第百七十二話 発熱です
少し短いです
ホッとしたせいなのか、色々考え過ぎたせいなのか、また熱を出してしまいました。
熱は37.8度。
薬を飲んでベッドに横になっております。
風邪の症状はないので、今日一日横になっていれば治ると思うのですが。
父と華さんと龍矢さんが大変心配して、病院に行くというので明日熱が下がらなければ行くという約束のもと、安静にしているのです。
何度もウトウトしては目を覚まして色々考えて、さらにはそれに引きずられるように昔の嫌な思い出などが映像付きで出てきてしまいジタバタしておりました。
「なにやってるの陽向。安静にしてなきゃだめじゃない」
「あ、華さん」
水と薬を持ってきた華さんに布団の中でジタバタしていたのを見られてしまいました。
「はい、薬」
たぶん薬を飲めば、眠れるのではないかと思います。そうすれば嫌なことも思い出さずにすむでしょう。
コップを受け取って薬を飲むと華さんが額の冷却ジェルを貼り替えてくれて、その後、頭を撫でてくれました。
「みんなから心配するメールが届いてたよ」
前回の事もあって、華さんの方へメールが行ったようですね。
どうりで静かなはずです。
気になって携帯を見てみると一件だけ届いていました。
「晃先輩…」
開いて見ると、件名は無くただ一言「すまない」。
「こっちにも来てたよ。具合悪くさせるつもりじゃなかったって」
「大丈夫です。晃先輩のせいじゃありませんから」
むしろ自分の弱さが露呈したのです。
強くあろうとしてきましたが、弱い自分はもちろん分かっていたのです。それでも、ここまで弱かったとは自分でも思いませんでした。
「考えなくてはいけないことを、後回しにしていたのは私ですから」
折り合いをつけたと思っていた感情は、隠されていただけのこと。
怖くて聞けなかったのです。
「陽向が一生懸命、一人前になろうとしているのは分かってるけど。もっと頼って欲しいな」
「華さん」
「小学校の高学年からだよね、そうやって敬語を使うようになったの」
「……はい」
「陽向が生まれた時、私の養子にするっていう話しもあったんだよ」
「そうなんですか」
「でも、学は絶対“うん”って言わなかった」
何だかんだ言って父も頑固です。
そう考えると、私って両親の頑固さを受け継いじゃったんですね。
思わず、ふふふと笑ってしまいました。
「うん、そうやって笑っていて陽向」
「ありがとう…華さん」
「告白の答えなんて引き延ばしちゃえばいいから」
「いえ、もう心は決まりました」
「…そう。そっか」
「はい」
お二人ともに、きちんとお答えしたいと思います。
それが今の私にできる精一杯の誠意です。
「今は、とにかく休んで。告白に答えるのも大変なんだから。万全な体調で臨むこと」
「はい」
コップを返して、横になりました。
薬のせいなのか、すぐに眠気がやってきて。
夢も見ないくらい、ぐっすりと眠ることができたのです。
昨日記述するのを忘れましたが短編を一つ書きました
よろしければ、そちらもどうぞ^^
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