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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百五十四話 子供は風の子って本当ですか



 飛行機に乗って空港に着いた時には、すでにおかしいなと思っていました。

 華さんも気づいたようで、私の額に手を当てて驚きの声を上げました。

「ちょっと、陽向すごい熱!」

 そうなんです。

 私はついてすぐに病院へ行くことになったのでした。

 インフルエンザではなかったのが不幸中の幸いでしょうか。自宅のベッドで安静にしているようにと指示がでました。

 このままだと始業式は休むことになります。

 面倒で億劫だと思ったのは、どうやらすでに具合が悪かったからのようです。何となく体がだるいななんて思ったのは精神的なものだけじゃなかったんですね。

 香矢さんと千歌さんが心配してくれましたが、雪ではしゃぎすぎたと言うと、笑ってくれました。

 本当は新学期前に仕事があったのですが、体調不良でお休みの旨を伝えて、ずっと眠っていました。


 目が覚めたのは暗くなってから。


 気になって携帯をチェックすると数十件メールが来ていましたが、体がだるくて動きたくなかったので華さんにお願いしてメールを送ってもらいました。

 最後に「華、代送」と書いたらしく、それへの返信がさらに大変だったようです。

 メールも送れないほど具合が悪いのかと。

「あ、如月会長からもメールが来てるけど。読む?」

「あぁ…それは元気になった後にしていただけると嬉しいです」

「そっか、それじゃそう書いておくね」

 その後は誰からもメールが届かなくなってしまったのですが、どうやら華さんが自分の方へと送ってくれるように頼んだようでした。

 私を眠らせようとしてのことですね。

 ありがとうございます、華さん。

 父も龍矢さんも仕事へ行っていないのですが、時々華さんへ様子を心配する電話がかかっていたそうです。

 少し遅めの夕食をいただいた時に話してくれました。

「はい、お薬。熱はだいぶ下がったけど、やっぱり始業式は休んだ方がいいと思う」

 中途半端に治して登校すると、他の生徒に移してしまう可能性もありますもんね。

「わかりました。大人しくしています」

 宿題も終えていますし、提出期限は始業式当日というわけではないので、何とかなります。

「学校には連絡しておくからね」

「はい」


 次の日。

 うとうととしていると、何か話し声が聞こえて。

 静かになったなと思ったら華さんが部屋に入って来ました。

「陽向、起きてる?」

「ん…華さん。朝ですか」

「朝だけど、まだ寝てていいよ。それより如月君がお見舞いに来たよ」

「え」

「帰ってもらったけど、お見舞いを持ってきてくれたの」

 時計を見ると朝の八時です。

「生徒会の皆からと、それとは別に如月君からお詫びを込めてって置いていったよ。後、和香ちゃんもお見舞い置いていった」

「静先輩、一月いっぱいは北海道だったのでは?」

「そうなの? 特に何も言ってなかったよ」

 

 和香と静先輩は玄関で鉢合わせしたらしく、丁寧に挨拶を交わしていたそうです。

 和香も大人になりましたね。

 

 華さんが窓を開けて少し換気をした後、朝ご飯を持ってきてくれました。

 トレーに載せられていたのは、うどんとゼリー。

 うどんは私のリクエストですが、ゼリーはどうやらお見舞い品のようです。

「実のところ、全部ゼリーだったんだけどね」

 喉が痛いと言っていたので、喉の通りが良いものをと全員が思ったのでしょう。

「でもね、全部種類が違うのよ」

 私の目の前にあるのはオレンジゼリーです。

 味が違うとか?

「味が違うって思ったでしょう? ふふふ、まぁそれはお昼と夕飯のお楽しみね」

 うどんを食べた後、オレンジのゼリーをスプーンで口に運びます。

 喉をつるんと通って、気持ちが良かったです。

 まだ熱をもっているのかもしれませんね。

 油断大敵。

 体が楽になってきたので本でも読もうと思っていたのですが。

 

 まだ、寝ていないとだめなようです。



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