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エルダーゲート・オンライン  作者: タロー


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32/88

真夜中の事件

夕焼け色が美しく照らすアデルの町にある広場にて、回復したレガリアを修羅鬼の状態で呼び出した。十分に回復したようで、怪我も見あらない。


酒場に集まる時間まで少し間があるので、全員揃って鍛治場へ来ていた。



コウラン達も鍛治場で装備の点検、補修整備して貰っている。

店番の人に声がけ、奥へと案内される。


初めて奥の方へ入るらしく…ダンテは恐縮した態度、コウランは逆にワクワクとした表情を見せていた。



奥の作業場へ入ると、丁度ジュゼットとドゥルクが出て来た。

連れてきた新しい新顔ダンテ達の紹介をすると快く工房まで案内し、作業見学を引き受けてくれた。



アデルの町の鍛治師ジュゼットの名は遠い異国のレグランドまで届いていたようで、辺境最高の鍛治師の1人として君臨している。と、ダンテが感動したように教えてくれた。


そんな大物だったことに初めて気が付いたソウマ。

愕然としている表情を見て「今更だね、偉いんだよ私は」と爆笑するジュゼット。

ドゥルクも申し合わせたように、何を今更と苦笑気味だ。


周りを見渡せば工房には散らばった素材達。

その中でも台に置かれていた2つの素材に注目が集まった。

明らかに大型魔獣と思われる大きな牙である。魔力を放っており、唯の魔獣の素材とは思えない。



「頼まれた通り、加工出来るように仕上げておいた。これは何の牙だね?」


そう言っておきながら、ジュゼットにはその魔力に心当たりが有るのか、顔を綻ばせていた。


「これは自分の故郷から持ってきた素材で…竜の牙です」


ソウマの答えにやはりか…と頷くジュゼットと、最近驚く事に慣れてきたドゥルクだった。


一方、ダンテとコウランは驚愕に眼を丸くしていた。本来一般的に竜の素材など人生でお目にかかることが少ない素材なのだから…当たり前だ。


竜・龍種は強大な存在で、竜滅士以外にも様々な人種が、地位や名誉、利権と土地、宝物や金貨を狙い戦いを挑んできたのだ。


そうした戦いの中で生まれた結論は、竜・龍種に対して戦いを挑んでも勝ち目が無いという事実に繋がった。それほどまでに幾千幾万と挑んだ者は帰って来なかった。



魔法攻撃にも耐えうる鱗や、魔法金属をも噛み砕く竜の牙は、しなやかで強靭な性質を持つ。


竜の牙は本来ソウマが弓ガチャで入手した素材であり、竜の牙を一定数で鍛えて作成すると【竜牙ドラゴントゥース】と呼ばれる弓が完成する。

魔力を直接矢に変換出来るので、魔法しか通用しない相手や、矢切れをおこす心配はいらなくなる。

必要としないため、作成はしないが。


その竜素材と星の隕石の製粉を使い、流星刀レプリカを強化しようと思っていた。

元々素晴らしい性能を持っている刀だが、障壁蟻バリアアント戦の時のような強固な相手や、これからサルバドール迷宮遺跡に当たっては更なる強敵が待っている。

此れまで活躍してくれた流星刀レプリカの今のままの性能では、心許なく感じていた。





因みに試作型の鎧の中心素材である障壁蟻の甲殻は、新素材開発の挑戦していたが素材が残り2割をきった為、中止し断念する事を伝えられた。

残念だが出来たら良いなという趣旨だったため、今回は諦めた。


新素材の代わりに手に入れたばかりの水晶核クリスタルコア


魔法袋仮アイテムボックスから取り出す。魔力に溢れる存在の美しさに誰もが目をそらせない。

レガリアは喰べた時のことを思い出したのか、涎を垂らさないばかりに蕩けた表情を見せていた。


特殊レア級でもある水晶核を試作型鎧に使えないかジュゼットに尋ねた。


