ギルドの依頼
迷宮洞窟に向かう朝、いつもより早めに準備をして酒場へ向かう。
レガリアは今回連れていく事にした。そしてソウマの職業は魔物使いを名乗る予定だ。
今回ギルド側の人間が調査員として派遣されてくる。
手の内は余り明かしたくないのだが、コウランと炎猫のテイムの約束も果たす為、最初から魔物使いと称しておいた方が後の展開が楽だと感じたからだ。
この件が終われば、レガリアには鍛治場での試作型の新しい素材の開発に力を注いで貰おうと思っている。
レガリアは久しぶりのソウマとのお出掛けに嬉しそうな表情を見せていた。
ちなみにレガリアの鍛治の腕前はジュゼットが直接指導と教授をしている為なのか、軒並みにステータスが上がっていた。
また道具屋で鍛治初級、中級の基礎の本を買い、レガリアの知識としてアイテムボックスに収納してある。現在はその知識と併用しながら、ジュゼットの指導で身体にも叩き込ませているようである。
鍛治スキルはBのままだが、明らかに以前とは武具に対する扱いや魔力の練り方などの習熟度が違う。
もしかしたらゲームの時とは違い、鍛え続けることでスキルレベルの上限が上がるのでは?と、期待している。
障壁蟻の甲鉄の新素材へは未だ辿り着いていないが、裏地に使う予定のハイメタル鋼と星の隕石の粉末の合金は結構良い仕上がりになってきた。
ハイメタル特有の高い耐衝撃と加えて魔法防御の耐性も微弱に反応があったそうだ。突き詰めると更に良い仕上がりになるだろう。
その他、竜素材である鋼竜の鱗皮は其れだけでも魔力が通っており、そこらの鎧の防御力を凌駕する。
並の技量では素材を弾き返されるし、専用の道具でないと加工が出来ない。その難しい素材をじっくりと何千度まで炎が出せる大型炉で熱したあと、熟練の技術でジュゼット渾身の魔力を含ませて有り得ないほど叩き上げる。
鱗皮から更に加工された事で、竜の魔力が存分に染み込み、発揮される素材へと変わった。
ただ、そこまで加工するのに時間がかかるため、鎧や兜などを覆うには量的には全然足りていない。
これから先を考えると、是非とも鍛治場の皆には嬉しい悲鳴をお願いしたい。
鍛治場に寄り、そこで今後の試作鎧の在り方の相談をしつつ、ジュゼットとドゥルクと共に朝ごはんを一緒にした。
その際に臓物の味噌煮を振舞ってみた。見慣れない料理と匂いに難色を示していた2人だったが、おずおずと食べ始め…酒も呑み始めると美味い美味いと非常に早いペースで無くなる。お気に召したようで良かった。
最近、大事な流星刀レプリカでレア武具を切断したりと、自分が無茶な使い方をして刀の耐久度や磨耗度に不安が残っている。
ジュゼットに相談した結果、ソウマの持っていたとある素材を2つと星の隕石を数個預けた。この依頼から帰ってきた時に試したい事があった為仕込みをお願いした。
仕上げは修羅鬼形態のレガリアが是非努めたいと必死に懇願されたので、任せて見ることになった。
彼等に開発を頼み、酒場へ向かった。
午前中に酒場へ着くと、そこには既にダンテとコウランが待っていた。
軽く飲み物を注文し合流する。
挨拶を交わし、今回ギルドでの依頼の件を話した。勝手に依頼を決めて事後承諾となったことをきちんと謝る。
2人は特に嫌がることもなく了承してくれたのだが、報酬に関しては懐が潤っているので、金貨よりも他の報酬が良いと思っているようだ。
其れらも踏まえて今からギルドへ向かい、交渉を始めようと言うことになった。
