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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第八十三話 気絶しそうです

今さらですがお化屋敷のお化けが出てきますので

苦手な方はスルーしてください。


予約を間違って投稿してしまいましたが

削除せずにこのままにします。


本日二話をいっぺんに投稿したことになりますので

こちらに先に来てしまった方は前の話へ戻ってお読みください。

 提灯の代わりに燭台のロウソクに変わると、途端に暗くなった気がします。本物ではないので消えないことだけは良かったと思いますが。

 周りの灯りもギリギリまで減らされているらしく、物陰に何かがいそうでへっぴり腰になってしまいます。


「陽向、きちんと歩いた方が早く終わるよ」

「だって、怖い」


 和香に引っ張られるようにして本校舎の方へと歩いて行くと、洋風のお墓があちこちに置いてあるのがわかりました。

 鉄の柵みたいなのがあって、迷路のように行く手を阻みます。

 遠くからうめき声が聞こえるような気がしますが、気のせいですよね?


 地図を見ると、もう少し先に教会らしき場所があるようです。

 安全地帯ですか?

 休憩所のマークではないですよね。


 もう少しで教会というところで、後ろから声が聞こえました。

 結構近くで、うめき声…。

 こういう時、振り返ってはいけないのは重々承知しておりますが、人間何故か見てしまうものですよね。


 ゆっくりと振り返ると…。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ」


 ゾンビが複数迫っていました。


「いやーーーーーーーーっ!!」


 和香が笑っている声が聞こえましたが、見ている余裕がありません。

 とにかく引っ張って教会まで急ぎました。

 入口どこですかああああ!


「あ、陽向。こっちこっち」

 道を外れそうになったのを和香に直されて教会へと入りました。


 どうやらゾンビは中まで追ってこないようです。

 ホッとしていると、今度は置くから音がします。

 目を凝らしていると、神父さんらしき格好の人が近づいてきました。


 数少ない男性教諭の一人でしょうか?


「大丈夫ですか?」

「は、はい。なんとか」


 入口のドアがガタガタ言いましたが、それ以上は来れないようです。

 はい、分かってますよ。分かってますけど、メイクが怖かったんです。

 偽物でも怖いんです!


 スタンプを押してもらってホッとしていると、神父さんが苦しげに眉を寄せました。


「裏口から逃げてください。早く、私が抑えているいるうちに」


 私はてっきりゾンビを抑えているうちに…という意味だと思っていました。

「ありがとうございます」

 なんとなくお礼を言うと、隣で和香が笑いました。

 どうしたのかと思っていると、神父さんが何故かニヤリと笑います。

 そして突然神父さんの…く、く、く、首がっ!


「ぎゃあああああああ」


 ええ、ええ。分かってます、分かってますけど。

 暗い中、いきなり首が落ちてごらんなさい! 知ってても驚きますよ!

 わけがわからなくなって、和香をひっぱって裏口から逃げだしました。


「陽向って本当にお化け屋敷苦手なんだね」

「く、暗いだけで苦手ですうううう」


 あははははと笑う和香を引き連れて、教会を脱出しました。

「走ると危ないよ陽向」

「和香ぁ」

「大丈夫だから」



 次に出会ったのが青白いゴーストです。

 ボロボロの服をきてフワフワしながらうつろな目で近づいてきます。

 もう嫌です!


 漸く休憩所に到着すると、キョンシーが立っていました。

 キョンシーですから何も言いません。

「えーと…サンドイッチと紅茶二つ」

 和香がそう言うと無言でピョンピョンと跳ねて行きました。

 さすがに跳ねると食べ物が危ないと思ったのか、持ってきたのはメデューサでした。

 とても綺麗な人だったので、思わずジッと見てしまいました。

「視線が合うと石になっちゃうぞっ」

 語尾にハートマークが付きそうな勢いで言われて、疲れていた私は「はぁ」としか答えられません。

 和香が紅茶を噴きだしそうになって、口元を押さえて肩を震わせていました。


 またもや尻込みする私を引っ張って、いよいよ最後のフロアです。

 あと一つスタンプを貰ってゴールするとご褒美が待っています。


 そのこフロアは何故か証明が赤い色をしていました。

 赤は危険信号ですよね!

「はいはい、もうすぐで終わるから頑張って」

「嫌な予感しかしないんですぅぅぅ」

「リタイヤする場所は過ぎちゃったから、進まないと帰れないよ」

「ううう」


 しばらくは特に何もなく暗いのが怖いだけだったのですが、何故か行く手に石の井戸。


 嫌な予感しかしません。

 予感というより、これ確定ですよね?


 近づいて行くと、ぬっと顔面血だらけの女性が出てきました。

「ひっ」

「お疲れ様です。最後のスタンプですよ」

 血だらけの顔で満面の笑みを見せられても怖いだけです。


 予想していた人ではなかったのでホッとしましたが、その後がさらに怖かったのです。


 歩いている両側に日本人形。



 怖い!怖すぎる!!

 和香の腕にしがみついて、歩きますが今にも動きそうで足が震えます。

「歩きにくいよ陽向」

「離さないでください和香」

「ほら、あの角を曲がると出口だよ」

 和香の言うとおり、ぼんやりと明りが見えました。

 やっと終わる…。

 脱力しそうになった時でした。


 後ろから複数の足音が!


 びっくりして振り返ると…。

 黒髪を顔の前に垂らした、白い服の女性が大勢走って来たのです。


「いやああああああああ」


 一人でも怖いのに複数って何ですか!

 大勢に追いかけられたら、お化けじゃなくても怖いですよっ!


 私は和香と一緒に出口まで走りました。

 ちなみに、中には走らず立ち止まったり、ゆっくり歩く方もいらっしゃるそうで。

 そういう場合は追いこして出口とは反対側に消えるのだそうです。



 そんなことを知らない私は悲鳴を上げながら出口を通り過ぎてもしばらく走ってしまったのでした。






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