「ソウマくんには驚かせて貰うばかりだ。まさか水晶核クリスタルコアか?」


未知の素材に少年のように眼を輝かせたジュゼット。残念ながら扱ったことがなく、専門の錬金術士か魔法使いじゃないと扱うのは厳しいと言う。


特殊レア級とまで呼ばれる水晶核は、半端な量ではない魔力を凝縮した塊である。

加工には常に膨大な魔力を使い、繊細なコントロールが求められる。


その為、加工の際の魔力の増減を少しミスっただけで半壊してしまうような儚さに対して、鍛治師であるジュゼットは技術は大丈夫だが、最終的に必要な加工過程までの段階まで魔力が足りない。


幸い心当たりがある見たいなので、そちらを当たってくれるようだ。

面倒をかけて申し訳ない気持ちを謝罪と感謝に変えて伝えた。




迷惑と日頃のお世話になっているジュゼットにせめてもの感謝の品にBOSSから入手した戦利品である鬼の大鉈を一本置いていく。


しかし、置いた大鉈をジュゼットが持ち上げようとするも持ち上がらない。

両手で柄を握り、力瘤を出すも少ししか上がらず…見かねたダンテが了承を得て代わりに持つが…やっと剣身が持ち上がり震える手で何とか剣置場へと立て掛けた。


「何で持てるんだソウマ…」


グッタリとした顔で尋ねるダンテは汗びっしょりだ。


この武器は上位炎鬼級の筋力が無いと自在に扱えないことが判明した。

このままそこに置いてあっても意味が無い為、大型炉で溶かした。

大量の風属性を宿した魔力鉄がジュゼットの手元に入った。


今後、工房で使う材料の1つにするようだ。



障壁蟻の素材と星の隕石の製粉で加工されたハイメタル綱と綱竜の鱗皮だけでも素晴らしい鎧一式が出来上がるはずた。それが楽しみで堪らない。





上位炎鬼を通しての現在の擬態しているレガリアのステータスは、



レガリア擬態(1/3)


名前【百夜ももよ


種族 修羅鬼(特殊ユニーク個体ユニット


職業

太刀使いLV90(ブレードマスター)


サブ職業

鍛治士LV50(後天的取得)


スキル

太刀装備補正(A)軽鎧・戦闘衣装備補正(C) 鍛冶(B)



常時スキル

鬼印 状態異常耐性(大) 炎熱耐性(極) 炎熱属性(極) 擬似心臓

我流闘気術 爆気バーストプラーナ身体攻防アップ・感覚鋭敏・視覚拡大




と、なる。前回より職業レベルがアップしている。

鍛治スキルはBのまま代わりはないが、確実に腕前は上がっていた。


ご褒美にレガリアのアイテムボックスにそっと上位炎鬼の肉体と、魔力鉄×2を入れておく。

喜ぶレガリアから、上位炎鬼は喰べて、魔力鉄は鍛治の練習に使います…と念話が返ってきた。





レガリアはテンションも上がり、流星刀レプリカを打ちたがった。アピールが凄い。

もうすぐ始まる打ち上げも断り、早く取り掛かりたくて仕方ないらしい。

レガリアとの約束でジュゼットに助力を請う。その旨を伝えると快く快諾してくれた。



今からでも鍛治場を貸して貰っても大丈夫だろうか?と、ジュゼットに確認をとると、可愛い弟子レガリアのそんな様子を見せられたら…良いというしかないと、了承を得られたので刀を大事に置いて後にする。


せめて美味しい夕食を届けようと思い、屋台と町外れにある臓物の味噌煮を求めて買い出しに行く。




「ソウマって凄いのね、いつのまにあんな有名人と知り合いだったの?」


「名工ジュゼットはこの王国が認めた最高の人材の1人だ。冒険者ではランクA以外は注文できない程の腕前の鍛治師だぞ」


2人続けて質問が飛び交う。疑問は出て当然なので、此れまでの流れを説明するとコウラン達はため息をついた。


「ソウマってトラブルメイカーなのね。まぁ、其処が面白いんだけど」


コウランの一言で締めくくられた。

自分としては笑うしかない。


異界人である自分はこの世界にどう受け止められているのだろうか?


