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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
202/203

第百九十七話 また会う日まで


「晃先輩、風紀委員の方は良いんですか?」

「あぁ。今日は忙しいからな、一昨日卒業祝いをもらった」

「謝恩会はクラスごとに違う場所ですよね? どこなんですか?」

 私が言うと、三年生が顔を見合わせました。

「親も来るからな。警備の都合上、学園中央にある建物だ」

「えっ」

 運命棟・宿命棟・天命棟の三つの扇形の高い建物が学園内の敷地中央にあります。

 どれかが理事長のいる棟で、他の二つの使い道がわからなかったのですが、謝恩会会場だったとは知りませんでした。

「毎年、数クラスが使うんだがな。今年は全クラスが使うようだ。入り口が混雑しそうだが、まぁ何とかなるだろう」

 各クラス違う階の会場だそうです。

 ちなみに、どの棟かは教えてもらえませんでした。

 

「俺たちもどの棟かわからん」


 何でも入り口が複雑で、三つの棟のどれに入ったのか分からないそうです。

 外の景色を見ればわかるのでは? と思ったのですが、晃先輩が笑って首を振ったところを見ると、何かしかけがありそうですね。

 屋上にヘリポートがあることだけは教えてもらえました。

 ヘリポートですか。

 学園敷地内なら、結構降りられる場所はあると思うのですが。三つの棟が一番高くて目立つので、降りやすいのでしょうか?


 まだまだ謎がありますね。


「陽向たちが三年になって卒業する時に、もしかしたら入れるかもしれないな」

 そうなったら、是非とも会場をそこにするよう押すことにしましょう。

 

「さて、そろそろ俺たちは会場へ行かないといけないな」

「あぁ」

「そうだね」

 時計を見て、三人が頷きました。

 いよいよ…です。


「また、会おう」

 静先輩のその言葉に、私たち一年生は泣いてしまいました。

「元気でね」

 貴雅先輩が私たちの頭をなでてくれます。

「俺は入学式をみにくるぞ」

「「ずるい」」

 理事長権限行使ですか?

 それはずるいですね。

 全員にずるいと言われて、そして全員で笑いました。

 私たちは泣き笑いになりましたけど。


「「「「今まで…ありがとうございました」」」」


 廊下で先輩たちが角を曲がるまで見送りました。

 生徒玄関まで行くと、風紀委員が大変になりますから。ここで我慢です。

 角を曲がる瞬間、先輩たちが私たちに手を振ってくれました。


 三人が見えなくなって。

 生徒玄関の方で騒ぎが始まる音が聞こえました。


「先輩たち、棟まで無傷でたどり着けるかな」

「風紀委員がいるから大丈夫だろう」

 物騒な話はやめてくださいね、芹先輩修斗先輩。

 

「来年は、芹先輩たちですよ」

「それを言われるとね。ちょっと怖いかも」

 

 ふふふと笑って芹先輩は生徒会長の席に座りました。


「さて諸君。新しい生徒会の始まりであります。春休みに後輩が来るし、北海道から交流の生徒会が来るからね。忙しくなるよ」

 春休みはまだ参加できないので、私は黙って立っていました。

「陽向ちゃんはきちんと休むこと。いいね」

「はい」

「新学期が始まったら、お仕事頼むからね」

「はい、誠心誠意頑張らせていただきます」

「うん、その辺は…少し肩の力抜いてね」

 頑張りすぎは良くないよと困った顔で言われてしまいました。

「えーと。適度に頑張ります」

「うん、よろしく。さて、仕事を始める前に、一年生は顔を洗いましょう」

 私たちは顔を見合わせて笑いました。

 涙でぐしゃぐしゃです。

「陽向ちゃんは、その後帰宅ね。学園内はどこもごちゃごちゃしてるから、車に乗って帰るように」

「ありがとうございます」

 今朝も迎えに来てもらったのです。

 お仕事を休んでいるのでと断ったのですが、朝、玄関をでるとすでに車が来ていました。


「それじゃ、新学期に。また会おう」

「はい」

 

 四月には必ず戻ってきます。

 そう心の中で呟いて。


 一礼をして、私は生徒会室を出ました。



これにて第一部完結とします。

少しお休みをいただきまして、第二部は新規小説として作る予定です。

タイトルはそのまま「私は急に止まれない。2」となります。

投稿する時には、こちらと活動報告にてお知らせします。


約半年、お付き合いありがとうございました。

まだまだ未熟ではありますが、陽向と一緒に成長できたらいいなとおもっております。

次回作にもお付き合いいただけると嬉しいです。


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