「そういえばソウマ、貴方結構冒険者の間で噂になっているわよ」
と、コウランが含み笑いをしながら教えてくれた。
どうやらグリッサ教官のお気に入りの人物として嫉妬の目線が多いらしいが、昨日の件も何処からか伝わったのか実力も結構なモノだと認識されつつ有るようだ。
ダンテからも他の冒険者から執拗にソウマの事を聞かれたり、同じような噂を聞いたと伝えられた。
うーん、頭が痛い問題だ。
ただでさえ余り悪立ちしたく無いが、せめて試作型のレア素材鎧を作り終えるまではこの町に逗留せねばなるまい。
そんな話をしながら酒場をでて冒険者ギルドへ到着した。
受付の係りの人に依頼書を見せてギルド長に会いたい旨を伝えると、お待ちくださいと、少し待たされた後応接室へと通された。
「おやソウマくん、お仲間達を連れてきてくれたと言うことは、昨日の今日でもう依頼を受けてくれるのかい?」
朝から機嫌良く応じてくれたギルド長に挨拶をし、要件を伝える。
それならばと、成功報酬の目録を出して貰い、じっと眺めて2人は結論を出した。
ダンテはこの町の鍛治長と錬金術師が協力し、貴重な素材を使って作成したレア級魔法具、主な魔法耐性のあるアミュレットを希望した。
この世界に魔法はあるが、使い手は少ない。魔力を持つ人種は多いのだが、攻撃魔法や死霊魔法など現象としての魔法を使える人は珍しい。
補助魔法の使い手がパーティに1人ないし2人いれば良い方だったりする。
魔法の力は数に囚われす、戦線や不利な状況化を覆すためには必須な要因となる。
そういえば以前、レガリアの卵を巡って氷魔法の使い手と戦ったが…強い相手で立て続けに氷魔法を喰らって際どい戦いになった。
【巨人の腕】を取得前だったら更に重傷を負い、非常に危険だったかも知れない。
魔法を操り、また使いこなせる人材は一騎当千の価値があった。
それら魔法による攻撃の際に耐えれない状況の可能性を少しでも削るため、壁役でもあるダンテは微量でも主な魔法耐性スキルをもつアミュレットを報酬に求めた。
次いでコウランは得意とする回復魔法強化のアクセサリーか、自らのMPをクリスタルに貯蔵出来るレア級魔法具のイヤリングの何方かと迷い…MP貯蔵イヤリングの装備品を希望した。
貴重な回復魔法の使い手である彼女は状況に応じて魔法を使う必要がある。MPが無くなり、もしもの時回復出来ない状況を作りたくはない。
御守りも兼ねて魔力を貯蔵出来るアクセサリーを求めた。
このMP貯蔵のアクセサリーはレア級だが、入手に関しては迷宮の宝箱などで手に入れるかオークション、または扱える職人に特注しなくてはいけない為、入手は困難だ。魔法使いには垂涎の一品である。
最後にソウマだが、選んでいたモノは装備品でもなく、金貨でも無い。
彼の選んだモノはここから帝国近くの森の奥地にあるサルバドール迷宮遺跡の探索(1度きり)のギルド推薦状であった。
サルバドール迷宮遺跡は王国から実質A級に近いB級指定を受ける難易度の高い迷宮である。
本来ならばC級冒険者ランクからしか入れない。登録すらしていないソウマは勿論入れない。
あの大男はサルバドール迷宮遺跡から長槍を発見したと、見せて貰った報告書には書いてあった。それで興味が湧き1度入って見たかったのだ。
それにソウマの知識ではサルバドール迷宮遺跡は確か上空都市に有るはずなのだが…なぜか地上にも存在しているのだろうか?
