにして首を護る。



全身を強化されたソウマは更に体術を駆使する。

無駄な動作を省き、己の筋肉を充分に乗せて放った1撃は、鬼の十字に守られた両腕をも切り裂く。


大鉈越しにザックリと筋肉を断っていく感触が伝わる。

それでも上位炎鬼の膨大な筋肉の抵抗と火の加護による魔力強化が、大鉈の刃を阻んでくる。


ガッチリと刃が喰い込んだまま、武技【旋風撃】を発動させ、強引に鬼の両腕を切断した。


悲鳴に似た絶叫を放つも痛みに堪え、後退する上位炎鬼。

油断せずに追撃する。


武器を失い、両腕をも失った上位炎鬼はそのまま逃げると思いきや、ソウマとの距離が2m程に近付いたら無理矢理急ブレーキをかけて、反転してきた。


眼には怯えの色もなく、戦意に滾るランランとした眼で立ち向かってくる。腰を屈めた位置から噛みつきにかかった。

【見切り】を発動していたが、どんな攻撃をしてくるか予測出来なかったため、慌てて2段ジャンプを発動する。


瞬間的な回避だったが間に合うことが出来た。ソウマがジャンプした直後の位置に上位炎鬼が通り過ぎて行く。


両手で大鉈を握りしめ、空中でコンパクトに振り抜いた。


ズバッと音が聞こえ呆気なく飛んでいった首は、自分が何をされたのか最後まで理解してない表情を見せていた。




BOSS討伐の宝箱が出現した事で、ようやく我に返ったパーティメンバー達。

取り敢えず宝箱の中身を回収して、メンバーを振り向くも誰も微動だにしていない。

破砕した大鉈と上位炎鬼の肉体も密かに回収する。沈黙のまま、奥の間へと送還される。





メンバー全員が無事に闘技場から送還されたのを確認すると、マックスが相変わらずの苦笑で口を開いた。


「おいおいソウマ。これはインパクトが強すぎじゃねぇか」


その発言をキッカケにコウランやダンテも話し始める。


「いや、正直人間離れ過ぎるわ…」


「だが…ソウマならあり得る。あの得体の知れない巨大な腕は何だ?」


思ったより怖がられていないことに安心した。

最初からソウマのことを普通じゃないと言ったマックスや、コウラン達に常識はずれな実力を見せてきたからかも知れないな。


話題が出たので巨人の腕の事を説明した。


各々信じられない表情や、見知らぬ魔法に興味を浮かべていたり…と、個人について反応は様々だったが、最終的に皆、ソウマだからと信じてくれた。少し釈然としないが、まぁ有難い。


最後のトドメに自分が異世界から来たことを伝えると、そこは案外と全員納得された。…何故だ?


理由を聞くと、過去にも異世界から来た異人が史実として残っているらしい。この世界に迷い込んだ人間をそのまま異世界人と呼んでいる。


彼等は総じて優秀な者が多く、国を起こした者もいたそうだ。

善くも悪くも影響力が強く、癖のある者も多かったんだとか。


ダンテやコウランの故郷の国レグランドも、遥か昔魔族が起こした国だが、何代か前の魔王は異世界人だったのだと教えて貰った。


コウランの母親が遠い親戚に当たる。彼女も薄くその血を引いているようで、回復魔法を使える影響もその血筋の影響が関係していると、笑いながら教えてくれた。

サラッと教えて貰ったが、本来なら凄いことでは無いだろうか?

しかもコウランはもしかしたら王族の一員…元貴族だし、あり得るのかも知れない。



一気にソウマの事が分かった所で、ダンテやコウラン達は逆に自分達に近い存在だと認識したようだ。


マックスは内心苦い顔をしていたがおくびにも見せなかった。


(いやはや…しかし驚いたぜ。エステルが聞いたら小躍りしそうな程喜ぶな。まだ隠し事も有りそうだし実力は未知数だ。改めてとんでもない野郎を敵に回さなくて良かったぜ…)




話が終わった所で宝箱の中身を取り出して見た。


中身は炎鬼の盾であった。新しく被っていない装備だが、盾使いはダンテ1人であり、彼は既に炎熱鋼の大盾を所持している。

性能も其方の方が良いし、取り敢えず資金に換算することになりそうだ。

マックスからは贅沢な使い道だと笑われたが。


時間を短縮するため、直ぐにまたBOSSの間へと直行する。

今度は巨人の腕を上手に活用し、傷の少ないように肉体を回収し、これもまた大鉈も無事回収してくる予定である。


ソウマは狙っている装備品が幾つかあった。それはアデルの町に置いていくレガリアの身につける装備品である。

それとBOSS討伐の際に狙える…レアドロップなるものを探していた。


全てのBOSSが対象なのかどうなのかは分からないが、極稀にそういう品を落とすBOSSがいるとユウトから聞いた事があった。

この上位炎鬼はその中の1つであり、随分とネットで検証も行われていた。


この鬼が落としやすい宝箱のドロップは統計で防具系統が多く、具足系→手甲系→鎧系→兜系と順々に宝箱のドロップ率が変動する。

それも武器はなかなか落とさない事で有名だった。


レアドロップを知った経歴はユウトからの情報源とネットの掲示板からだ。

上位炎鬼のBOSSドロップは初心者と中堅者が4〜5人程パーティを組めば攻略が可能な事が多く、初期から中期のプレイヤーが使う装備品の定番となっていた。

そんな中、1人の中堅プレイヤーが率いて討伐した品の中に、偶然見た事のない装備品があった。

後にそれらは総称して、レアドロップと呼ばれる事になる。



この事実に当時、かなりのプレイヤーがBOSS討伐と検証に明け暮れた。



恐らく、焔巨人討伐の際に入手出来たこの巨人魔法の魔導書も超がつくレアドロップだったと思われる。



この鬼からレアドロップする装備は頭部装備だと言われている。


レア級ながら珍しいスキルが付いていると噂に有ったため、割と人気で多くの人が挑戦したと言われる品であった。

この世界では討伐報酬で入手出来るのか、宝箱から出てくるのか分からないが…手に入ったらラッキーとしておこう。


気を引き締め、再度闘技場へと繋がる魔法陣へと向かった。


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