表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
171/203

第百六十六話 ご退場願います


「……。先輩方。何をしてらっしゃるんでしょうか」

「ひっ」

 あ。芹先輩の黒い靄が発生中ですね。

 届くところまで手が降りてきたので書類を取り返しました。

 うん、破れてない。良かった。

「お疲れ様です、修斗先輩はどちらに?」

「真琴くんを迎えに行ったよ。すぐ戻って来ると思う」

 生徒会室の前で別れたようです。

「静先輩か貴雅先輩に会いました?」

「いや、会ってないけど、来てたの?」

「こちらの先輩たちのお話ではお二人がいらっしゃったようなことを言ったので。晃先輩が探しに」

「晃先輩も来てたのか」

 すれ違いですか。

 職員室にいなかったら帰ってくるとは思いますけど。

 一応芹先輩が戻ってきたことを晃先輩にメールしました。

「ちょっとちょっと」

 赤さんが私を手招きして小声で話します。

「何、次期生徒会長、めっちゃ怖いんだけど」

「天野先輩、陽向ちゃんから離れてくださいね」

「はひぃ」

 妙な声を上げて私から離れていく赤さん。

 隅っこでお三方が震えていらっしゃいました。

 うん、そこで大人しくしててくださいね。


「今日の仕事は終わりました」

「うん、ご苦労様。皆がそろったら帰ろうか」

「そうですね」

「芹先輩、返信が必要なのだけ転送しておきました」

 真由ちゃんがそう報告すると芹先輩が頷きます。

「ありがとう、購買の方は?」

「大丈夫みたいです」

「そっか。カフェの方でもチョコクッキーを出すみたいだよ」

「学食で一日限定スイーツを出すそうです」

「当日混みそうだなあ」

「試食用のが明日届きますけど」

「あ、本当? 楽しみだね」


 お三方そっちのけで仕事の話が進みます。


 ドアが開く音がしたので振り返ると晃先輩を先頭に、真琴と修斗先輩、静先輩と貴雅先輩が入ってきました。

「「お帰りなさい」」

 真由ちゃんと声をそろえて言うと、全員が微笑んでくれました。

「静先輩と貴雅先輩、いらしてたんですね」

「あぁ。まさか晃まで来てるとは思わなかった」

 そして隅で固まって震えてるお三方を見て貴雅先輩が首を傾げました。

「あれ…誰」

「……青の生徒会のお三方です」


「青の生徒会?」

「あれ、職員室で会いませんでしたか?」

「俺は会ったが、その時、貴雅はいなかったんだ」

「あぁ、そうでしたか」

「赤青黄って…」

 その先は言わない方が良いかと思われます。

「お、おっほん。青の生徒会会長天野…」

「さっき聞いたので良いです、後で説明しておきますから。どうぞお帰りください」

 芹先輩がニッコリ笑って言います。

「あ、いや。まだ全行程を終えていない」

「……全行程?」

「グラウンドはすでに済んだ。教室を回って生徒会室で休憩、それから」

 生徒会室は休憩室ではありませんよ。

「さっきグラウンドを革靴で走っていたのは、あなたでしたか」

 貴雅先輩が驚いたように言いますと、天野…赤さんが誇らしげに胸をはります。

「そう、革靴にしては速かっただろう?」

「変質者かと思って、陸上部が怖がってましたから。もうやめてくださいね」

「うっ」

「あぁ、それで風紀委員に追いかけられていたのか」

 はは~ん。

「もしかして顧問の先生を撒いたというのは嘘で、実は風紀委員から逃げるためにここへ来たのですね?」

「ううっ」

 わかりやすいと言いますか。

「晃先輩。風紀委員長は誰になりました?」

「あぁ。降矢だな」

「了解です」

 降矢さんの番号はまだ知らないので、速水君にかけました。


「もしもし速水君? 降矢さんに伝言をお願いします。シグナルは生徒会にあり」

〔何だかわからないけど、了解。伝えるね〕

「お願いします」


 速水君は今日のシフトではなかったようです。

 数分後に生徒会に風紀委員が数名やってきました。

「連絡ありがとうございます。風紀委員長降矢潤です」

 降矢先輩は晃先輩を見て目礼をしました。

「少しお話がしたいので、よろしいでしょうか」

 お三方に向かって降矢先輩が言いますと「仕方ないな」と言って着いていかれます。

 お説教よろしくおねがいします降矢先輩。


 ドアが閉まって少しの沈黙の後、全員がため息をつきました。




何だかじわじわと登録数が増えてました。

ありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