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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百九十一話 卒業式です(1)



 朝早くに登校して、まずは生徒会室へと直行です。

 仕事を手伝えないので謝罪と、激励。

 力が出るようにとお握りの差し入れをしてきました。

 皆さんてんてこ舞いなのに、私を見ると笑顔で迎えてくれました。

 ちょっと泣いてしまいましたよ。


 さすがにまだ登校する生徒は少ないかなと思いつつ生徒玄関にいると、静先輩と会いました。

 卒業式も生徒会特別仕様の制服なんですね。

「おはようございます」

「おはよう、早いな。体は大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます。あの、実は貴雅先輩と晃先輩に伝言をお願いしたいのですが」

「かまわんが」

「全員で写真を撮りたいので生徒会室に後で来ていただけますか?」

「卒業式の後か?」

「先だと芹先輩たちが大変なので…」

 まぁそうだなと呟いて静先輩は了承してくれました。

「退院したばかりなんだから、無理はするなよ」

「はい、ご心配をおかけしました」

「大学部に俺たちは行くが、先輩であることは変わらない。いつでも相談にのるから連絡するんだぞ」

「せ、先輩、今、泣いちゃいそうです…」

 静先輩が、涙目になっている私の頭を優しく撫でてくれました。


「二人には伝えておく。陽向は教室で卒業式が始まるまで休んでいろ」

「はい」

「それじゃ、後でな」

「はい、答辞楽しみにしています」

「プレッシャーを与えるなよ」

 小さく笑って静先輩は三年生のフロアへと行ってしまいました。


 私は言われた通り、自分の教室に行って席でぼんやりとしていました。

 次々と生徒が登校してくる中、卒業式だけあって、いつもと雰囲気が違います。

「おはよう水崎さん。卒業式長いけど、大丈夫? 途中で具合が悪くなったら、いつでも言ってね」

「ありがとう委員長」

 クラスの皆にも無理しないようにと釘をさされました。

 私ってそんなに無茶するキャラでしょうか?

 速水君にも言われちゃいましたよ。


「何でもできちゃうんだろうなって思ってたところはあるんだよね。だから、僕たちも少しは責任あるかなって」

「えっ、いやいや。速水君に責任ないって」

「助けられたのに傍観してた時あるし、本当にごめん」

「それは私がお願いしたからだし」

「……今更だけど、敬語なくなったんだね」

「あ、うん。変…かな」

「ううん、変じゃないよ。嬉しい」

「え」

「二年生になったらクラス替えだよね」

「うん、そうね」

「同じクラスになれると嬉しいな」

 にこっと笑って速水君は言いました。

「そう…だね。速水君が同じクラスだと楽しそう」

「真面目に神社にいってお願いしたくなってきた」

「神頼み?」

「二年生は修学旅行もあるし、仲がいい人がいると楽しいでしょ」

「そうね」

 出席日数は足りていましたので、留年にならなくてすみました。


「隣のクラスだから、具合が悪くなったら言って」

「今日は、会う人会う人に言われてばかりなの」

「それだけ皆が心配してたんだよ」

「うん」

「僕もすごく心配した」

「ごめんなさい」

「お見舞いに行ったら面会謝絶だったし」

「えっ、速水君、来てくれたの?」

「うん。他にも結構行ってたよ。面会謝絶の札みて、皆で心配してた。一組担任の西福先生が生徒に詰め寄られて、困ってたよ」

 鼻の奥がツンとして涙が出てきました。

 皆に心配かけて、でも心配してくれたことがとても嬉しくて。

「あー、速水が水崎さん泣かせてる!」


 そういえば、廊下でした!



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