ふと、そんな考えがよぎる。

この世界でユウト以外に出来た始めての仲間であるダンテとコウラン。


いつか自分の事も打ち明けて見たいと思うソウマだった。





屋台から大量の食材と出来たての焼き鳥、お店からはサラダを注文して受け取る。

メインのお酒を大量購入し、臓物の味噌煮を買い工房へとお邪魔した。


大量の夕食をおいてお暇しようと思ったら、鍛治場から出てきたドゥルクが話しかけてきた。


「ソウマ、ちょっと良いか?」


「ああ、構わないよ。どうかしたのか?」


ドゥルクはあと数日でユピテルの街へ帰ると告げた。そこで冒険者の剣の修復だが、待って欲しいと伝えられた。

現在、ソウマの武器ではこの剣は役不足である…何度イメージしてもこの剣がソウマの役に立てるとは思えないと、鍛治師としてのプライドを折れてまでも答えてくれた。


だからこの剣を預かり、いつか納得のいく剣に仕上がったら改めて贈らせて欲しい…と激白する。


真っ直ぐな思いをジッと聞いていたソウマは、其れならその剣に答えられる使い手になると宣言し、ドゥルクと約束を交わした。


戦闘鍛治師バトルスミスと言う生産職兼戦闘職は、かなりレアな職種とも言える。彼ならば絶対に国を代表する鍛治師になるだろう。


長い月日をかけてその約束は果たされる事なる。それはまた別のお話。





すっかり約束の時間近くになっていたので、酒場へと急行した。

酒場ではもう賑やかな声が飛び交っている。町の住人や冒険者も含めて皆、酒を片手に騒いでいた。


テーブルを探すとウェスターとアルフレッドを確認した。彼方も気付いたようで手を振ってくれている。


合流するが、エステルはまだ来ていないようだ。

ギルド長との話し合いが長引いているのかも知れないので、先に始める事とした。

酒場で今いる全員分のお酒と食べ物を注文する。全員の手に行き渡った所で打ち上げ会を開始した。


「まずは自分達を助けてくれて有り難うございました。偶然生き残ることが出来た…今日生きている事の実感が嬉しいです」


「貴方達が居なかったら死んでいた所でした。特にコウランさん、貴重な回復魔法の使い手にお会い出来て光栄です」


改めて2人から感謝の言葉と自己紹介が始まった。


投擲士シューターのウェスターと言います。武器は東方から流れてきたと言われている鎖鎌と呼ばれる武器を愛用しています」


ウェスターは栗色の髪色でウルフカットが似合う男だ。この町の出身ではなく、旅をしている最中なのだと言う。鈍器にも使える分銅と手頃なサイズの鎌を組み合わせて出来ている。


