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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第七十話 学園祭一日目休憩時間です



 多少の出来事があったものの、概ね平穏に時間が過ぎて一時になった頃、私と真琴と真由ちゃんの休憩時間になりました。

 あちこち行くときに不便だったので、普通に上靴を履いていたのですが厚底の靴を履き直して、いよいよ自分のクラスに行く時間です。

 その場で何度か軽く飛んでみたり屈伸したりして、ようやく真琴に手を差し伸べました。

「大丈夫?」

「走ったりしなければ大丈夫だと思う」

 真琴が手を乗せてくれたので、今度は真由ちゃんに逆の手を差し伸べました。

「ふふふ、両手に花」

 そういうと、真由ちゃんが笑ってくれました。

 二人の手を握って生徒会本部を出ます。

「では行ってきます」

 会長たちに言って、私たちは一年生のフロアへと向かいました。

 

 途中途中で写真を撮られ、その間星空カフェを宣伝しつつ教室へ入ると、思ったよりお客さんが入っていました。

 私たちが入るとキャーと黄色い悲鳴が上がります。

「真琴様、素敵ですー」

「写真撮ってもよろしいですか?」

「水崎さん、男装もいけるじゃない」

「写真写真!」

 わっと寄ってきたため、仰け反って倒れそうになるところでした。

「はいはい、皆さん落ち着いてー! 写真は順番にお願いします。織り姫と彦星には短い時間しかありませんので、速やかに並んでください」

 委員長が手をあげて言うと、ものすごい勢いで一列に並びました。

「はい、織り姫様と彦星様。お二人はこちらへ」

 一段高いところへあがらされて、写真撮影会となりました。

 恥ずかしいです。

 

 外部からのお客様がポカンとされてますよ!


「一組一枚ですよー!」

「あのー、これって私たちでも参加できます?」

 外部のお客様が委員長に質問しました。

「はいもちろんです、ただし時間がきたらお二人は戻られるので、早めに並んだ方がいいですよ」

 委員長がそう答えた途端、目の前の食べ物と飲み物を流し込むように食べて、列に並ばれる方々…。

 あぁ、そんな食べ方もったいないです。

 くれぐれもよい子はまねしないでください。


 真由ちゃんが自分のクラスを見に行った後、こちらへ来て目を丸くしていました。

 十五分たって、ようやく解放されましたが間に合わなかったお客様からは不満の声が漏れています。

「ご安心をー、等身大っぽいパネルがございますー」

 ……ぽい。と言うだけあって微妙に小さいパネルでした。

 といいますか、いつの間に作ったんですかそんなの!? 写真を撮ったの今朝ですよね!?

 委員長を見ると、得意げな顔をしています。

 パネルを作るなら、できれば一言欲しかったのですが。



 私たちは教室を出て、二人でため息をついたのでした。



「そういえば、真由ちゃんのクラスは何をやっているの?」

「えーと。占い」

「占い?」

 コクンと頷いて手招きされたので中をのぞいて見ました。

 三カ所に分かれていて、入ってすぐのところが御神籤ですね。その隣がカップ占いです。これはコーヒーを飲んだ後、カップの底に残った形で占うものです。

 そして一番奥にあるのがタロット占い。


「私のクラスに、オカルト研究会の子がいるの」

「なるほど」


 結構賑わっているようですね。

 時間がなかったので、御神籤だけ引いて行くことにしました。

「あれ、陽向ちゃん」

「速水君。御神籤の係ですか」

「うん、そう。百円だよ」

 百円を渡して御神籤を引きます。

「ええと。吉ですね」

「まぁまぁだね」

 ちなみに真琴は中吉。真由ちゃんは大吉でした。

「大凶を引くとお守りがもらえるんだけど、もう一回どう?」 

 速水君が見せてくれたお守りには交通安全と書かれていました。大凶なのに交通だけですか?

「いえ、お守りをもらえるとしても大凶は引きたくありませんね」

 速水君が箱を持って振ったのでガサガサと音がしました。

「ま、そうだよね」

 箱の中に一個だけ大凶が入っているそうです。



 誰も引かないことを祈りつつ二組を出たのでした。



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