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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第四十七話 納涼祭慰労会…です



 大所帯ですから、そりゃバスですよね。

 でも、バスに泉都門学園高等部生徒会って書いてあります。

 生徒会専用バス!?

 ポカンと見上げていると、真琴がトントンと肩を叩いてきました。

「どうしたの? 陽向」

「生徒会専用バスに驚いていたところでした…」

「えっ…」

「……えって驚くところを見ると、他にもあると思っていたのね…」

「もしかして、当たり前…じゃない?」

「うん」

「だって納涼祭に来てた学校の生徒会、白坂高等学校以外は小型だけど専用バスで来てたよ? 白坂だって近くだから出なかっただけで専用のバスあると思うけど」

 えええええっ!? 

 それは気づきませんでした!

 っていうか、何ですかその当たり前さ加減!

 出発する前から脱力です。


 そして判明しました。

 バスガイドさん付きです。

 修学旅行ですか? これ。


 途中、やたらと豪華なお弁当がでたり、以前ネットで食べてみたいなって思っていた一つ二千円のプリンがデザートで出たり。

 乾いた笑いがでるのは私だけなんでしょうか。

 バスの一番後ろで龍矢さんと理事長が何か話をしていましたが、私の所までは聞こえませんでした。


 バスがたどり着いたのは秘湯というにふさわしい山奥でしたが、建物は新しいらしく温泉というとひなびたイメージしか持っていなかった私はとても感心してしまいました。

 だって、バスで登ってきた道はそれほど広くありませんでしたし、一歩間違えば崖でしたよ。

 どうやって建てたんだろうと辺りを見ていると、私たち以外にも団体客がいるらしくバスが泊まっていました。

 何かのツアーかと思って目を凝らすとバスの横にアルファベットで何か書かれています。

「えーと。TOMOCHIDORI HIGHSCHOOL…」


 誰か目薬ください。


「陽向?」

「あっ、真由ちゃん目薬持ってない?」

「ないけど…」

「それじゃ、あれ読んでもらえる?」

「う、うん。と・も・ち・ど・り…はいすくーる」

 二人で黙ってしまいました。

「えーと、真由ちゃん。友千鳥って二つあるとかないよね?」

「…私の知っているのは…ひとつ」

「う、うん。そうだよね。えーとえーと。あ、真琴」

「どうしたんだい? 二人で」

「あ、あれ。何て読める?」

「ん? ともちどりハイスクールって書いてあるね。へぇ。友千鳥も来てるんだ。先生方の旅行かな」

 あ、そうですね。

 別に生徒会が来てるって決まった訳じゃないですよね。

 ほっとして荷物を受け取り、玄関に入った時でした。


 見間違いであってほしい緋色の学ラン。

 友千鳥は生徒会だけ緋色の学ランです。

 つまりは。


「よお、泉都門。奇遇だな」


 ギラリと光った視線で皮肉気に笑います。

 そして浴衣を着た白坂生徒会長が仙恵寺会長の後ろにいました

「やっと来たんだね。待ちくたびれたよ」

「なっ、何で…」


「まだまだ驚くことはあるよ。ほら」

 

 さらに後ろから現れた面々に、泉都門生徒会は深いため息を吐くことになったのでした。

 


 ところで秘湯貸し切りだったはずでは?



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