「俺の名はアルフレッドと言います。魔法使ウィザードいで主に水属性中級を複数までが使えます。初級では土魔法が1つ使えるだけです。王国魔法学校に通っていました」


2系統の属性魔法を使える茶髪の童顔の男だ。王都出身で女性に軽い感じを受ける。

王国魔法学校から支給されたローブと魔法媒体であるハイノーマル級の杖を所持していた。


真面目に感謝の言葉を伝えてくれたことと言い、2人とも素直そうな感じの良い子の印象を受ける。


次いで、コウラン、ダンテ、ソウマの順に自己紹介する。


お酒も進み、大分雰囲気が良くなった所でエステルが酒場へ来て合流した。


「エステルお疲れ様。先に始めてたよ」


「此方こそ遅れてすまないな。私はエステル・ブランドーと言う。こういった大衆的な所は始めてだ。宜しく頼む」


エステルにも麦酒とワインを注文して、席に着いて貰った。


「改めて乾杯」


コウランが元気良くお酒を振り上げ、乾杯の音頭をとった。


ウェスターは興味深くエステルに話しかけてきた。


「もしかしてエステルさんて、あのブランドー家の方なんて言いませんよね?」


「どのブランドー家の事かは知らないが、王都の王国魔法学校の理事を務めるブランドー家なら私の実家だ」


ブハーっと盛大にアルフレッドが酒を吹き出し、慌てて拭うのが見えた。


「そ、そ、それは失礼致しました。俺…いや、私は王国魔法学校に通っておりまして、お父様には大変お世話になりました」


恐縮した態度で答えるアルフレッド。

無言で頷くエステルはそれ以上言葉を発しなかった。


ただ話が魔法構築論理に話が及ぶと、お互い得意分野なのか2人で話が盛り上がっていた。

時折アルフレッドがメモを必死にとっている。エステルがそれを微笑ましく見守っていた場面が見られた。


しかし、意外なエステルの事実を知ってしまった。貴族でも指折りな存在なんだと再認識させられる。


次にウェスターからこの世界の物語や有名な場所を教えて貰う。


人外魔境と呼ばれる場所にのみ出現する希少種や亜種、貴族種などと呼ばれる通常種とは桁違いの魔獣・魔物類。


数ある上空都市でも、天使と呼ばれる種族が数多く住まう天空都市と名付けられたエンジェルリンク。


ジル・レイザーと呼ばれる英雄が遺した伝説の武具が納められた清流の美しい亜空間迷宮。


千の魔を喰らい、その身に蓄え万の弱き者を救った神魔騎士の物語。


エルフ種が生命をかけて守りし大地と、悠久の自然が産んだ樹木の王である世界樹が君臨するラルファクス大森林。

そしてその世界樹の根元の地下迷宮のBOSSにて未だ倒されたことのない始原の邪竜ニーズホック。


選ばれし冥府の王と側近、また実力と知性ある不死生物アンデッド種、悪魔種が国を治める実力主義国家タルタロス。


他にも沢山の有名な場所や変わった地形、伝説を話してくれた。彼はこういった話を集めるのが好きらしい。



世の中、きっとまだ見知らぬ場所が多そうだ。

この町ですることが無くなれば、旅に出掛けて見るのもいいかも知れない。



多いに盛り上った宴も深夜になり、お開きとなった。






各々が宿へ帰る。ソウマとダンテはコウランを背負い宿へと向かう。



すると、見たことのある男が自分達と正反対の場所へ早足で歩いていく。

その男はバーナルと言い、貴族主義の最悪の印象しか持たない男だ。


関わり合いになりたくないが、どうやら胸騒ぎが止まらない。

ダンテ達には事情を話して先に帰って貰い、ソウマはそっとバーナルの後を付けた。


暫く歩くと、人の気配が無い町外れの小さな宿へ到着した。周りを見渡した後、バーナルは嬉々として入って行った。

そっと近づき聞き耳を立てると、中から人の話し声が聞こえてきた。


「いらっしゃいませバーナル様。此方の地方へ寄られた際は、いつも御利用有り難うございます。奥にご注文の品を待たせてあります」


「ふん、小汚く下民の分際で貴族の役に立てることを誇りに思いなさい…奥の間でしたね」


バーナルは溢れる欲望が抑えきれないのか、瞳をギラギラと血走っている。


「光栄に存じますとも。さぁさぁ、先ずはこの品を拝見して見て下さい」


そういってニヤニヤと笑い合う男達。会話からして嫌な予感しかしない。

鼻息も荒くわ扉の隙間から覗くバーナルが背筋が震えるほど汚く嗤った。


「イイですね…歳は13〜15と言った所でしょうか。あの歳の娘が1番絶望に歪みやすく、活きが良くて抱きやすい。薄汚くはあるが…まぁまぁ合格点ですよ」


「お気に召して頂いて有り難うございます。東方よりさらってきた小娘でございますが、貴族様に少しでもお役に立てて、あの小娘も満足でしょう」


追従の笑みを浮かべる男もまた、腐った笑みを浮かべている。


「楽しんだ後の後始末も頼みますよ。何せ下民の血は臭くて堪らない」


そう言ってバーナルは腰に帯剣しているサーベルを抜き、ウットリと眺めていた。


直ぐに強襲してあの子を助けなければならいが…エステルの話が本当なら相手は貴族であり、助け出せても後々厄介な事になるのは明白である。


少しの時間を逡巡している間に、バーナルは奥の間に入って行ってしまった。少女の絶望に満ちた悲鳴と喧騒がここまで聞こえた。


迷っている暇はない。後の事など知ったことか!


