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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百三十九話 クリスマスに父、来襲です



 とうとう二学期も終わりになりました。

 生徒会も今日で仕事納めとなります。


 今日は以前から約束していた、理事長のお宅へ父と一緒に遊びに行くことになっております。

 例のピザですよピザ!

 クリスマスイブということで夜には皆さんそれぞれ忙しいでしょうからと、お昼に行くことになりました。


 もちろん今回は芹先輩と修斗先輩も参加です。


 華さんも一応は誘ったのですが、龍矢さんの顔が大変怖いことになっておりましたので、あきらめました。

 理事長が独身だからでしょうか。

 華さんは苦笑いしてましたけどね。


 材料は、さすがに全部理事長というわけにもいかないでしょうということになりまして。

 各家庭からそれぞれ持ち寄ることになりました。

 理事長からは気にしなくていいのにと言われましたが、ここはやはり大人数といこともありますし何を持ってくるかも楽しみになりますからと申し上げたところ了承していただきました。


 闇鍋ならぬ闇ピザにならないことを祈りますけどね。


 父と保冷バッグに色々入れ、華さんに見送られて家を出ました。

 私としましては、正式な父のお披露目でございます。

 ドキドキしつつ理事長のお宅へと向かいインターホンを鳴らしました。

 

 出迎えてくれたのは理事長自らで、私と挨拶を交わした後、父を見てわかりやすく固まりました。

 何故人間は驚くと固まるのでしょう。

 ちらっと父を見ますと、ニッコリと笑いました。

 うん、お父さん。その笑顔は逆効果です。


 小さくため息をついて理事長に再起動してもらうため、話しかけようとしましたら奥から晃先輩がやってきました。

 遅かったので何かあったと思ったのでしょうか。

 そして父を見て晃先輩も固まりました。


 写真を見せていたはずなんですが、生は衝撃が強かったのでしょうか。

 やはり真由ちゃんと真琴に会わせない方がいいですかね?

 いつもの白いシャツ→ボタンを数個外して肌蹴るにするとトンデモないことになるので無難にスーツにしてもらったのですが。

 何しろラフな格好をさせると、どうしても色気が駄々漏れでして。

 

 だがしかし。

 スーツでもダメだったようです。


 地味なの選んできたのにだめでしたか。

 

 がっくりと玄関で肩を落としつつ、また父を見ますと特に何でもないような顔をしています。

 まぁ、慣れっこといえば慣れっこですもんね。

「あの、お邪魔してもよろしいでしょうか」

 声をかけると、理事長が夢から覚めたような顔をしました。

「あっ、ああ。これは大変失礼しました。とにかく中へどうぞ」

 晃先輩は身じろぎしたものの、父を見たまま瞬きをしています。

 これは人間ですよー。


 私たちが一番乗りだったようで、リビングに通されました。

 保冷バッグを渡しますと、礼の業務用みたいな冷蔵庫に入れておいてくれるそうです。

 

「お久しぶりです。先ほどは失礼しました」

 そういえば以前、父と理事長は会ったことがあるのでしたっけ?

「いえ、お気になさらず。今日はお招きありがとうございます」

 そこでまたニコッと笑うものですから、また固まっちゃったじゃないですか。

「お父さん、真顔真顔」

 父の口の両端を指で下げようと格闘しておりましたら、インターホンが鳴る音がしました。

 誰か着たようですね。

 

 理事長が軽く頭を下げてお客様を迎えに行ったのですが、リビングのドアの横で晃先輩がまだ固まっていました。

「晃先輩?」

「…っ!」

「お父さん、こちら風紀委員長で理事長の息子さんの和泉 晃さんです。日ごろからとてもお世話になっているんですよ」

 固まったままの晃先輩を紹介しました。

「あぁ、彼が! どうも陽向がお世話になっています。いつもありがとう」

「い、いえ。こちらこそお世話になっております」

 いつもの晃先輩と違って面白いです。

「色々助けてもらって、本当に感謝していますよ」

 キランと音がするような笑顔で父が言ったので、晃先輩が壁に音を立てて寄りかかりました。

 破壊力すごいでしょう? 晃先輩。

 日向先輩と甲田先輩が、何故あんなにもすんなりと父を会話できたのか不思議だったのですが。

 これこれ。

 こういう感じがいつもだったんですよね。

 あ、でもお二人の時はあまり笑っていなかったような気もします。

 

 笑顔だと攻撃力が半端ないと…いうことですね。

 我が父ながら、恐ろしいスキルです。



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