ギルド長の話や図書館の迷宮辞典にも古代から存在していると記されている。自分の知っている情報と食い違う点に疑問が尽きず…興味を刺激されていた。
ダンテやコウランは1度きりしか入れない迷宮遺跡に行きたがるソウマを驚きの表情で見ていたが、これまでの行動経験から価値観が違うらしいと感じていたので、質問もせず驚きのみで終わった。
「確かにこの依頼が成功した場合は報酬として渡す事をギルド長アシュレイの名のもと確約しよう」
そして、呼び鈴を鳴らすとギルド長の背後の応接室の扉から1人の女性が入ってきた。
「では、調査依頼に協力してくれる事に感謝する。そこで君達に同行してもらう人物を紹介しよう」
女性がギルド長の背後から一歩進み出て自己紹介した。
「私の名前はエステル・ブランドーと言う。エステルと呼んでくれて構わない。迷宮探索調査団から来た。職業は魔術師で冒険者ランクとしてはB級。君らよりも上だ。では、よろしく頼む」
少し高圧的な物言いだが、悪気は感じない。鼻筋のキリッとした北欧系の美人であった。
魔法使い系の職業なのか装備品は魔力を帯びた魔杖と高級そうなローブを着用していた。
ギルド長からは彼女の使える魔法は4系統だと教えて貰い、かなりの逸材なのだと言える。
家名もあり、本人よりこの王国の貴族である事を伝えられた。
お互いに自己紹介をして、そのまま迷宮洞窟へ向かうことになった。
食料品とポーションなどを準備してサザン火山を登る。
エステルは体力もそれなりにあるらしく、汗はかいているが歩くスピードは全く落ちない。
感心しているとエステルから自身の持つ装備品で活力の指輪というレア級の装備品があり、HPを毎時間微量回復してくれるので大丈夫らしい。レア級の中でも貴重なスキルのアクセサリーらしく、流石は貴族の持つ装備品である。
雑談を交えながら、滞りなく洞窟内に到着した。コウランも元貴族であり、彼女との会話の共通点も多く気安い感じで話していた。
エステルより事前に洞窟内での戦闘は基本的に任せる…と伝えられていた。これは依頼に基づき、調査が本来の目的であるからに他ならない。
洞窟内でレガリアを召喚する。前面に配置し戦闘経験を積ませる。
その光景と見たことのない宝箱型の魔法生物であるレガリアに興味津々なエステルは質問を重ねてきた。
適当に答えながら、レガリアにレッドラダマンティスや目潰蝙蝠を屠らせる。
レガリア単体でも簡単に倒して喰っていくため、5階層まで簡単に降りれた。
進んでいく内に稀に宝箱が設置してある階層と部屋があった。赤熱石の素材や鉄剣などのノーマルからハイノーマル製の装備品が入っていた。それらも回収して先に進む。
この先にマップで洞窟内の広い場所を確認した。そこで炎猫が複数出現していたので、約束もありソウマは始めてのテイムを試みる。
頭の中でイメージし、一匹だけに此方の仲間にならないか?誘ってみた。
スキルを使うと精神感応で伝わったのか一匹だけ前に進み出た。他の炎猫は興味を示さず散って行ってしまった。
以前ヘルプを読んでテイムの方法を既読した筈だが…これで一応成功したのだろうか?
コウランから魔物使いではなくても魔物を使役出来る魔法道具である魔獣紋のネックレスを魔物ギルドから買ってあった。それをアイテムボックスに預かっていたので取り出す。
魔法道具の名はつくが、かなり高額な魔獣紋のネックレスはレア級ではない。
魔獣を使役する水晶は魔力を伴うレア素材だがその他の素材は丈夫だが普通の素材である。
炎猫は嫌がる素振りも見せず素直に装着する事が出来た。
コウランが主登録してある魔獣紋のネックレスが淡く赤色に輝き、従魔としての登録が完了した。
ひとしきりに喜ぶコウランに話を聞いて見ると、この炎猫の気持ちが少しわかるようになったとのこと。簡単な意思疎通が出来るみたいだ。
あとはネックレスの魔力を通して召喚、送還が可能になった事を教えて貰ったが、どうやら精魂接続は使用出来ない事が判明した。
