第十八話 目は口ほどに? side一条芹
最初、会長や東雲先輩の話を聞いたときは半信半疑だった。
そりゃあ、世の中の女性のすべてがボクらに魅了されるわけではないことは重々承知しているし、泉都門学園の女子の中でも靡かない女子はもちろんいる。
それでも、無関心な人間というのは珍しかったんだ。
真琴くんの話を聞いてさらに興味が湧いたのは当たり前だと思う。
ボクらは、自分でいうのも何だけどモテる。家柄が上乗せされていることもあるとは思うけど。
会長や東雲先輩、それから和泉先輩は男のボクから見ても眉目秀麗だと感じる。修斗は身内みたいなものだから、判断できないんだけどね。
もし見えるとするならば、彼らの周りに霧のようにフェロモンが漂っていると考えるほど色気が出ているときがある。
その霧に触れた女子の反応はだいたい二つに分かれる。
うっとりするか、憎々しげに睨むか・・・だ。
そのどちらでもなく、霧なんかなかったかのように振る舞う君。
まったくもって希有だ。
生徒会の仕事はそれなりに大変だと思う。
その仕事をそこそこ広いとはいえ、毎回うっとりされたり逆に侮蔑の表情をされたまま同じ部屋で仕事をする気にはなれない。
役員的に人数は満員だったけど、それでもボクらは君を生徒会に欲した。
普通の視線が欲しかったんだ。
欲のない、あの視線。
視線を合わせて、はっきりと意見を言えるのも良い。
なんでもかんでも了承されるのも、すべてを拒否から入られるのも疲れるもんなんだよ。
生徒会に入るのを嫌がってはいるけれど、入ってしまえば自分の仕事を一生懸命がんばるだろう君を、ボクは逃げ場のない角へと追い込んだ。
自分勝手な理由で申し訳ないと思うけど。
真琴くんと仲良くなったのはそもそも君なんだし。
そこは諦めて生徒会に入ってしまえ。
そうしたら、ボクは君を全力で守るよ。
必ず・・・ね。
両極端な女子しか身近にいなかったようです。
しかし陽向は普通ではないのですよ一条くん。