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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第五十八話 落ち着いて暮らしたいです


 朝。

 父に車に乗り込むまで見送ってもらい、生徒玄関前で晃先輩が待っているのを見て、少しホッとしました。

 車を降りてすぐに新聞と共に入っていたものを晃先輩に渡します。

「…ポストにこれが?」

「はい」

「わかった」

 晃先輩は、そのカードを受け取って袋に入れました。

「近いうちに終わらせるつもりだったが、悠長なことは言ってられないな。エスカレートする前に終わらせる。安心しろ」

 晃先輩はそう言って私と生徒玄関に入ります。

 中には三名の風紀委員が待っていました。

「あ、おはようございます」

「「「おはよう」」」

 速水君と二年生の風紀委員の方です。

「速水、わかっているな」

「はい、委員長」

「陽向」

「はい?」

「昼休みに迎えに行く。教室で待っていろ」

「はい、わかりました」

 晃先輩は頷いて何処かへ行ってしまいます。

 速水君と二年生の風紀委員の先輩たちは一緒に私の教室まで送ってくれました。

 教室内には真琴がすでに登校していて、その側に一年生の風紀委員が立っていました。

「おはよう」

 教室内にいた生徒から「おはよう」と返事が返ってきます。

「おはよう、陽向」

 真琴が微笑んでくれたのでホッとして席に着きました。


 お昼休みに晃先輩が迎えに来てくれて、真琴と真由ちゃんと四人で学食へ向かいました。周りに風紀委員が四名ついてきます。

 例の個室に入ったところで、報告をしてくれました。風紀委員の皆さんは個室前のテーブルで待機のようです。食事をしてて良いと晃先輩に言われていました。

「本人かどうかは別として、カードや花を運んでいたやつがわかった。外部生だ」

 私の家にカードを持ってこられたという点から、外部生の可能性が高いとは思っていました。

 内部生は寮生がほとんどなので、外出許可がいります。新聞の上にカードが入っていたところから早朝に行われたと仮定すると、内部生には不可能に近いのです。

 外部生か、外部生に頼んだ誰か…ということになるみたいです。


「放課後、話を聞くんだが。どうする?」

 それは私がその場に立ち会うかどうか、という質問ですよね?

「できれば会いたくないですけど」

「まぁそうだよな。そいつが送り主本人かどうかは判らないし、確認してからでもいいとは思う。一応、生徒会室で待っていろ」

「わかりました」

 ふうと溜息をついてメニューを見ましたが食欲がわきませんでした。

 レモネードだけ頼んで食事をせずに学食を出たのですが、風紀委員を引き連れて歩いているので目立ちまくりです。

 時々わけの判らないことを言っていく二年の先輩がちらっと見えましたが、すぐに居なくなりました。

 こんなにガードされてては言えませんよね。

 追いかけようと思いましたが、囲まれているので追いかけられません。

「晃先輩。少し過剰では?」

「前の時に、そう思って失態を演じたからな。今回は過剰だと言われようと手を抜くつもりはない」

「はあ」

「これは特別ではないぞ。生徒が同じ様なことにあったら、同じように守る」

「そうですか。それなら安心です」

 晃先輩は頷きました。

 生徒会のメンバーだからという待遇ではないと知ってホッとしました。

「放課後、一条と更科を生徒会室に置いて行くから安心しろ」

「静先輩は?」

「俺と一緒に話を聞きに行く。会長が一緒だと重みが違うからな」

「なるほど」

 威圧的なのが晃先輩で威厳があるのが静先輩です。

 身近にいると色々残念な面も目にしてしまいますが、まぁそこは生徒会だけの秘密としましょう。


 二人に囲まれる、その生徒を若干かわいそうに思いますが仕方ありません。

 しっかり反省していただきましょう。

 少なからず、私はおののいたのですから。

午後の授業を受けるために教室に戻った私は、何時頃帰れるかなとのんきに構えていたのでした。



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