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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百七十八話 これからのことです



「もう、色々無理強いはしないと約束する。でも、君を好きでいることは許してほしい。勝手に盛り上がってるのはわかってる、でも、自分でもわからないくらい君が好きだ」


 何と答えて良いのか私にはわかりませんでした。


 困って先輩たちを見ますと、全員ため息をついていました。

 甲田先輩が窓を開けて応援団員に何か言っています。

「ありがとね、詳細は明日」

 おーーーーっすと十人の揃えた大声が中まで聞こえましたよ。


 窓を閉めた甲田先輩がにっこり笑ったので、尋ねてみました。

「あ、あのう。どうしたら良いのでしょうか」

 安易に良いですよ何て言うと期待を持たせてしまうような気がしますし。

「陽向ちゃんは日向のこと嫌い?」

「嫌いか…と聞かれますと嫌いではないです」

 生徒会の先輩たちからため息が聞こえます。

「陽向…」

「すみません、でも嫌いじゃないんです…」

「おつき合いできるくらい好きではない…と」

「はい、あくまでも先輩として…です。本好きとしてお話も合いますし…晃先輩怖い顔しないでください」

「陽向は甘すぎる」

「すみません…」

 頭を下げると、またため息をつかれました。


「それじゃ、こうしよう。日向はどうやら頭から変なの出てるみたいだし、冷却期間をもうけようじゃないか」

 芹先輩、変なのってなんですか変なのって。

「明日から新学期が始まるまで絶対会わないこと」

「少し落ち着いた方がいい、日向」

「…はい」

 貴雅先輩と静先輩の言葉に日向先輩は素直に頷きました。


「それから、陽向」

「は、はい」

「誰でもかれでも、引き寄せるんじゃない」

「は?」

 引き寄せるって磁石じゃないですから。

 そもそも引き寄せてないですよ。

「わかっていない顔だな?」

「意味がわかりません」

「ここにいる全員が陽向に告白したらどうする」

「は? ありえませんよ、そんなこと」

 きっぱりと胸を張って言いますと、たっぷりと大げさすぎるほどにため息をつかれました。

「晃」

「何だ」

「お前の勇気に感心するよ」

「いくらでも誉め讃えろ」

 晃先輩は相変わらずですね。

 静先輩が晃先輩の肩に手を置いて、うなだれていました。

 お疲れのご様子ですけれど、大丈夫でしょうか。


「陽向ちゃん」

「はい? 何でしょう芹先輩」

「晃先輩と静先輩が、卒業した後。色々大変になると思うけど。いつでも助けるから言ってね」

「は、はい…?」

 芹先輩の後ろで貴雅先輩が「僕は?」って聞いてますよ。

 何でお二人限定なんでしょう。


「一年生も入ってくるし。修斗だけだと睨みも隅々まで行き届かないと思うんだ。ボクも頑張るけど広範囲は難しそう。どうも迫力にかけるんだよね」

 何が難しいんですか?

 迫力って。

 えーと意味がわかりません。

「だから、新学期から色々覚悟しておいた方が良いよっていう忠告」

「忠告?」

「うん」

「副会長としての覚悟ですか?」

「まぁ、新学期になったらわかることだと思うから」

「そうですか」

 わからないなりに頷くと芹先輩に苦笑されてしまいました。

「あ、これは真琴君と真由ちゃんにも言えることだからね。気をつけるように」

 二人もポカンとしながら頷いていました。


 三人で顔を見合わせて。

 意味が分からず首を傾げることになったのです。



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