第四十五話 納涼祭が終わりました
やっと…やっと終わりました。
皆さんが帰るまでに一悶着ありましたけれど、いえ正確には三つくらいありましたけど。
それでも何とか全員が帰途につきました。
あぁぁぁ。
こんなに疲れた日は無いんじゃないでしょうか。
疲れすぎて椅子に沈んでいる私です。
魂が抜けそうです。
この後、片づけもあるというのに何という体たらく。
納涼祭は生徒会だけでは手が足りないのでお手伝いをしてくれた生徒が複数名います。
その人たちに、座ってていいですよと言われてしまうくらい、私は相当疲れた顔をしているみたいです。 生徒会補佐の私が座って何もしないという状況が許せず、自分で自分をハリセンで叩こうと思って、そういえば里塚先輩に預けたままだということに気づきました。
まぁ、あのハリセンはまた作れば良いので真琴にメールをして、そのまま使ってもらって構わないと伝えてもらいましょう。
ペチリと手のひらで額を叩いた後、気力を振り絞ってノソリと立ち上がると、更科先輩がいつの間にか目の前に立っていました。
「なに…か?」
更科先輩と呼ぶ気力もなく、そう言ってしまったのですが特に感情の変化は見られず。
何も言わずに近づいてきた先輩は、ヒョイと私を軽く抱え上げました。
お姫様だっこです。
いつもの私なら、大慌てするところですが今日の私は疲れに疲れていました。
なされるがままです。
何も言わずにゆっくりと歩いてたどり着いたところは保健室でした。
「あら、水崎さん?」
「足を」
更科先輩が言って丸い椅子に座らせてくれました。「どれどれ、足を見せてね」
「痛っ」
「捻挫だと思うけど、一応病院に行った方がいいかもしれないわね」
「車を呼んでくる」
「あ、すみません更科先輩」
「気にしなくて良い、休め」
「でも…」
「ご家族に連絡してね。それから、トラックがたくさん来てるからすぐには出れないと思うから、その間だけでも横になると良いわ」
「ありがとうございます」
少しの距離なので歩くつもりだったのですが、更科先輩がまた抱えてくれてベッドまで運んでくれました。
ゆっくりと降ろされて上靴まで脱がせてくれます。
お礼を言って更科先輩を見上げると微笑んでいました。それを見て何故だがホッとした私は先輩の手が瞼の上に来たときにはもう、眠りに落ちていたのでした。
目が覚めた時はすでに後かたづけもほぼ終わっていて、トラックなどに搬入が始まっていました。
なるほど、屋台というのはああして運ぶものなのかと感心したのですが。
そこまで来ていると、結局私には何もすることがなく椅子に座ってぼんやりすることになったのでした。
こういう時って打ち上げをしたりするものではないのでしょうか?
後かたづけが終わって、「お疲れさまでした」と解散になってしまいましたよ?
生徒会だけでもやるのかと思いきや、これまた「お疲れさまでした」で解散でした。
不服というわけではありません。
むしろ疲れていたので助かったのですが、拍子抜けしてしまった感はありました。
ええ。
でも。
私は泉都門を甘く見ていたのです。
とても甘かったのです。