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プロローグ

 闇の中に無数の光の玉が浮かぶ。それは充分な光量だとはいえないまでも、暗闇に目が慣れてきている今、戦闘に支障はなかった。

 寧ろ問題なのは、戦闘力の差をどう埋めるべきかの一点であった。


マスターよ。逃げる事を推奨するぞ。あの者の実力は主とはレベルが違う)

(瞬殺だけは避けられたみたいだがな)

(否、それはあの者が主をなぶる為に手を抜いたに過ぎん)

(なるほど── ね)


 その会話で主と呼ばれた受け手は、悟りの境地を開いたかのように振る舞った。しかし、その穏やかさは一瞬にして消え失せる。


 ── なぶる為、か。いいや違うね。アイツは俺を見下した。


 違う見解を自ら立てて、男は笑い能面のような空虚な瞳で立ちはだかる者を見据える。


 ── ざけやがって、お前が高く登っているなら引き摺り下ろしてやる。


 自分が高みに立つのではなく、相手を引き摺り下すというのはネガティブに聞こえるかもしれない。しかし、明らかに相手は実力上位であり、負傷している状態でまだ諦めないのは、ポジティブな思考を失っていない証明だった。


(── 差は大きい、どう埋めるつもりだ? )

(そうだな。俺が高みに登れないなら、あっちに降りてきて貰うしかないな。見下していた視線を水平に戻してもらう)


 具体案などまるでない男の言葉に、問主は押し黙る。


(洗練された戦い方をするヤツは確かに強い。でも、崩された時は意外に脆くなったりするもんだ。

 ── さて、アイツはどうだろうな)


 そう云って飛び出した男は無策で無謀な特攻を掛ける。


「ヤケクソか…… 醜いな」

「そりゃ、お前がそんな能力を使っているからそう思えるだけだ。

 普通の喧嘩ならこんなもんだろっ! 」


 男は怯む事なく前へ進む。


「原始的な戦いに付き合うつもりはないっ! 」

「否、付き合ってもらう」


 体に衝撃を受けながら、男は更に前へ突き進んだ。そして、


「── 届いた。俺の間合いだよ」


 見下していた男の右肩を掴み、不敵な笑みを浮かべながらより近くへ引き寄せたのだった。



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