第六話 自己紹介3 〜大和 煌という人〜
「次、アタシいいかな?」
俺の隣に座っている友人が手を上げる。
「その積極性いいね!蓮にも見習って欲しいよ」
ほっとけ。
「アタシは大和 煌っていいます」
「なんかカッコイイね」
「ありがとー」
馴れ馴れしいなこいつ。
「えっと、中学では帰宅部でした。運動は好きだけどガチでやるのは苦手なんだー」
「煌ちゃん。一つ質問いいですか?」
「どぞー」
「蓮君とはいつから友達なんですか?」
「えっとー…小五?」
「そうだな。クラス替えで知り合って、家が近いのが判明してずっと付き纏われた」
「いいじゃーんだって好きだったんだもん」
『!?』
二年生全員が凄い勢いで俺らの方を見てきた。
蘭先輩なんか顔が真っ赤である。「す、す、好きって…」とかブツブツ言ってる。お子様か。
「あ、中学の卒業式の日にアタシから告白して付き合ったし」
『え!?』
仲いいなこの人達。
「一週間で別れたけど」
『は?』
全員で俺を睨んできた。
水仙先輩、その手に握っているのバールの様なものどっから出したんですか。
「落ち着いてください。俺がフったんでもこいつがフったわけでもないです。お互い同意です」
でなきゃここに呼ぶはずがない。
「どっちかっていうとアタシの方から切り出したんだけどねー」
「わ…別れようって?」
「うん」
「な、なんで?」
すげぇ喰いつくな。と思ったが他の二人も少し身を乗り出している。
…女子はこういうの好きだなぁ。
「だって、付き合ってもそれまでと大して変わらなかったし。周りも気を使ってきたり囃し立ててきたりでウザくなってきたから」
「そう簡単に別れていいものなのかな…?」
蘭先輩が納得のいかないような表情で食い下がる。
「うーん…俺も普通は非常識なことだと思うんですけど」
『こいつなら別にいいかなーって』
ハモった。
「なにこのコンビネーション…これが幼馴染みってやつか!」
蘭先輩は謎の感動をしていた。偶然なんだが。
しかも幼馴染みって言える程の長い付き合いでもないと思う。…まぁいいけど。