第八十五話 何もないお休みの日です
やっと…やっとゆっくりできる日が来ました。
生徒会の仕事もお休みで、誰とも会う予定もなく。
ソファでごろごろ。うーん至福です。
次の行事は十月の体育祭ですから、少し時間があります。
早めに用意してますから、学園祭と違って多少は楽なんです。
練習になったらまた忙しくなりますが、学園祭ほどの労力を要しませんし、日常の仕事はありますが疲労の度合いがぜんぜん違います。
今日はゴロゴロする日と決めて朝も寝坊させてもらったりしました。
チョコレートのお土産の成果です。
お昼前に龍矢さんが夜勤明けで帰ってくるので三人で昼食を取る予定です。
父は今日も仕事で、帰るのは夜中になるそうです。
昨日の夜、泣いていました。
「最近陽向との時間が足りない!」
確かに学園祭の準備に入ってから、あまり会話ができなかったかもしれません。
あまりの寂しさに、例のパネルに向かって話しかけていたとか…。
危ないです。
プリンの効果も薄く、さめざめと泣かれました。
来週にでも、一緒のおでかけを計画しましょう。
昼食に花時の文化祭の話をして、笑われました。
怖かったのだと力説すればするほど、笑われるのはどうしてでしょうね?
危険手当がほしいくらいなんですよ?
ふくれっ面をしていると、華さんが笑ってロールケーキを出してくれました。
龍矢さんのお土産だそうです。
「美味しいです、ありがとうございます龍矢さん」
龍矢さんは笑って頷いてくれました。
フルーツが入ったロールケーキでとっても美味しかったです。
明日からまた頑張れそうですよ。
ほおばって食べているとハムスターみたいだと笑われました。
だってほおばって食べると美味しく感じません?
満足してソファに座っていると、父から電話がかかってきました。
仕事が思いのほか早く終わったので夕飯までには帰れるとのこと。
むむう?
まさか仕事ほっぽり出したわけじゃないでしょうね?
大丈夫だとは思いますが、念のため同僚の方に電話をしてみました。
[え? 水崎さん? あー。物凄い形相でお昼も食べずに仕事してるよ。鬼気迫るってのはああいうことかね?]
多少遅れても待っているので、お昼は食べてくれるよう電話しました。
一緒に食べたいと思ってくれるのは嬉しいですけどね。
電話の向こうで泣きながら頷いていたので大丈夫でしょう。
同僚の方からメールが届いて、仕事のスピードは止まらないけど満面の笑みで仕事をするのもちょっと怖いとのことでした。
夕方は華さんと龍矢さんと一緒に買い物にでかけました。
華さんは龍矢さんと一緒じゃないと買いものに行きません。
何故なら、声をかけてくる人がひっきりなしになるので買いものができなくなるからです。
龍矢さんの鋭い視線に、バリアができたようになるのは毎度のこと。
以前同級生とあったことがありましたが、遠くから手を振るだけで近づきませんでしたね。
鋭い視線をまともに受けたことがないので、どれだけ怖いのかはわからないのですが。
震えあがるほどらしいので、受けないに越したことはありません。
そういえば、龍矢さんに本気で怒られたことないような気がします。
夕飯のお手伝いをしようと思いましたが、華さんは今日は何もしなくていいと言ってくれました。
龍矢さんとキッチンに立つ姿を見ると、本当にお似合だなって思います。
父はいつも夕飯を食べる時間を二時間ほど遅れて帰ってきました。
玄関でお出迎えをすると、しばらくその場でギュウウウウウと抱きしめられました。
いつもは苦しいのですぐに逃げるのですが、今日は我慢しました。
今日は就寝時間までいっぱいお話しましょうね。お父さん。
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