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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第二十話 生徒会役員としての初登校です



 おはようございます。


 いつもより早い時間に用意をすませて、ぼんやりソファに座っています。

 迎えにくる時間は電話の後メールで届きました。

 これは真琴が教えたのでしょうか。

 まぁいいでしょう。

 そろそろ玄関にでて待ちましょうか。

 靴を履いて外へ出ると私の心とは裏腹に快晴でした。


 あぁ太陽が目にしみる。


 深いため息をついているところに、黒塗りの車が停まりました。

 運転手さんが降りてきます。

「おはようございます」

「おはようございます。お世話になります」

「どうぞお乗りください」

 ニコニコと笑顔で言われて、私は開けられたドアから乗り込みました。

 そして奥に座っていた先輩と目が合いました。


 はい。  

 残念ながら真琴や真由ちゃんではありませんでした。

 生徒会長、如月 静氏でありました。

「お、おはようございます」

「あぁ、おはよう。・・・出してくれ」

 運転手さんが乗り込んで、すぐに車が出発しました。

 まさか生徒会長自ら迎えに来るとは思ってませんでしたので、緊張してしまいます。

 自転車で十分もかからないので車だと数分で着くでしょう。

 泉都門の門(ややこしいですね)が見えてきて、この時間でもパラパラと生徒が登校しているのが見えます。

 朝練の生徒でしょうか。

 門から高等部棟までもう少し時間がかかります。

 早朝の学園内バスが走っていくのをみました。



 高等部棟前に車が着いて、降りようとすると先輩に止められました。

「少し待て」

 運転手さんが如月先輩側のドアを開けて、先輩が降りた後ドアを閉め、そのまま私の方へと回りました。そしてドアを開けてくれたまでは良かったのですが、そこに如月先輩が手を差し伸べて立っていました。

 これは、あれですよね。

 手を出せということですよね。

 先輩の手をつかんで降りろと?

 そんな紳士的行動いりません!

 ですが、そのまま降りることは許されないのでしょう。

 はね退けて降りる勇気もありません。

 仕方なく先輩の手の上に軽く指を乗せるようにして車を降りました。


 そして大変後悔したのです。


 私が降りる事に躊躇している間に人がたくさん集まっていました。


 そうです。

 そのまま迷わずに降りれば何のことはなかったのです。

 躊躇ちゅうちょしたために如月先輩に手を取られて車を降りるところを男子生徒のみならず、多くの女子生徒に見られていたのでした。


 しかも、車から降りたというのに如月先輩は手を離してくれません。


 心の中で、ぐはぁと叫びました。


 生徒玄関前の階段を上る間もそのままで、靴を履き替えるところへ来てようやく手を離してくれました。


 先輩は三年生ですからね。

 靴箱の場所が違います。


 ほっとして靴を履き替えた後、そのまま生徒会室に行けると思ったら如月先輩がまたもや手を差し伸べられました。

 

 私、何かしたのでしょうか。

 後が恐ろしくて目眩めまいがしそうです。


 し、しかしここでまた躊躇していたらもっと多くの人の目にさらされます。

 仕方なく先輩の手に指をそっと乗せてエスコートしてもらったのでした。


 生徒会室に入ってすぐにソファに倒れ込んだのは言うまでもありません。





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