魔物使い以外で魔物を使役する事に関しては賛否両論がある。
実力が足りないのならば仲間1人を募集した方が余程お金も掛からず経済的だからだ。
魔物を使役する事が出来る人材は貴族か余程のお金持ちが多いと見なされている。
使役する魔物にもよるがデメリットよりもメリットも大きい。
何よりまず裏切らないし、炎猫のように魔法が使える魔物は非常に助かり迷宮を探索する際には大きな助力となるからだ。
それは一般の冒険者からしたら大きなアドバンテージである。
コウランが炎猫の名前をフレイと名付けた。
因みに性別は雄であるが…この炎猫も名付けられて嬉しそうだし、気にしないのなら良いのだろう。
フレイの能力として素早いスピードを交えて強靭な顎や爪による物理的攻撃や、自身や他者に炎属性付与魔法をかけることが出来た。
一先ずテイムが上手くいって良かったと胸を撫で下ろし、先へと進んだ。
低階層ではレガリアとフレイのレベルアップも兼ねる。主に危なそうな魔物(硬殻蜘蛛の群れなど)には攻撃を加えて予め弱らせてから狩って貰うため、レガリアは兎も角、フレイのレベルはかなり上がっていた。
そんな事を繰り返しながら遂に10階層へ到着した。ここから先はフレイをコウランのネックレスに送還して貰い、ソウマ、ダンテ、コウラン、レガリア、エステルの5名で進む。
以前よりも早いペースなのはマップの機能を使い、必要最低限の戦闘しかこなさず、素材の剥ぎ取りを行わずにレガリアに全て食べて貰ったからだ。
レガリアも消化吸収スキルを存分に使っているが、レベルも40台後半な為、この魔物達ではなかなか経験値も溜まらなくなってきたようである。希少種であるレガリアには経験値も他よりも多く必要とする為、そろそろ他の迷宮かフィールドで戦う必要があるかも知れない。
この依頼を無事に完了させ、なるべく早くサルバドール迷宮遺跡に行ってみたい。
迷宮洞窟の進み具合からエステルもそろそろ炎鬼達の出現領域に達したと判断し、表情をキリッと締めて行動していた。
マップと気配察知を併用して辺りを探るものの、以前来た時より驚くほど敵の反応が少ない。
表示している敵にあえて近づくと、遠目に現れたのは炎鬼だった。しかし手には鉄剣と、腰には硬殻蜘蛛の素材で作ったと思われる装備品を巻き、上半身は裸で筋肉で覆われた炎鬼だった。
以前は赤熱石で作られた防具や武器をきっちり装備して持っていた筈だが…。
エステルに以前戦った個体より装備品がかなり違う炎鬼だと説明し、戦闘を開始する。
あちらが気付いて向かってきた炎鬼の一撃を、ダンテが大盾を構えてドッシリと受けとめた。
ダンテの腕前や装備品も一級品であるが、それでも鉄剣が簡単に弾かれ体勢が崩れた炎鬼に、ダンテが持っていた槍を心臓へと突いて一撃で仕留めた。
以前との手応えの無さにダンテも戸惑い隠せない。
その後も何回か炎鬼と遭遇し戦ったが抱いた感想と変わらない。装備も何だかグレートが落ちた印象を受ける。
12階層の巨地龍の間に降りた所で1度休憩とし、情報の整理と交換を行った。
考えられる可能性は鍛治の出来る修羅鬼や炎鬼衆の存在がいなくなった事で装備品の質が下がった事や、以前と違って指導して鍛える存在の炎鬼達がいなくなった事も既存しているだろう。
ダンテもコウランも修羅鬼との事を話して無用なトラブルを起こさないようにと心得ているのか、エステルにはそんな説明はしなかった。
ただ炎鬼が弱くなった事や出現する炎鬼達が少なくなっている事を報告した。
暫くエステルは納得がいかない表情をしていたが、未だ情報が少ないので考え込んでも仕方が無いと思ったらしい。
更に調査をしたいため実際にBOSSの間に降りて討伐しても良いかと確認してきた。
通常BOSS戦はこの人数だけで挑むモノでは無いらしく、自身も参戦する事を約束してくれた。事前の確認や協力の約束をしてくれる。
貴族のイメージは何と無く良くなかったが、基本的に真面目で良い人なんだと思った。
