第三十八話 納涼祭です(3)
丁度、天窓から光が降りてきていて…まるでスポットライトのようだった…と後で教えてもらったのですが、その時の私たちはそんなこととは露知らず。
和香にエスコートされながら歩いていました。
忘れていました。
和香が「黙って」いれば王子様なのを。
新聞部の人が写真を撮っていましたが、別に珍しくないので気にしなかったのです。
真琴と真由ちゃんのところへ付くと、何故か周りがポカンとしているのに気づきました。
「どうかしましたか?」
「陽向…ちゃん」
「一条先輩?」
「えーとね。うん。絵のようだったよ」
「はい?」
一条先輩の後ろから緋色の制服をきた人がきました。友千鳥高等学校の人ですね。
「泉都門の生徒会メンバーか?」
「え? ああ、はい。私はそうです。こちらは花時の生徒会役員の…」
「名前を聞いてもいいだろうか」
和香の名前を言おうとしたところで、かぶり気味に言われました。
「友千鳥の会長。名前を聞きたいなら、まず自分からじゃないですか?」
東雲先輩が私たちの前にたって庇うように手を伸ばしました。
「あぁ、すまない。俺は仙恵寺定嗣という。友千鳥の生徒会長だ」
キリリとした一重の和風な男前さんでした。
「私は水崎陽向です」
「僕は一宮和香です」
そこへ如月会長がやってきました。
「仙恵寺…おまえは目立つんだから色々慎め」
「お前に言われたくないな」
火花が散るようです。
「うちの会長と仙恵寺会長は同じ小学校の出身なんだ」
「なるほど」
一条先輩がこっそりと教えてくれました。
校長先生が壇上に上がられたのでそちらに集中しようと顔を上げたら、白坂高等学校の生徒会の方がすぐそばに立っていて私を見下ろしていました。
現在。
背の高い男子に周りを囲まれている状況です。
校長先生が話をしているのに、見えないと言う…。
「白坂高等学校生徒会会長、大平 流と言います。お噂はかねがね」
「え?」
「水崎さんですよね? あぁ本当に真っ直ぐ見てくれるんですね。嬉しいな」
「はぁ…」
「白坂の…勝手に近づくな」
更科先輩が私を背に隠しました。
何ですか今日は。
「交流のためのお祭りでしょう?」
そうでした。そうなんでした。
それにしても、背が高い方ばかりですね。
私と真由ちゃんは皆さんを見上げないと顔が見れません。黒い靄が見えそうなので副会長のことは言わずにおきます。
これだけ並ぶと山ですよ山。かなりの威圧感です。
「水崎陽向です」
更科先輩の後ろから顔を出して言うと、大平会長はにっこりと微笑みました。
仙恵寺会長とは逆に、どこか外国の血が入っているのではないかと思われる風貌です。ハーフかクォーターでしょうか?
「よろしくお願いします。泉都門とは近いので会う機会もあるでしょう」
そういえば白坂高等学校が一番近いんでしたね。
「よろしくお願いします」
和香が私の隣で苦笑しているのが分かりました。
「和香?」
「あぁ、ごめんごめん。ちょっと失敗したなって思って」
「何がです?」
「うん、良いんだ。いずれはそうなったんだろうし…。それにしても、濃いメンバーが多いね。さすがは泉都門学園と友好を結んでいる学校だ」
確かに個性的な人が多いですね。
後、お話していないのは松枝学園の方々でしょうか。