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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百四十七話 風習の違いです


 お正月です。

 新年の挨拶をしてテーブルを見ますとおせちがありました。

 でも、お雑煮がありません。

「お雑煮ねぇ…うちでは食べないわね」

「北海道では食べないんですか?」

「どうかしら。食べるところもあると思うけど。うちの家族は食べたことがないわね」

 千歌さんが言うと、香矢さんも頷きました。

「作った方がいいのかしら?」

「あ、いえ。食べたいというわけではないのです」

「そう?」

 同じ日本なのに色々なんですね。

 おせちをつつきながら、そんなことを思っていますと香矢さんがいそいそと何かを出しました。

「はい、陽向ちゃん。お年玉」

 シンプルなポチ袋を渡してくれました。

「ありがとうございます」

 このポチ袋を見ると思い出すのが和香のことです。

 昨年のお年玉をこのシンプルなポチ袋でもらったそうなのですが、何やら手触りがおかしいなと思って中を覗いてみたら図書カードだったそうです。

「参考書でもお買いなさいな」

 和香のお祖母さんがニヤリと笑いながら言ったそうで「全部マンガを買ってやるううううう」と叫んでいたのを思い出してしまうのです。

 まぁ一昨年にもらったお年玉を翌日に使い切る和香ですから。仕方ないといえば仕方ない様な気もしますね。

 全額マンガを買いそうな勢いなのを見越して、一緒に本屋さんに行って欲しいと和香のお母さんに頼まれたりしました。

 

 香矢さんの後、何故か父と華さんと龍矢さんもお年玉をくれました。

 父はいいとしまして、何故に榊家は二人共くれるのでしょう。

「華が、両方の袋を使いたかったそうだ」

 龍矢さんがくれたのは小判型のポチ袋です。キンキラキンです。華さんがくれたのは、金の延べ棒の形をしたポチ袋でした。こちらもやはりキンキラキン。

「お財布に入れておくと御利益ありそうじゃない?」

 なるほど、そういうことでしたか。

 ちなみに父のポチ袋はウサギの絵が描いてありました。可愛い。


「ありがとうございます。大事に使いますね」


 朝食を終えてしばらくしてから初詣に行きます。

 のんびりして午後から行きますと行列になるそうなので、早めに行くことになりました。

 父と華さんのためにも人が少ないに越したことはありません。

 神社といえばやはりお神籤みくじですよね。

 家族全員で引いたところ、私は中吉で父が大吉。

 華さんも大吉で龍矢さんが吉。

 香矢さんが小吉で千歌さんが大吉でした。

 携帯につけるお守りを買って、帰途につこうとしたところ、高校生か大学生らしき集団がこちらに向かってにぎやかに歩いて来ていました。

 それにいち早く気づいた龍矢さんが華さんの帽子を目深に被らせ手をつなぎ、父に自分の後ろを歩かせて騒ぎになる前に出口までたどり着きました。

 

 家に帰って携帯を見ると、新年の挨拶メールが複数届いていました。

 返信に雪景色と雪だるまの写真を添付して送ったのですが、喜んでもらえたようです。

 ついでに雪祭り見てきたらなんてメールが芹先輩から来ていましたが、香矢さんに聞いたところ二月なんんだそうです。

 少し残念です。

 

 帰ってから甘酒を飲みました。

「昔は作って飲んだものだけど、今は飲む人も少ないから、これなの。鍋一杯に作っても飲むのは二人しかいないから」

 そういって市販の甘酒を持ってきました。

 缶ではありませんよ?

 フリーズドライの甘酒をカップに入れてお湯を注ぐとできるんです。

「意外においしいでしょう」

 甘酒苦手だったんですけど、これはおいしいです。

 お湯の量で濃さを調節できますし。

 体が温まりますね。

 

 今日はこの後どこも出かけないので、テレビをみたり香矢さんたちに届いた年賀状を見せてもらったりして過ごしました。

 コタツでゴロゴロ。


 うん、至福。



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