第十九話 ニーハイ卒業です
生徒会に入ることが完全に決定した日から数日後。
生徒会専用の制服が届きました。
はい。
着たくありませんというのが正直な感想でした。
だって・・・。
「あらー! 可愛らしいわねぇ。何これ何これ! やだー!」
興奮しているのは華さんです。
スタンドカラーというのでしょうか。
折らずに襟を立てたような首もとで、肩の辺りが少しふわっと膨らみがあります。スカートの方も少し膨らんでいるような気がします。ワンピースのような制服でした。
これも白い色をしています。
裾が一学年の青でしたので、これまた来年も新しい制服が届くのですよね?
これを毎日着ろと? どういう拷問ですか!
真由ちゃんなら、ばっちり似合うと思います。
真琴はきっとボタンレスの方でしょう。あぁ似合いすぎてぐぅのねも出そうもありません。
「着てみせてよ、陽向」
拷問です。
「このスカートと袖の裾の青いレースみたいな刺繍綺麗ねぇ。腰の辺りにも蔦みたいに絡んでる感じ可愛いじゃない」
拷問ですよ。これを大勢の前で着ろなんて。
「あ、似合う似合う。可愛いわよ。ねぇマナ」
「ニーハイが・・・くぅ」
はい。裾が長めのワンピースになるのでニーハイじゃなくなります。
「せ、せめてガーターベルトでお願いします!」
父が喚きましたが却下しました。
「くぅぅ」
くぅぅじゃありませんよ。これを毎日着て学園へ通う私の身になってください。
「冬はこれの上にボレロを着るのね。夏服は・・・あぁ半袖のが別にあるのか・・・さすが泉都門学園生徒会。すごいわ」
生徒会の制服を着た私の写真を何枚も撮って、華さんはご満悦でした。
あぁ明日から登校したくありません。
「レトロな感じが今の若い子には新しいのかしら? とっても可愛いわぁ」
父はうじうじと部屋の隅で拗ねていましたが、二人でほっておくことにして、制服を片づけていました。
ジリリンジリリンと音がしてキョロキョロと辺りを見回すと、私の携帯が鳴っていました。
そうでした、登録していない番号から電話が来ると、昔の黒電話のような音が鳴るのでした。
画面をみると、知らない番号です。
特に考えもせずに電話にでました。
「あ、もしもし? 陽向ちゃん?」
一条先輩でした。
っていうかどこから私の電話番号を・・・。
「もしもーし。聞いてる陽向ちゃん?」
「あ、はい。こんにちは先輩」
「こんにちは。制服届いてるよね?」
「はい。届いて欲しくはなかったのですが届きました」
「うん、まぁいいよ。それでね、明日朝迎えに行くから」
「は?」
「朝に生徒会全員で集まるんだ。ボクらは寮だからすぐだけど陽向ちゃん外だからさ。帰りも送るから安心してね」
「はぁ・・・先輩が迎えに?」
「ん。ボクの方がいい?」
「いっ、いえそう言う意味では」
「残念。ボクじゃないよ。明日の朝楽しみにしててね」
それだけ言うと、迎えにくる人を言わずに切れてしまいました。
真琴か真由ちゃんだといいんですけど。
「ところでお父さん。そろそろお出かけする時間じゃないの?」
「ううう、ニーハイが」
まだそれを言いますか。