休憩中に簡単な軽食を振舞って見た。
魔法袋仮から食事を取り出す所を見せるとダンテ達は慣れているから何も反応は無かったが、エステルは流石に驚いていた。
何処で入手したのかしつこく聞かれたが、内緒の一点張りで通した。
エステル曰く、アイテムを収容できる魔法道具は現代では作製出来ないらしく、非常に貴重であるとのこと。
迷宮でしか入手出来ないため、王侯貴族や重要人物くらいしか下賜されず持っている人間は稀だと教えて貰った。
その為この王国内では、レア級などの品を扱う店は其れなりのお店であることが求められる。
また許可証がないと入れず、一般的には出回らない。
闇市や闇店、露店などでも売られていることもあるらしいが大概が偽物なんだと伝えられた。
その話を聞いた時、なるほど…だから普通の店にはないと思った。
面倒くさい事に巻きこれそうになりそうだから、今後は人前で使うことは控えようと思う…今更なのかも知れないが。
比較的安全だと思われる窪地に入り、そこで取り出した軽食を皆で食べる。
お馴染みの鳥肉を使った岩塩をまぶした焼き鳥と葉野菜のサラダ、それに今回は臓物の味噌煮を出して見た。
始めてみる料理と匂いに敬遠がちだったが、以外にも最初に口にしたのはエステルだった。
見たこともない料理に知的好奇心を刺激されたようだ。最初は怪訝そうな表情でモゴモゴとしていたが次第に美味しそうな表情に変わっていく。
「家では食べたことがない味付けだけど、癖になるような美味しい味だわ。合格よ」
エステルの評価を機会にして全員食べたがダンテ以外には好評だった。
ダンテは味噌は大丈夫だったのだが、臓物が口に合わなかったらしい。味噌で味付けされた野菜は美味しそうに食べていたのでお代わりを盛る。
コウランは気に入った見たいだし、コレから食べる機会も増えるだろうから…頑張れダンテ、次第に慣れてくるだろう。
小腹も膨れ、迷宮洞窟探索を再開した。
13階層に魔眼とマップを使うと明らかに強い魔力反応があり、洞窟壁にカモフラージュしてあった隠し部屋を発見した。
毎回発見出来る訳ではない。今回も隠し部屋を見つけられてラッキーだ。
警戒しながら入ってみると、非常に広い部屋だった。真ん中にポツンと豪華な宝箱が置いてあった。
普通なら飛びつくのだろうが、部屋に入った全員が嫌な予感を感じていた。
あらかさま過ぎる豪華な宝箱に、この部屋の広さはある想像を掻き立てられる。
魔物祭と呼ばれる現象の罠の一種で、宝箱を開けると莫大な数の魔物が出現して戦う羽目になる。
但し、中身は豪華な宝箱に見合う品が入っている事が多く、実力のある冒険者達にはオススメとされている。
大概余程実力が無いと生きて帰れない罠の一つだ。
悩んでいるとエステルが魔法を使って調べてくみようと言われた。
調査団に所属する彼女は無属性魔法の一種で感知魔法が使えるという。
その名の通り対象に感知魔法を掛ける事によりある程度の情報が得られる。
エステルの魔法の情報からは、やはり魔物祭の罠が仕掛けられていた。
折角隠し部屋に入れたが、宝箱を開けてリスクのある魔物祭を行って良いのか。また調査に来ているのに優先しなくて良いのかと、皆と悩んでいたらエステルから提案をされた。
どうせBOSSと戦うのだから、その前に全員の戦い方を確認する為にもここで前哨戦をしようと言うのだ。
1番難色を示すであろうエステルからの提案もあり、全員一致で開けることに決まった。
多分エステルにはこの事態をどうにか出来る自信と、自分達に対しても大丈夫だと評価を下し、配慮してくれたのだ。
その気遣いに有り難さを感じる。
事前準備にエステルから強化支援魔法、対魔法耐性の魔法をかけて貰った。
ソウマ自身もまた、全身強化魔法をかけて備える。
エステルの殲滅魔法の詠唱待機を見届けた後、宝箱の蓋を開けた。
予想通り大型の召喚陣が描かれ、部屋一面に無数の魔物が出現し始め、魔物祭討伐戦が始まった。




