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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第四十話 納涼祭です(5)



「環境がそうさせたんだろうが…まぁいい。結局のところお前は自分で引き寄せてるってことだ」

「は?」

「実態をきちんと把握していないと、大変になるぞ」

「実態? 何の…」

 ですかと聞こうとして、更科先輩と和泉先輩がさっと私を隠したのに気づきました。

「何の用だ」

「水崎さんとお話がしたいんですが、ナイトを倒さないとできないんですか?」

 この声は大平会長ですね。

「白坂のメンバーに水崎さんを紹介したいんですよ」

「なら、ここへ連れてこい」

「いや、それ私、何様ですか。自分で行きますって」

「ダメだ」

「和泉先輩?」


「今から家に帰りたいか?」


「そんな…」

「怖いなぁ、分かりましたよ。連れてきます」

 白坂の会長は笑いながら戻って行きました。

「連れてきたらいいのか?」

 今度は友千鳥の仙恵寺会長の声ですね。

「お前のところは目立つから遠くでもいいだろう」

「和泉先輩ー。私、大丈夫ですって」

「だ・め・だ」

「だって私一番下っ端なんですよ? 色々やることが」

 更科先輩を見上げると、首を横に振られました。

 何でですか…。

「ここまで注目されるとは予想外だった」

「先輩」

 更科先輩が和泉先輩の耳元で何かを囁きました。

「………新聞部が? わかった。おい静。ちょっと代われ」

「どうした?」

「少し離れる。ここにいろ」

「わかった」

 如月会長と和泉先輩が入れ替わって、和泉先輩はどこかへ行ってしまいました。

「白坂高等学校生徒会役員です。水崎さんに謁見を」

「謁見って何ですか! 一般人、庶民ですよ!」

 私の言葉も虚しく、スルーされてしまいます。

「その位置から動くなよ」

 先輩たちの隙間から見ると、いつの間にか一条先輩が離れた場所にテープで線を引いていました。

「はい。ここから入らない」

「厳しいですねえ」

 そういうと大平会長はいきなりそこにひざまずいたのです。

「大平会長!?」

「水崎陽向様。ぜひ私の伴侶に…」

「はぁ?」

 その時大平会長の頬をグイッと引っ張った人がいました。

「いい加減にしろ、お前がそんなだから大事おおごとになるんだ」

 細い銀のフレームのメガネをかけた学ランの男子生徒です。白坂高等学校の生徒会の人ですね。

「いひゃいいひゃい」

「本当にすまない、俺は白坂の副会長、文藤理虎ぶんどうりとらだ。これから、こいつが色々迷惑をかけるかもしれないからな、いつでも俺に連絡してくれ」

 そういって名刺をくれました。

 はい。如月会長経由で。

「あ、ずるいですよ理虎。ちゃっかり連絡先なんて教えて!」

「色々、事後処理に走らされる俺の身になれ!」

「僕が悪いわけでは…」

「お前が悪い!」

「いひゃい…」

「白坂からは、もう一人来てたはずだが」

冷山れいざんなら、向こうに。すまないが今はだめだ。あいつの空腹が治まるまでまってくれ」

 だんだん泉都門の生徒会役員が普通に見えてきました。


 

 これが麻痺というものなのでしょうか?



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