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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第八十九話 特別室は特別でした



 シネマホールに到着すると、数人の方にお出迎えされました。

 そのまま特別室に案内されます。

 エレベーターに乗って上がりました。


 横に細長い部屋で、スクリーンが強化ガラス越しに見えます。

 はい。案内された方に強化ガラスだと教えてもらいました。

 昔、興奮してガラスを叩いた方がいらっしゃるとか。

 誰ですかそれ。 


 まだ客席も明るいので、人が入ってくるところが見下ろせました。

 客席も何だか私の知っている椅子と違った感じですね。

 独立に近い形の椅子です。

 背もたれが頭まであるので、上の段まで離れています。

 後ろが広いので多少なら背もたれを倒せるのだとか。 

 

 特別室の椅子も同じように背もたれが頭のところまであるのですが座り心地がとてもよくて、寝てしまうんじゃないでしょうか。

 椅子の前に小さなテーブルとドリンクホルダーがあって、薄暗い中でも飲み物が倒れにくいように作られています。

 それぞれ椅子に座ると、目の前にさっと皮張りの物を出されて驚いていると、そこにメニューと流線型のアルファベットで書かれているのに気づきました。

 メニュー。

 受け取って開くと、空白の多い四行の文字たち。

 

 四つの中から選べるみたいです。

 ちなみに次のページがドリンクでした。

 さすが学園内。お酒はありませんでしたね。

 

 聞いたことがないような料理名で、困りましたが右隣に座った晃先輩が「子羊のコンフィ」と言ったので、同じものを頼みました。

 どんな料理なのかは知りません。

 そもそも子羊食べたことないですよ。

 ジンギスカンもまだですから。

 

 食べながら見るなんて、映画を作った方にもしわけないような気もしますが。

「料理は映画が始まる前に頼まないと出てこない。始まる前に運ばれて来て、始まって少ししたら大抵食べ終わっている」

 だそうです。

 飲み物はいつでも頼めるそうです。

 座っている椅子の肘掛の横にホルダーがあって、そこに入っているリモコンのようなもののボタンを押すと押したボタンの飲み物がやってくるそうで確かめてみたらボタンの上に飲み物の名前が表示されていました。

 ちなみに、蓄光タイプらしく、暗くても文字が光るそうです。

 そうですか…としか言いようがありませんね。


 映画といえば炭酸飲料|(?)だと何だかやけっぱちになって頼もうとしたら、炭酸水しか炭酸飲料はないということでした。

 そうですかそうですか。

 それじゃ、ミネラルウォーターにしますよ。

 深いため息を吐くと左隣りにいた真由ちゃんが、何だか長い名前を言っていたのですが、なんとかのなんとかソースなんとか添えみたいなのです。

 聞き取れませんでした。


 ううう。仕方ないじゃないですか。そんな料理食べたことないんです。

 

 ここでは単品でおいしい料理が食べられるので、頻繁にくる人も多いとか。

 フルコースじゃなかったことだけは良かったと思います。


 子羊のコンフィは…子羊でした。

 私にグルメレポートはできません。

 骨付きでしたとしか言えません。

 味はおいしかったです。


 隣の真由ちゃんの料理は、サーモンですね。

 ホタテの何かが添えられていました。


 はぁ。

 

 映画を観る前につかれそうです。


 食べ始めてすぐに映画が始まりました。

 アクションもので、大変おもしろかったです。

 3Dではなかったのですが、迫力がありました。


 そういえば映画は久しぶりに見ましたね。五、六年ぶりでしょうか。

 家のテレビで見るのも結構好きですが、会場の雰囲気といいますか他の人の声が聞こえるとまた面白いものです。

 笑いのポイントが違ったりするので、不思議で面白いです。


 映画を満喫して、シネマホールを出たのは八時過ぎでした。




 送ってやるぞの言葉通り、晃先輩は用意された車に一緒に乗って家まで送ってくれました。

 父にはメールをしておいたので、大丈夫だと思うのですが家の玄関まで送られて中へ入るまで晃先輩は玄関前に立っていました。

「ありがとうございました。とても楽しかったです。少し早いかもしれませんが、おやすみなさい」

 そう言うと、とっても良い笑顔で頭を撫でてくれて「おやすみ」と言ってくれましたよ。

 ドアを閉めてすぐに、玄関の横にある部屋に入って窓から外を見ると晃先輩が車に乗り込むところでした。

 

 

 今度何かお礼をしなくては!


 何が良いでしょうか。


「陽向? ここで何してるの」

「あ、お父さん、ただいま帰りました」

「うん、お帰り」

「ご飯食べました?」

「食べたよ。そうそう。陽向に見てほしいものがあるんだ」

「何でしょう」

 キッチンへ連れてこられて、冷凍庫を見せられました。

「北海道の友人がね、送ってきたんだ。ジンギスカン用の肉と、こっちはラムしゃぶの肉なんだって。ラムしゃぶの肉は他の料理にも使えるらしいよ」

 

 冷凍なのでそれなりにもつでしょうけど。結構な量ですよ。

 

 ラム肉週間になりそうですね。

 華さんにもおすそわけしましょう。

 一緒に料理するのも良いかもしれません。



 後でレシピを検索したいと思います。



グルメレポートって難しいですよね…。

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