第五十七話 送り主は誰でしょう
ストーカーについて軽く話がでるので
お気をつけください。
短く終わる予定です。
「おとといが“あ”昨日が“い”今日が“し”…となると」
さすがに見回っている風紀委員の目を盗んで花を机に入れることはできなかったようで、二枚目からはカードだけになりました。
「明日は“て”だろうな」
生徒会室で今まで送られた三枚のカードを睨みながら晃先輩が言いました。
「そうなると後は“います”とか“る”になるのかな」
芹先輩がそう言った後に小さい声で「うぜぇ」と言ったの、聞こえましたよ。
「えーと確認したいんですけど、これって愛の告白ですか?」
「…確認しなくても、愛の告白だよ陽向ちゃん」
「はぁ…」
回りくどいですね。
「名前とか書いていないですけど」
「あぁ、そうだね」
「どうせなら呼び出して言ってくれた方が早いんですけど」
「…答えは?」
「ノーですよ、もちろん。まどろっこしいの嫌いです」
溜息混じりに言うと、何故か先輩たちがなるほどと頷きました。
「だから最近ストレス溜まっているんです。両方どうにかして欲しいですよ」
忙しいというのに、色々面倒なことが起こってイライラしています。
次にあの人にあったら、絶対追いかけて真意を聞かないと気が済みません。
「ふさわしくないって何にですか? いいかげん気づけって何にですか」
「そうだね…はい、これ食べて」
貴雅先輩が目の前にケーキを出してくれました。
「あ、これ最近評判の!」
「うん、みんなで食べようと思ってね。陽向はチーズケーキが好きだったよね」
「はい! 大好きです」
ケーキでいきなり機嫌が良くなるのも何ですが、本当にチーズケーキ大好きなんです。
それに一度食べてみたかったんです、ここのチーズケーキ!
フォークで口に入れると甘くてさわやかな味が口に広がります。
濃厚でいてしつこくない。
はぁ…幸せです。
真由ちゃんが入れてくれた紅茶と共に、全員で休憩となりました。
次の日、朝早くから風紀委員が一組を見張っていたそうですが、カードは現れませんでした。
諦めたのかなと思っていましたら、帰る時に靴箱に入っているのを見つけました。
予想通り“て”です。
すぐに晃先輩に連絡して引き取ってもらいます。
今回はカードの横に小さい薔薇の花が添えてありました。
「今度はこっちか、ちっ」
晃先輩は用意してきた袋にそれを入れて、日付を書きます。
「明日は絶対に捕まえてやる」
靴をチェックしましたが、特に何もされていなかったのでそのまま履いて玄関を出ます。
晃先輩が車の前まで送ってくれました。
「ここまで送ってくれなくても…」
「いいから、乗れ。明日の朝、ここで待っているからな」
「えっ」
私の返事を待たずにドアを閉められてしまい、車が動き出してしまったので何も言えませんでした。
風紀委員の人たちが頑張ってくれているので、大丈夫だろうと安易に考えていたのです。
そして。
ポストに新聞以外の物が入っていたことに戦慄を覚えました。