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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百五十八話 伝説のシラトリ

短いです。

「時間なので放送室に行ってきます」

 と手を挙げて言うと、全員に注目されました。

 まぁそれはそうですよね。

「うん、行ってらっしゃい」

 芹先輩が笑顔で送り出してくれようとしたところ、黄色いスカーフのかたが、私のように手を挙げました。

「はいはい、僕も一緒に行く」

「一人で行きます」

「僕も連れて行って」

「……却下」

「えええええええええええ」

 だいぶ年の離れた大人の人ですけれど、一言で切り捨てました。


「失礼します」

 廊下に出ると走りました。

 晃先輩がいたら怒られそうですが、とにかく走りました。

 着いてこられると何となく面倒なことになりそうだったので、走りました。

 階段を上って後ろを確認すると着いて来ていないようだったので、ホッとして放送室へと向かいます。

 でも、卒業生であることをすっかり忘れていました。

 そして放送室の前に行くと、黄色いスカーフが先回りしたらしく待っていました。

 もう、人とかつけてる気分じゃありません。

「却下したはずですけど」

「校内を見て回る許可はもらってるからね」

 舌打ちしたい気分でした。

 仕方なく放送室のドアを叩きました。

「あ、生徒会の。……後ろの人誰」

「いないものだと思ってください。空気です空気」

「いや、マフラーが大変目に痛いんだけど」

「卒業式の事で来ました」

「あぁ、そうそう。そうだったね。どうぞ、入って」

 中へ入ると何故か一緒に入ってくるマフラーさん。

 もはや黄色も抜きです。

「関係ないので出てください」

「実は、僕、放送部のOBなんだ」

「…生徒会のOBでは?」

「放送部にも入っていたんだよ」

 確かめようにも名簿は確か図書室です。

「失礼ですけど、お名前は?」

 部長さんが尋ねると、何故かポーズを決めながら名前を言います。


「白鳥麗」


「それで、ですね。部長さん」

「ちょっとちょっとスルーしないで、本名だから! 本名!」

 どこかで聞いたことのあるような名前なので、偽名かと思いました。

「白鳥って聞いたことあるかも……白鳥しらとりシラトリ……あ! あぁ! 伝説の!」

 部長さんが叫びました。

「どうしました部長?」

 奥から部員さんが驚いた顔をして出てきます。

「伝説の昼ラジの人だよこの人!」

 ヒルラジ?

「ずっと前、お昼休みに校内ラジオやってたDJだ」

 DJ?

「生徒から聞きたい曲を募集して、弾き語りしてた人! 話も面白くて本職かと思ってたら泉都門の生徒だったって。確か白鳥って名前だったと思う」

 ちらっと顔を見ますと、どうだと言わんばかりにななめ上を向いてます。

「そうですか、それはそれは。でも、今はどうでもいい話ですよね。卒業式の話してもいですか」

 私がそう言いますと、がっくりと肩を落としています。

「どうでもいいって…そんな」

 今は、そんな話をしている暇はないのです。


 大先輩!



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