第六十一話 告白されました
次の日の放課後。
体育館裏に晃先輩と静先輩につれられて行きました。
部活に勤しむ生徒たちの声が響いて聞こえます。
サクサクという草を踏む音が止まって、顔を上げると男子生徒が一人立っていました。とても、あんな贈り物をするような人には見えませんでした。
「こんにちは、水崎陽向さん。福田弘と言います。怖い思いをさせてしまってすみませんでした」
きっちりと頭を下げた後、潤んだ瞳でまた口を開きました。
「そんなことをしてしまったのに、こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが、聞いていただけますか」
「…はい」
「あなたのことが好きです。つきあってください」
「……ごめんなさい。おつき合いできません」
しばらく見つめ合った後、福田くんはふっと笑いました。
「本当に…すみませんでした。聞いてくれてありがとうございます。二度と水崎さんの家に近づきません。それから。エスカレートする前に止めてくださってありがとうございました」
最後の言葉は先輩になのでしょう。
晃先輩と静先輩は黙って頷きました。
「それから、これはお詫びなんですが。もう二人、水崎さんを追っている方を知っています」
「えっ」
「水崎さんをつけていましたので、時々視界にはいってきました。あ、もうしませんから…はい」
先輩たちに睨まれて福田くんは俯きました。
「まて、“もう二人”なのか?」
「ええ、先輩たちが探っている人の他にもう一人。まぁこちらは特に恐れる必要はないかと思います。卓球部の人ですから」
「卓球部!?」
「はい、水崎さんを入部させたいようですよ」
卓球部の入部の件はすでにお断りしました。
理由もお話したのですけど。
部員も少なくないはずですし、私を入れなくても良いと思います。
「陽向」
「はい?」
「おまえはもう帰っていい。後は俺様が話す。静、後を頼むぞ」
「わかった」
静先輩が私の背中をポンと叩いたので頷いて踵を返しました。
「水崎さん!」
足を止めて振り返ると、泣きそうな顔をした福田君が私を見ていました。
「本当に…ごめん」
「もう、誰にも…こんなことしないでくださいね」
「……はい」
静先輩に促されて、私はその場を後にしました。
そういえば、告白されたのは人生初です。
「陽向」
「はい?」
「頑張ったな」
「いえ、私は…」
「帰ったらお茶にしよう。貴雅がまたケーキを買ってきているはずだ」
「はい…」
「文化祭…成功させよう…な」
「はい、静会長」
静先輩は私の頭をくしゃっと撫でてくれました。
本当のストーカーはこんなに簡単に諦めそうもないのですが、彼はもどきだったと思うので。
本当になる前に踏みとどまったと思ってください。




