表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

第01話 - 「遭難」


 友人の家からの帰り道、長い階段を下りていく途中で目の前が暗転したと思ったら行き成り浮遊感に襲われた。


「「「「わぁーー」」」」

「「キャァーー」」


周りからも悲鳴が聞こえるが・・突然の暗闇と浮遊感に悲鳴を上げ、軽くパニックに陥っていた。

ボク達は悲鳴を上げる事しか出来ず、全くそれには気付かない。少しの浮遊感の後、その衝撃はやって来た。


…ドスンッ!?


「うわっ」「ってぇー」「痛ててて」「痛ったーいっ!」

「痛たたた…お尻打ったぁ~。…あれ、ここは?」



周りの様子を見てみると、青々と茂る木々と見渡す限りの原っぱが広がっていた。

そして空には照りつける様な太陽がある。

辺りを見回すと同じ様にお尻や顔を打った人が数人、見知った顔を見つけたので声を掛けて見る。


「育君、碧ちゃん大丈夫?」

「あ!?凛姉っ?」


弟が頭を抑えながら振り返って私を確認した。


「う~ん、凛お姉ちゃん?」


うつ伏せになっていた少女が鼻を真っ赤にして起き上がった。

その瞳には少し涙をうかべている様だ。


「あらら、お鼻打っちゃったのね。大丈夫?」


そう言って稟呼ばれた少女は碧と呼ばれた少女の顔についた汚れを「さらさら」と払い落してあげる。


「うぅ~うん、ありがとう凛お姉ちゃん。」


綺麗に砂を払ってもらいにっこりと笑う碧。


「凛姉の方こそ大丈夫なの?何か行き成り暗くなったと思ったらこんな所に連れて来られた様だけど…」


そう言って辺りを警戒する。


「そうね、身体は少し痛いけど動けない程でも無いし、問題は無いと思うわ。まあでも、これがただの〝誘拐〟とも思えないけどね。こんな野原に私達を放置して犯人は逃走しました…。って言われても、今一ピンとこないし」


そう言って苦笑する凛。


「確かに、そう言われるとそうだよね。」


釣られる様に彼女の弟は顔をしかめる。


「取りあえず、向こうの人達も気が付いた見たいだし、話を聞いて見ようよ」

「ええ、そうね」

「あ!待って、私も行くぅ」



少し離れた所に少年三人が集って居るのでそちらに合流した。




 流石に男の子なのか、落下の衝撃でお尻を擦っている者も居るが、碧の様に顔から着地する様な運痴は居なかった様だ。


「碧、育兎、凛姉、そっちは大丈夫だったか?」

「ああ、少し身体を打った見たいだけど問題は無さそうだ。」

「私も大丈夫だよ」


育兎と碧がそう言うと私も八雲へうなずいた。


「凛さん、貴女も?」

「あれ?光矢君も?」


そこには幼馴染と知らない顔が1人。


「お姉ちゃん、誰ぇ?」


碧は普段引込み思案なくせに私や八雲の友人の事になると、逆に積極的になる。


「何言ってるの?光矢君よ。もう1人は知らない顔ね。とりあえず顔見知りが多い見たいだから自己紹介を簡単にしちゃいましょうか。私の名前は姉ヶ崎凛、こっちは弟の育兎、この子は如月碧、私の幼馴染で妹みたいなものよ。」

「ああ、貴女があの・・・。俺の名前は一色桜火。光矢の友人です。」


そう何かを納得した様に頷いた後、簡単に自己紹介を済ませた。


「光矢さんのご友人なんですね!初めまして一色さん、如月碧と言います。」

「ああ、初めまして如月ちゃん。」

「姉ヶ崎育兎と言います。」


我関せず八雲の腕を育兎が肘で突く。


「うん!?俺もか? 西園寺八雲だ。」

「あぁー君達が・・・」


そう言って一色君は面白そうに笑顔を浮かべる。


「ん?」

「あの、何か?」


今度は八雲と育兎を見て笑みを浮かべた。


「いや、光矢から話は聞いていたからね。

こんなタイミングで2人に出会うとは思わなかったな・・・・。

とりあえず、初めまして八雲君、育兎君。

一色桜火だ、君のお兄さんと同じで高2だよ。」


そう言って桜火は楽しそうに笑った。





 皆それぞれ挨拶を終え、現状確認し合う。

口火を切ったのは桜火だった。


「それで、これは今どういう状況だ?

こんな見渡す限り草と木しか無い所に俺等を置き去りにして。

しかも6人全員、皆がお互いの知り合いか関係者か・・・誘拐とか?」


一色桜火が面白そうに笑いながら予想を口にする。

それを凛が否定する。


「ううん、たぶん違うと思う。だってこの人数をこんな所に放置する意味が分からないし。

拉致って割には・・・ここは開放的過ぎるでしょ?」

「確かに。せめて犯人の監視の下、って言うならともかく。この状況では無さそうですよね。」


光矢も拉致誘拐の線は否定。

年上3人が悩んでる所で年少組が突拍子も無い事を言い出した。


「何言ってるんだよ3人とも、周りを良く視て見ろよ。

ここはきっと異世界って奴だよ! 碧の小説で読んだ事あるぜ。」


「「「  ・・・はぁぁぁ!?  」」」 「えーーっ!!」


メチャクチャ自信満々で言われ一瞬戸惑う一同。


「・・おい八雲、適当な事言ってんなよ? 異世界なんてファンタジーはゲームや小説の世界だけだろ!?」

「うっそぉ!? それホント八雲ちゃん?

