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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第三十一話 もうすぐ嵐がやってくるみたいです



 納涼祭の準備が進む中、授業参観が金曜日に行われることを知りました。

 ええと。

 ちょっと待ってください。

 高等部ですよね?

 小学生じゃあるまいし、なんで授業参観?

 と思っていたら、便宜上そういう名前を取っているだけで、良家の親を呼んで色々話をする機会を持つためなんだとか。

 庶民の親はついでですか…。

 まぁ、うちは庶民なので来てもらわなくてもいいのですが、話し合いの結果…華さんの旦那さんが来てくれることになりました。

 あぁぁ、お忙しいのにごめんなさい。龍矢りゅうやさん。

「庶民庶民っていうけど、そういう人との繋がりだって結構重要なんだよ、陽向ちゃん。泉都門学園に通えるってことはそれなりの財力を持ってるってことでしょう?」

 一条先輩が珍しく真面目に言いました。

 ほら、一条先輩って自分の魅力を分かって可愛らしく首を傾げたりするので、そういうの無しでということです。

「時に違う色を混ぜてみないと、新しい発見もないからな。意外な人物との繋がりで助けられることもあるんだ」

 封建的ではないんですね。

 それは意外でした。

「あ、もしかしてボクらが生徒会に入っているから、そう思ったのかな? だったら去年会長だった城田さんは陽向ちゃんのいう庶民・・だったよ?」

「えっ、そうだったんですか」

 役員の二、三年生全員が頷きました。

「そうなると、やっぱりカリスマですか」

「城田先輩はねぇ。もう、凄かったんだよ。それこそ陽向ちゃんのお父さんみたいな感じ」

 それは同じ時代に生徒会にいなくて良かったです。

「老若男女問わず、見てたら魔法でも使ってるんじゃないかってくらいだったね」

 東雲先輩が肩をすくめて言いました。

「そういうわけで、前期は女子が一人しかいなかったんだよ」

「そうなんですか…」

「まぁ、陽向ちゃんだったら大丈夫だと思うけどね」

 大丈夫だろうが、何だろうが面倒なことが起こりそうなので会わなくて良かったです。

「んー、ここで残念なお知らせがあります」

「はい?」

「納涼祭に、城田先輩がいらっしゃいます」

「げっ」

 思わず叫んじゃいました。

「以前、OBの寄付があるって言ったでしょう。その寄付をしてくれた人にも招待状が行くんだ。出欠を聞いたら楽しみにしているって返ってきたから、間違いなく来ると思うよ」

 その言葉に今度は和泉先輩が「げっ」と叫びました。

「おいおい、そう言うことは早めに言ってくれよ! くぁー、何で今年に限って!」

 配置を考え直さないとと呟いて和泉先輩が生徒会室を出て行きます。

 ご愁傷様です。

「何故に、阻止しなかったんですか」

「うん、いや。招待状送らなくても来る人だから」

「……そうですか」

 


 

 当日嵐が吹き荒れそうです。



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