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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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番外編2 新入生歓迎会です 前編



 当日。

 ホールに行きますと、赤いテーブルクロスの上に白いテーブルクロスがかかった小さい丸いテーブルが沢山置いてありました。

 その周りを白いクロスがかかった長い机が囲んでいて、料理が白いお皿や銀のトレーなどに載っています。

 あぁ、箸じゃないんだと肩を落としていますと、笑いながら一条先輩が近づいてきました。

「こんにちは、陽向ちゃん。はい、お箸」

「ありがとうございます。でも、お箸使っても良いんですか?」

「別に構わないよ。普通の食事会だから皆も気にしないで好きなの使ってね。カトラリーの横のケースにお箸入ってるから」

 ホッとする人が結構見えました。

「お肉は好きな大きさに切ってもらえるし、無理してナイフ使うことないよ。はい」

 渡してくれたお皿にはローストビーフ。

 我が家の普段の生活ではあまりお目にかからないです。


「おいし?」


 首を傾げて聞いてくる一条先輩に、周りから悲鳴が上がりました。

 うん。

 もうだいぶ慣れました。こういうの。


 口に入れて味わいました。

「はい、美味しいです」

「良かった。それじゃ楽しんでね」

 それぞれの場所にいるシェフさんに料理名を聞くと答えてくれるのですが、たまにチンプンカンプンな名前のがありました。

 アーティーチョークって何ですか?

 うーんと唸りながら食べていると、会長が近づいてきました。

「会長、こんにちは」

「あぁ、楽しんでるか?」

「珍しいものがあって、凄いなと思っているところです。ところで会長、これ生徒会主催ですよね? 学園からお金が出るんですか?」

 少し人気ひとけの無いところへ行って聞いてみました。

「あぁ、一部はそうだな。毎年決められた額が支給される。後は、生徒会OBからの寄付もある」


 生徒会OBの寄付ってなんですか。そんなのありなんですか。


「毎年同じ料理という訳にもいかないからな。その都度、色々な伝手で店を紹介してもらうんだ」

 毎年同じでも、食べる生徒が違うんですから良いと思うんですけど。

「そんなところで何してるんだ、二人とも」

 振り向くと和泉先輩でした。

「生徒会主催のパーティに何故和泉先輩が?」

「まぁ、一応の警護」

「警護……」

「守衛は別にいるけどな。大勢がいっぺんに集まるところには色々起こりやすいから、そのための風紀委員だ。あまり人気のないとこに行くなよ、目が届かないからな。まぁ静だから大丈夫だとは思うが」

 静と聞いて一瞬、脳内の引き出しを開くのに時間がかかりました。

 そうでした。

 生徒会長は如月 静さんでしたね。

「お前、俺の名前忘れてただろう」

 ここは笑って誤魔化しましょう。

「俺だけいつも役名だよな」

 そういえば、いつも会長と呼んでいます。

「忘れないように、俺のことも名前で呼べ」

「ええー」

「不満そうに言うな。ファーストネームで名前で呼ばせるぞ」

「り、了解しました如月会長!」

「……会長は取れないんだな」

 二人のやりとりに、和泉先輩が楽しそうに笑いました。

「静は先輩って呼んで欲しいんだよ、水崎。たまにで良いから呼んでやれ」

「晃!」

 うくくくと和泉先輩が笑う前で、如月会長が顔を赤くしています。

「如月…先輩?」

「何故疑問系なんだ…」

「呼ばれて嬉しいくせに」

「晃! お前!!」

「ははは、それじゃ、俺様は仕事があるんでー」

「きさま!」



 如月会長が和泉先輩を追いかけて行ってしまったので、私はパーティに戻ることにしました。



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