・・・・エルフさんや獣耳さんとか居るかなぁ?」


突然の八雲の言葉に速攻で突っ込みを入れる育兎。


それとは逆に、変にテンションが上がった碧が八雲に「よし探して見ようぜっ!」と誘われるが儘に着いて行く。


「イヤイヤ碧ちゃん、常識的に考えて在り得ないでしょ? 八雲も何を訳の分からない事を・・・」


2人を落ち着かせながら育兎は言われた様に辺りを良く観察している。


言われて先に辺りを観察していた年上組が周りの違和感に気づき出す。



「な、なぁ・・、こういう植物って、外国では良く在る植物・・だよな?」

「ああ、・・・こういう昆虫(?)も、海外では割とポピュラーな虫・・だよね?」


恐る恐ると言った感じで光矢と桜火の2人が指したモノは、高さが100m位は在ろうかと言う大木の森と、小動物くらいのサイズは在ろうかと言う見た事も無い蟻に似たナニカだ。


「うーん、一色君の植物は海外の植物に疎い私には判断付かないけど・・・。光矢君の虫は・・・、明らかに地球の規格から外れてない?」


〝肯定して貰いたい現実〟を凛はバッサリ切り捨てる。


「そう・・だよね、やっぱり。 あぁやっぱりこれ、幻じゃあないのか。」

「だぁークソっ、誰が俺達をこんな所に連れてきたんだッ!」


意外と光也が早い切り替えを見せ、逆に憤りだす桜火。


「そうなのよねぇ・・・。

私達をここへ連れて来た目的とか、現状を把握しないと家に帰るに帰れないし・・・。」


そう言って頬に手を当て考え込む凛。

三人の言葉に碧の表情が少し歪む。


「ね、ねぇお姉ちゃん、私達帰れるのかなぁ?」


年長組みの反応に八雲の袖を掴みながら不安そうに尋ねる。

不安を見せる碧の体を、凛は両手でそっと抱きしめる。


「大丈夫よ、きっとすぐに帰れるわ。

早く家に帰って育君の美味しいご飯でも食べましょう!」


碧の少しぽっちゃりな体に抱き付き「ふふふっ、碧の体あったか~い」と凛が碧の不安をかき消す様に明るく言った。





 取りあえずじっとしていてもらちが明かないので日が高い内に何所か町や村の様な人が居る所を探そう、と言う事になった。

道すがら皆が気を失う前がどんな状況だったかを話し合う事になった。


「今日は俺の家で育が飯作った後、碧と凛姉さんとでゲームとかして遊んだ後は、夜遅くなったから碧を送る為に俺も一緒に外に出て・・・どうしたっけ?」


途中で面倒臭くなった八雲が育兎へ聞いた。


「はぁ・・・。

その後、あの長い階段を4人で話しながら帰ってたと思いますよ?」

「って事だ。」


「それ位自分で説明しろよ・・・」と文句を言う育兎に、八雲は悪い悪いと笑って流す。


「うん、私も。

その後行き成りお空を飛んだみたいになったと思ったら〝どんっ〟ってお鼻ぶつけたし・・・。」


碧が「痛かったぁ・・・」と少し涙目になる。


早々に八雲は周りの珍しい植物や生き物を観察する事に興味を持ちだした。

一応俺が偶に確認するから危険はそれ程無いと思うけれど・・・。

そんな事を考えながら凛は光矢達との会話へと戻った。


「そうね、私もそこまでの記憶しか無いわ・・・。

あなた達2人はどう?」


お互いの顔を見合ってから光矢が話し出した。


「僕達もその日は僕の家に居たね。

家って言うか道場だけどさ。」


西園寺の家は結構大きなお寺で、土地もかなり持っている。

小さい頃は凛や育兎もそこに遊びに行っていた。


「ああ、俺は剣術を習ってるんだが、光矢の家には道場があるって聞いたんで時々使わせて貰ってたんだ。」


そう言って方に背負ったバックから1本の布袋を取り出して中身を見せる。


「木刀?

竹刀じゃあ無いの?」


珍しいね?と言った感じで聞く凛。


「ああ、ウチの師匠がこの木刀、【弧徹(こてつ)】を使えって昔に俺にくれた物なんだ。」

「【弧徹(こてつ)】? 何か想ったより凄い名前なのね。」

「あー、やっぱりそう思いますか? 俺も貰った時何でそんな仰々しい名前がついてるのか聞いてみたら、アフリカ黒檀って言う今では中々手に入らない古木と、知り合いの刀匠に頼んで特別に作って貰った品らしくて・・・。

そのせいであんな仰々しい名が入った木刀に成ったみたいです。」

「刀匠・・まだそんな人が居るのね。

でもその長さ1m近く在るんじゃない? 相当重いんじゃあ・・・」

「まあ始めは重くてまともに振れもしなかったけど・・・よっと!」


そう言って、その場で軽く振って見せてくれる。


「って感じで、今ではしっくりと手にも馴染んだって訳です。」


木刀で軽く肩を叩きながら何でも無い事の様に話す一色。


「そのサイズだとまるで大太刀みたいね」と凛が呟く。


「おおっ!? 大太刀って姉ヶ崎さん、意外にも刀とかに詳しい人ですか?」

「少しだけね。 それこそ私も、光矢君のお祖父様に道場でね。」


「高校を卒業するまでね。」と、昔を懐かしむ様に告げる。


「あー、そう言えば凛さんも前は家に来てお祖父ちゃんが何か教えてたよね。

僕は忙しくて殆ど知らないけど。」

「そうね、家の育君が勉強ばかりで全く外に出なくなった時があったから。

家のお爺ちゃんに相談して、西園寺さんの住職さんに口を利いてもらって特別に道場を使わせて貰える様になったのよ。」

「へー、意外と世間は狭いっすね」

「ふふふっ、そうね。意外とね。」


そして一色の興味は凛や育兎がどんな事を習っていたにかへ話題が移った。



2/28 微修正。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