第五話 自己紹介2 〜咲野 蘭という人〜
「まずは私ね!」
ソファーの上に立ち胸を張る小動物。危なっかしい。
「身長は160センチ」
「いやどう見ても150あるかどうか「人の話は黙って聞きなさい!」
なんか怒られた。
「更に胸は…えと…Qカップ!」
「化け物ですね」
「蓮、びーくわいえっと!」
発音が残念過ぎる…!
「オマケに成績は常にトップクラス!」
さっきの発音で?
…さて。
「水仙先輩、お願いします」
「身長は149センチです。先日の身体測定で『あといっせんち…』と涙目で呟いていました」
「な、泣いてないし!」
身長に関しては否定しなかったな。簡単に想像出来てしまうのが悲しい。
「胸に関しては…まぁお察しですね」
「グハッ!」
「蘭先輩!」
「A以下で表現出来ないのが嘆かれます…」
「水仙先輩。もう蘭先輩のライフはゼロです」
気づくと蘭先輩はあやめ先輩に泣きついていた。「えっと、それはそれで需要がある…はず」とか苦しいフォローを受けている。
「あ、でも成績はホントにトップです」
『は?』
俺と、隣に座る友人の声が重なった。
「ちょっと!なんで二人とも驚いてるのさ!」
「いやー、見ていた限り馬鹿っぽかったんでつい」
友人が笑顔で応える。相変わらず空気読まねぇなこいつ。
「蘭ちゃん、記憶力『だけは』凄いんですよね」
「褒めてる?」
「褒めてますよー」
すごいすごい、と頭を撫でる水仙先輩と目を細める蘭先輩。何この空間甘ったるい。
自己紹介どこいった。