第六十八話 学園祭開始です!
とうとう学園祭当日となりました!
早朝から最後の確認をして、徹夜組をのぞく生徒たちの登校を待ちます。
祭りの開門は十一時ですが、その数時間前から並ぶ人がいるそうで生徒たちの登校はいつもより早い時間に設定されています。
学園が学園だけに、簡単とはいえ空港でのチェックのような場所があるので、来場者は入るまでに少々時間がかかります。それを知っている人が並んでいるのだそうです。
私たちは生徒会本部での待機が主ですね。
機器や書類などを用意して準備万端と言ったところで、一組の委員長から呼び出しのメールが届きました。
実は朝から例の服を着ても良いと静会長のお許しをいただいたので、用意された服を受け取りにいくのです。
休憩時間に用意をすると回る時間が無くなってしまうので、朝のうちに着ることになったのですが。
当日までどんな服かを教えてもらえていないため、不安半分期待半分と言った感じでした。
真琴と二人で一組に行くと、それぞれ紙袋を渡されます。
「こっちが真琴様でこっちが水崎さんね。お化粧は着てからにしますので、急いでお願いします」
臨時で更衣室になった特別教室に入って、紙袋を開けました。
「ん?」
「あれ?」
真琴と思わず顔を見合わせます。
「これは……。何というか」
「ちょっと季節はずれな感があるよね」
「織り姫と彦星?」
真琴が彦星かと思いきや、私が彦星でした。
「えっ、ぼくが織り姫なの?」
着る順番があるとかで、手伝いに着ていた一組の生徒が間違いないと言って、私たちに着るよう促します。
私の方は白と青が基調となっていて、真琴の方は白とピンクです。羽衣みたいな薄く細長い布を巻き付けて、完成でした。
その後真琴にはエクステンションなどで髪をつくり、化粧を施しています。
私は髪を頭の上でお団子にして縛り、化粧を施されました。
普通よりキリリとした眉になってます。
私の化粧の方が早くに終わり、隣の真琴をみて驚きました。
「うわー真琴可愛い!」
浴衣の時も可愛いなと思っていましたが、そもそもが美形なので柔らかい化粧をすると、そりゃーもう美人さんなのです。
「予想以上で嬉しいです」
満足げに一組の生徒が言って、私も頷きました。
普段は男装の麗人と言う感じなので、どちらかといえば男らしい服装しか見たことがなかったのです。
「スゴい似合ってる! 写真写真」
真由ちゃんに送ろうと思いましたが、やはり本物を見せて驚かせたいと思い直し、うずうずしながら支度が終わるのを待っていました。
「休憩時間に、できれば一回でいいのでクラスに立ち寄ってくれると助かります」
「わかりました」
真琴の方が若干背が高いのですが、私は厚底の靴を履いていて今だけ真琴より高くなっています。
おお。数センチ違うだけでこんなに見える世界が違うのですね。
真琴の手をとって、エスコートしようと思ったのですが厚底の靴に慣れなくて、生徒会本部まで逆に織り姫にエスコートされてしまいました。
たどり着くまでに少し慣れましたけど、少々不安です。
二人で戻ると、生徒会メンバーは全員驚いてくれました。
「真琴くんも陽向ちゃんも、可愛いね!」
「すごい」
「ほぉ、存外似合うもんだな」
「予想を良い意味で裏切られたね。とっても似合ってるよ」
芹先輩、真由ちゃん、静先輩、貴雅先輩の順です。
修斗先輩はにっこり笑って頷いただけでした。
「陽向ちゃんは…背が伸びてる?」
「あはは、厚底の靴です」
「陽向、写真撮ろ」
真由ちゃんが興奮しながら言いました。
三人一緒に撮ってもらって、真由ちゃんはご満悦でした。
「陽向、男装も似合うね」
「そう? でも真琴の破壊力には勝てないよー。もうね、早くつれて歩きたい!」
じたばたしていると、先輩達が笑っていました。
だって、あまりに可愛いので自慢して歩きたいのです。きっとみんな驚くだろうなって思います。
これならミスコンに出ても勝てるかも?
「うん、出ないよ」
あら、残念。
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