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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第八十一話 怖い?楽しい?



 複雑な作りになっているので、時間がかかりそうです。


 地図を見ていると途中にティーカップのマークがあるのを発見しました。

「あの、柳宮会長。このマークは何ですか?」

「それは休憩所のマークですわ。喉が乾いた方のために飲み物をご用意しておりますの。別に料金を払っていただければ軽食も出ますのよ」

「はぁ、そうですか」


 お化け屋敷の途中で食事をするものなんだろうかと少し考えてしまいましたが、普通のお化け屋敷よりは長いといいますか、長すぎるので食事もありなんでしょう。


「リタイヤすると、途中から再開はできないことになっているから。できれば、最後までがんばって欲しいな」

 里塚先輩がニッと笑うと牙が見えました。そこまでこだわってるんですね。

「一人で行かせるのは忍びないので、一宮を一緒に行かせるから。本当は僕もついて行きたいんだけどね。休憩時間はずっとトマトジュースを飲まなくちゃいけなくなるし、モンスターを二人も引き連れて行ったら脅かす方も困るだろうから」

 吸血鬼の格好をしている生徒は、本日のすべての飲み物をトマトジュースとしなくてはならないらしく。生徒会室を出るとそれを守らなくてはいけないので出たくないらしいです。

 変な方向に拘っているような気がします。

「和香は、何か決められている事があるのですか?」

「んー。今日は満月じゃないし。特にないかな」

 それは満月だったらあったということですか?

 聞いてみたいような、聞きたくないような…。


「スタート地点までは一宮が案内するからね。頑張ってきて。全行程クリアしたらおみやげがあるよ」

「楽しんでくださいね」

 生徒会の二人と教師二人に見送られて、生徒会室を和香と出ました。

「さて、行こうか」

「そういえば、校舎全体がお化け屋敷なんですよね? このあたりは普通ですけれども」

「あぁ、この辺りは関係者以外立ち入り禁止の場所だから。学園長室とかある場所だし」

「そうですか」

「それじゃ、いったん外に出よ」

 

 外へ出て部室棟の入り口へと移動しました。

 その間にもすれ違う妖怪やモンスター。


 異世界に来た気分です。


 入り口には猫娘が立っていて提灯を渡されました。本物のろうそくではないので落としても燃えないそうです。


 いくつかのチェックポイントを通らないとクリアしたことにはならないので、渡されたスタンプ帳を落とさないように首にかけられました。

 提灯がなくても歩けるくらいの暗さだそうです。

 まあ、小道具は雰囲気作りのためですね。


 提灯を持って和香と一緒にいよいよスタートします。


「ところで和香はどこにどんなお化けがいるのか知っているのですか?」

「知ってるところもあるし、知らないところもあるよ」

「そうですか」

「陽向はお化け屋敷苦手だったっけ」

「少々苦手ですね。あ、でも遊園地にあるお化け屋敷よりは中は明るいんですね」

 薄ぼんやりというのでしょうか。

 青いライトが点々と置いてあります。

「入り口はそうだね。奥へ行くに従って少しずつ減っていくよ」

 部室棟に入ってすぐに何故か井戸…それも古い井戸です。

 いかにもですね。

「だっ、誰か入ってるんですか」

「いや、誰も入っていないはず…」

 その時ガラガラガラと水桶が上がってきて、ガツンと上に当たって止まりました。

 それ以外に何もなく、ホッとしてルート通りに進んだところで河童に出会いました。

 ええ。怖くなかったです。

 まあ最初の方ですものね。

 

 次に会ったのが一つ目小僧。それから一つ目傘でした。

 どちらも目がギョロリと動いて少し驚きましたよ。和香は笑っていましたけど。


 次に会ったのはろくろっ首。

 いきなり首が伸びた時はさすがに驚いて和香の手をギュッと握ってしまいました。

 不意打ちだったからです、はい。


 少しずつ暗くなっていく中、前の方に提灯の灯りが見えました。

 私たちの前に入った人でしょうか?

 立ち止まっているので、怖くて進めないのかもしれません。

 一人より二人、二人より三人です。

 少しでも多くの人数で回れば、怖さも半減しますよね、きっと。

 地図を見ると、蛍光塗料が塗られているのか、うっすらと光ってわかりやすいようになっていました。

 もうすぐ第一のチェックポイントですね。

「和香、行きましょう」

「ん? はいはい」

 和香を引っ張って提灯の灯りの方へと急ぎました。

 近づいて行くと、確かに提灯の灯りは近づくのに持っている人が見えません。

 立ち止まって提灯を見ると、人が持っているようにゆらゆら揺れています。

 なのに誰もいない。

「わ、和香」

「うん、その横がチェックポイントだね」

「は、はい」

 そーっと浮いている提灯の横を通ろうとした時でした。

 真上から何かワサワサしたものが落ちてきたのです。


「きゃあああああああああああ」


 振り払ってチェックポイントがある部屋へ飛び込むと、目の前に真っ赤な顔をした閻魔様がおりました。



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