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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第七十四話 お仕事です



 晃先輩は三十分きっかりで目を覚ましました。

 何でしょう、体内時計が電波でも受信しているのでしょうか?

 大きく伸びをした後、立ち上がって私の頭を撫でると、いつも通りニヤッと笑って生徒会本部を出て行きました。

 顔色が少し良くなっていたようなので、安心ですね。

 膝掛けを畳んで真由ちゃんに返して、私も仕事に戻りました。

 美術部の騒ぎを聞いたのか、一年一組の生徒でもある漫画アニメ研究部員から被り物が届けられて、それを被って歩くことになったりしましたが、まぁ、可愛かったので良しとしましょう。

 多少息苦しいですが、子供には人気です。

 

「陽向…ちゃん?」

 声をかけられたので振り返ると、風紀委員の高野先輩でした。

「よく私だとわかりましたね?」

「あぁ、ほら生徒会専用の制服だし。背丈からいって陽向ちゃんかなと」

「なるほど」

 生徒会の一年生は真琴が一番高く、次に私、その次に真由ちゃんという順です。

 真琴と私は少ししか違わないのですが、真由ちゃんは七センチほど違うので、この制服を着てこの背丈だと水崎陽向…という答えになったのでしょう。

「それ、どうしたの」

「同じクラスの生徒が貸してくれまして」

「へえ」

「なんとかっていう魔法少女なんだそうですけど」

「なんとかって」

「オリジナルなんだそうで、聞いたことのない言葉だったんですよ。一回聞いただけでは覚えられませんでした」

 巻き舌も入っていたので、練習しないと言えないのではないかと思っています。

「高野先輩は休憩中ですか?」

「いや、迷子を送った帰り」

「あぁ、お疲れさまです」

 毎年必ずいるそうで、各ポイントにある案内所へ迷子を連れていくと、他の案内所にも連絡がいくようになっています。

 もちろん生徒会にも連絡がきて、親御さんがみつかるまであちこちに連絡を入れるのです。

 後、毎年多いのが靴擦れだそうで、絆創膏が大量にストックされています。

 泉都門学園はそれはそれは広いので、地図では近くに見えてもたどり着くまでに時間がかかります。

 バスに乗った方が楽なのですが、慣れていない方は近いと勘違いして歩いてしまい靴擦れを起こしてしまうとのこと。

 慣れている方だと、動きやすい靴でいらっしゃるそうです。

 泉都門は所々石畳のところもありますし、踵の細い靴を履いて来ない方が良いと思います。

 ぼんやり歩いていると普通の靴でも転びそうになりますからね。

「それ被ったまま馬術部に行かないようにね。馬が驚いちゃうから」

「はい」

「っと…また迷子だ。それじゃ」

「はい、お気をつけて」

 高野先輩が携帯を見た後すぐに私に手を振って走って行ってしまいました。


 歩いている途中、時々被り物について質問をされ、その都度ここに行って聞いてほしいと地図を指して場所を教えたりしました。

 

 臨時バスの運転手さんたちがいる詰め所へ差し入れをした後、数カ所ある高等部の門の警備員詰め所にも差し入れをして、大門の詰め所で休憩している警備員さんと一緒にコーヒーを飲んだ後、詰め所で預かった落とし物を案内所へと持って行きます。


 大通りに一番近い案内所なので、とても忙しい部署なのですが、統率が取れていて動きに乱れがありません。さすが芹先輩直轄。



 落とし物を預けて、私はようやく生徒会本部へと戻ったのでした。



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