そう思い、勢い良く突入した。驚いた表情の入り口にいた男を拳で叩きのめし、直ぐに出てきた用心棒と思われる男も手刀で黙らせた。


頭に血が上りすぎて手加減がいい加減だったが…殺してないし大丈夫だろう。


奥の間に突入すると、意外な光景が目に入ってきた。なんと同じ部屋に3人の人間がいたのだ。


奥の間には服を破られた少女と、何故か周りを綺麗な氷で覆われて倒れているバーナルがいた。

氷魔法はユウトが使っていたのでまだ分かる範囲なのだが…あれは上位魔法の捕獲・封印用の魔法で冷蔵にも使える【氷棺アイシクルコフィン】か、中位魔法の捕縛魔法の【縛氷】だろう。


どうやら中に閉じ込められているバーナルは死んでいないようだ。


そして最後の1人としと見知らぬ男が存在していた。


立ち位置は少女を背後に庇っている。姿は手入れもされていない髭とボサボサの長い髪の男。

声を掛けようとしたら、此方に気付いた髭男がソウマを見て、愕然とした表情で叫んだ。


「何故貴様がここにいる!?」


…それはこっちのセリフだ。いまいち状況が掴めていないが、どうやら救出は間に合ったようだ。


一先ず呆然としている髭男と少女の手を掴み、自身の宿へと到着した。

帰る時は気配察知を発動しながら帰ったので、誰にも見られていないはずだ。


まだ状況は掴めていないが、ギルドへ向かい、緊急時だと告げてエステルを呼び出して貰った。


まだ起きていたエステルに夜中に訪問した事を詫び、状況を説明した。


説明していく内にエステルの顔色は青色から赤色へと変わった。

この町の筆頭貴族である御高齢であるアデル伯爵への邸と緊急連絡を行った。家令が飛び起き、異例の速さでエステルとアデル伯爵との会見が始まった。



会見終了後は慌ただしく、すぐさまギルドから警備兵と町の駐屯地からも兵士が連携を組み、包囲する。


コトに及ぼうとした男と関係者達を全員逮捕した。少女と髭男も宿に待機しており、事情を説明してギルドに保護扱いで来てもらった。


事情聴取が始まると、どうやらあの髭男はその仲間の用心棒だったらしい。

ただし、その日に雇われたらしい事や少女を庇ったこと、その少女からも罪の軽減を願い出ている。


最高権力者であるアデル老伯爵からの裁定で、異例であるが彼のみは罪は不問とされた。


髭男は解放後、狐につままれたような表情をしていた。

ギルドのフリークエストでやけに日給の高い用心棒の仕事だったが…こんなことだったとはな。


たった一晩で逮捕劇が始まり、あれよあれよと言う間に事態が進展して行ってしまった。

まるで夢を見ているようだが…現実で間違いないみたいだ。


何故ならさっきも会ったアノ男が、俺の目の前に立ちはだかっていたからだ。


「…何の用だ」


「いや…知り合いだったかなと思ってな」


恍けた返答だが、ソウマに隙は見当たらない。

振り切って逃げる訳にもいかなさそうだ。


観念して話すしかあるまい。


「ああ、有る意味じゃあ知り合いだよ。取りあえず、ここじゃなんだ?どこか話せる場所へ行こうぜ?」


そう提案されたソウマは髭男と共に夜の店へと繰り出した。


次の話は髭男メインのお話となります。

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